Kindle読書録『夏休み』『リュカオンの末裔』

今回はBL小説2本立て。

夜光花『夏休み』


短編のバラ売りなので、通常の商業BLよりも安い。
友達だと思っていた相手に告白され、動揺してそれを兄弟に相談したら兄からも弟からも襲われてしまう主人公のお話。

読み始めてから「あれ?読んだことあるぞ…」と思ったんですよ。
そしたら最後に出典が書いてあった。これ、紙のアンソロジーに収録されてた小説のバラ売りだったんですね。『エロとじ』です。電子書籍ならではの売り方だなぁ。

確かあれは漫画と小説が両方載っているアンソロジーだった気がするので、そのまま電子化するのは難しく(漫画は固定型、小説はリフロー型のレイアウトになるため)、こういう措置をとったのではないかと思います。

水樹ミア『リュカオンの末裔 オメガバース・紡ぎの運命』


オメガバースでファンタジー。

オメガが「産む道具」として虐げられ、1ヶ所に集められてアルファに奉仕させられている白国と、バース性に関係なく人々が暮らしている黒国。
主人公は白国のオメガ。
発情期が来ない彼は、白国でオメガの唯一の存在価値とされている「妊娠」をすることができない役立たずのオメガとして捨てられてしまう。
そこを拾われ、助けられて黒国に渡ります。
お察しのとおり、主人公を拾って助けたのが黒国のアルファで、のちに主人公とつがいになる。

白国と黒国とでは社会の仕組みも、バース性にまつわる「常識」もまったく異なるため、それに驚く主人公の心の動きを追いながら両国の差を描き出していくのが前半のストーリー。
後半では、白国でアルファの出生率が下がっている理由、白国のアルファが弱い理由、主人公になかなか発情期が訪れなかった理由を種明かししつつ、主人公が黒国でのオメガのあり方に慣れて、自分のつがいを受け入れ、家族を築いて強くなっていく様子を描いています。

白国でのオメガの扱いの描写は、当然のことながら全然やさしくないのですが、主人公のカップル周辺はやさしいので安心して読めるよ。
無理やりつがいになるのを迫ったりしないし。まっとうな段階を踏んで少しずつ距離を詰めて仲良くなっていくし…。

そういえば、セックスの快楽やコミュニケーションとしての側面を否定して「セックスは子どもを産むための手段である(べき)」ととらえることは、生殖と直結しない恋愛や性愛(たとえば同性愛)を差別することにつながるんだそうですね。
白国の描写を読んでいて思い出しました。