高橋絵里香 『青い光が見えたから 16歳のフィンランド留学記』を読んだ

タイトル:青い光が見えたから
副題:16歳のフィンランド留学記
著者:高橋絵里香(たかはし・えりか)
レーベル:講談社

図書館の選定図書になっているようです。さもありなん。

最近、フィンランドがマイブームのとりさん。

フィンランド現代史の本を買おうと思って、あまぞんで探していたら、軍事関係の本ばかりでちょっと重そうだったので、目先を変えて教育方面から攻めることにしました。
珍しく、高校からフィンランドに留学していた人の本があったので、買っちゃいました。

なかなかよかった!

等身大の女の子の姿が生き生きと浮かんでくる

著者の高橋さんは、とりさんよりもひとつ年下。
文章の構成が割と単純なので、恐らく、めっちゃ読書家というわけでもないし、私のように文章を書くのが大好きなタイプでもないと思う。
(台詞のあとにそのまま「~と誰それが言った」と書かれていたり、よくある使い古された表現が用いられていたりするため)

でも、小説のような文体を用いていないおかげで、かえって等身大の高校生の姿が浮かんでくる感じでした。読みやすいです。

彼女が北海道の中学を出たあと、フィンランド語がほとんどわからない状態でフィンランドの高校に進学し、4年間学び、卒業試験を合格するに至るまでの体験記。

体罰が横行する中学では、びくびくする癖がついてしまったり、精神を病んでしまったりしたそうです。
それでも家族(特に父親)の助けを得て、フィンランドに行きたいという夢を叶えた高橋さん。
やさしくまっすぐなフィンランドのホストファミリーや友達、先生たちのおかげで、彼女はどんどん元気になり、強くなっていく。

寝る前に安心して読める本です。
(怖い本とか、粘着系の本とか、メンヘラっぽい本とかは寝る前にあまり読みたくない)

フィンランドで自由になった

各章の扉には、「一年目」「二年目」という具合に、その年のクラスの集合写真と思われる写真が使われています。
ぱっと見て気づくのは、最前列では足を組んで座っている人が少なくないこと。
日本の学校で、集合写真を撮る時に足組んでたら、怒られるよね…。

そして、その写真を見比べると、高橋さんの変化に気づく。

最初は本当に「日本人」って感じで、緊張した感じの座り方なんです。無難な感じの制服っぽいシャツを着て、黒っぽいズボンをはいて、髪の毛も黒い。顔も不安そうでこわばってる。
でも、2年目になると髪を染めて微笑んでいて、服装も少しくだけた感じ。
(単に現地の気候に慣れただけなのかもしれないけど)
3年目には、他の生徒と同じようにリラックスして足を組んでる。
4年目は、髪型や年齢のせいもあるだろうけど、ぐっと大人っぽくなってます。

そして、「三年目」の章では、彼女が友達から「フィンランド人っぽくなった」と言われる場面が出てくる。

「そういえば……」思い出したようにセシリアが言った。「最近、一年生のときにみんなで撮った写真を見つけて、みんな若いなぁって思ったんだけど、写真のエリカを見ておどろいちゃった! なんていうか……一目で日本人だってわかるような顔してたんだね」
(中略)
「なんというか……表情が変わったのかな。やわらかくなったっていうか。でも表情だけじゃなくて、今のエリカは存在そのものがフィンランド人みたいだと思うの」
「外見に関係なく、内側はフィンランド人の心を持っているっていう感じかもね。二年半もここにいるんだから、影響は受けて当然だけど、エリカの場合はそれをうまく取りいれてると私も思う。日本から来たばかりで内気だったエリカが、フィンランド人化して解き放たれた感じがするよ」セシリアの説明に、ヴァルプがつけ加えた。
(P.191-P.192)

フィンランドの教育が日本とどうちがうのか、どんな風に自由なのか、詳細はこの本を読むなり、他の資料を調べて下さい。
ただ、フィンランドの先生や友達の言葉や態度から、高橋さんがどんな風に刺激を受けて自由になっていったのか、どんな風に強くなっていったのか、読み取れるものがあると思う。

そしてムーミン谷のシリーズを読み返したくなった

フィンランドと言えば、有名なのがムーミン。
ムーミン谷シリーズは、この本の中でも大きな役割を果たしています。

彼女がフィンランドに行くことを決意したのは、ムーミン谷を読んだからだし。
フィンランドの授業でも、ムーミン谷の本を題材にして課題に取り組んでるし。
さらに、エピローグでは、彼女の体験とムーミン谷のストーリーとの類似点が語られている。

思わずムーミン谷シリーズを読み返したくなったでござる。ござるでござるよ。