Kindle読書録『花の命はノー・フューチャー』『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』

読みたい本を順調に消化しているので、Amazonのウィッシュリストに残っているのが紙の本だけになってしまった。
問題は、いつ電子化されるのかってことですが。

ブレイディみかこ『花の命はノー・フューチャー ──DELUXE EDITION』


何年も前にブログの存在を知ったブレイディみかこさんのデビュー作。
この本を買おうとしたけど絶版であきらめていたところ、増補版が出て、しかもKindle化してました。
(絶版になったのかと思ってたら最初の版元自体が倒産していたらしい)

最近はYahoo!でイギリスの政治に関する記事も書いてはるんで、そういう事情もあっていろいろ著作が出てるんですよね。うれしいです。

この本はイギリス人と結婚した男性のエッセイ、と言ってしまえばそれまでなんですが、よくある「イギリスの素敵な暮らし」感は一切ない。

著者はあまり所得の高い家庭の出身ではなく、それなのに「日本には貧困がいない、中流階級以上しかいない」などとメディアで報じられていた時代に育った。
そしてイギリスで労働者階級の男性と結婚し、何世代も続く貧困と暴力と違法なあれこれにまみれた、いわゆるアンダークラスの家庭の人々と近所づきあいをしながら暮らしている。

清く貧しく美しい、なんてふざけたことが、現実の世界に有り得ようか。
清貧。などというのはあれは趣味だ。貧乏とは、足りないことで負けてることで醜いことだ。

何世代も続く貧困家庭というのは、「コツコツ真面目に働いて給料が上がることを目指す」なんて考えない。そんなの無理だから。

日本のように「子どもがいるから」という理由で離婚を我慢したりしない。
子どもがいようがいまいが離婚と再婚をくり返すため、血がつながってるのか、つながってないのか判然としない兄弟姉妹が大勢いる。そういう家庭に育った男の子は「身内の女性とは交流しないって決めてるよ。知らずに近親相姦しちゃったら嫌だし」と言う。

アンダークラスの人々の生活は、昼ドラも真っ青の展開なのだが、昼ドラみたいにべたべたしてなくて皆もうパッサパサに乾いた反応をする。

だが、生きる甲斐がなくても生きているからこそ、人間ってのは偉いんじゃないだろうか。最後には各人が自業自得の十字架にかかって惨死するだけの人生。それを知っていながら、そこに一日一日近付いていることを知っていながら、それでも酒を飲んだり、エルヴィスで腰を振ったりしながら生きようとするからこそ、人間の生には意味がある。

余談。著者が常に飲んだくれていて、お酒を飲まない人間としては読みながら心配になってくるのだった。

スティーグ・ラーソン『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上・下合本版)』


前から存在は知っていた超有名な、というか売れている本ですね。
数人の人におすすめされて読んだ。電子書籍だと上下巻が一緒になってるバージョンなのでありがたい。

映画化されるほどの有名な本って、別に今すぐ読まなくてもいいかーと思ってしまうので、あらすじを全然知らないことが多いのです。
今回読もうと思ったのは、フェミニズムやら性差別やら、そういったものにまつわる話らしいということを、おすすめしている人のツイートから感じ取ったためでした。

スウェーデンが舞台なので、ヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界』を思い出しながら読んだ。
『ソフィーの世界』はノルウェーの話だけど、いろいろ似てるよね。お金の単位がクローネだったり、若い子の宗教儀式として堅信礼が登場したり。

「ヴァンゲル」という巨大な(そして面倒な)ファミリーにまつわる謎を追うお話だったわけなんですけど、最後までずっとヴァンゲルがヴァンダルに見えてしまう呪いにかかっていました。意味が全然ちがう…。

途中で本当にしんどい展開もあって「うぎゃああああ」ってなったんですけど、面白かったですよ。
続きを買うか、どうしようか。先に他の本を読みたい。