Kindle書評『とつげきドイツぐらし!』と『海上護衛戦』

今回は「なんでまたこの2冊を並べた」と言われそうな組み合わせですが、読み終わったタイミングでまとめるとこうなっちゃうんだよ!

というわけで久々に本の感想いってみよー。

白乃雪『とつげきドイツぐらし!』


ドイツ人男性と結婚してドイツに渡った漫画家のコミックエッセイ。
Twitterで4コマをツイートしてはったのですが、それを含めて大幅増量でお届けします。

異文化での暮らしは鉄板の面白さ

Twitterでは語られなかった旦那さんとのなれそめが、ちらっと出てくるよ。
大学で知り合って、卒業後すぐに結婚してドイツに行ったのだとか。

…しかし、結婚前はスマホのGoogle翻訳を使って会話してたこともあるそうなんですが、それほど言葉の通じにくい状況で、なんで交際を始めるに至ったのかは描かれてませんでした。
まぁ、プライベートなことですしね…。

それはさておき、異文化での暮らしの話と、語学を勉強する話は鉄板で面白い。
語学学校のクラスメイト(いろんな国から来てる)のエピソード、ご近所さんのエピソード、気候のちがい…。

著者はドイツ人の英語のうまさに驚くのですが、当のドイツ人たちは「オランダ人には負ける!」などと答えるらしい。

ヨーロッパの場合、小さな国や、観光資源があまりない国の人ほど英語がうまく、トリリンガルも珍しくないと聞いたことがあります。
ほっといても海外から人を引き寄せられるフランスやイタリアなどは、逆に英語がへただと…。

オランダ人は複数の言語ができる人が多いから、人口は少ないけど情報伝達でパワーを持っているという説も聞いたことあるなぁ。
(複数の言語で情報の受信・発信ができるため)

この手のコミックエッセイ大好きなので、また続きが出るといいな。

あと誤字を2ヶ所見つけましたが、漫画なのでデータの修正は時間かかりそう。
(面倒くさくて今回はカスタマーサービスに報告してない)

大井篤『海上護衛戦』


「あー、艦これで見かける名前の艦が次々と無駄になっていく…」と思いつつ読んでたら、巻末の解説が艦これ開発者だったのでびっくらこいた1冊。

むなしい戦争(それで数百万人が死んだ)

実際に第二次世界大戦で従軍していた人が、日本とアメリカ双方の記録(そして自分が見聞きした記憶)をまとめてつづっており、当時の雰囲気などがけっこう伝わってきます。

古い本なので、しれっと男女差別的な発言も出てきますが。

報道されない作戦は、自然、国民から見むきもされぬことになる。だから海上護衛作戦は本当の縁の下の力もちになる。こんなに割のあわぬ作戦は、誰だって引き受けたくはないのである。とくに日本人のような国民性をもつものにとっては、このような作戦が歓迎される筈がない。

誰だって、「最も存在価値の認められるものに寄与したい」のは人情だ。それは日本海軍の鎮守府だって警備府だって例外ではあり得ない。こんなことからも、護衛などはとかく二の次にされやすい。

そんな海上護衛に焦点を当てた本なのです。

しかし、読んでいて最初から最後まで「むなしい」という気持ちが消えなかった。
著者が自分の息子にも読ませたところ、「景気のいい話は出てこないのか」と言われたほど。

それも当然のことで、
島国である日本が海の物流を止められたら燃料も食糧も入ってこなくなることに全然思い至らず、
ていうかこれ負けるよっていうシミュレーションが開戦前に出ていたのを無視しておっぱじめ、
開戦したら戦争に欠かせない燃料も素材も、そして食糧も輸入できなくなって追いつめられていく一方。

それなのにダラダラと「いや、終戦などとんでもない」と言って、ない袖を振ろうとしてる…。
その結果、貴重な艦はどんどん簡単に沈没させられ、積んでいた燃料も食糧も海に消え、もちろん徴兵されて乗船していた兵士も何千、何万と死んでいく。

アメリカは科学者などを動員して戦法や武器を改良したが、日本は全然そういうことをせず、技術面でも差が開いていく。
伝統や栄誉のためにと言って最初から勝ち目のない計画を立て、そのために貴重な石油を費やす。
後先考えずに遠くへ遠くへと攻めた結果、燃料も食糧も補給できなくなる…。

それはあの程度の船腹しかもたなかった日本が、あのような広大な海域をかけ回らねばならないような大戦争を、少なくみても我に十数倍する国力をもつ米国を敵に展開したことに、根本的問題があったと私は思う。

むなしい。

大日本帝国という言葉を大威張りで国民は使っており、台湾、樺太、朝鮮はもちろん、満州や中国までをも勢力圏におさめていた当時の日本ではあったが、海外貿易に依存しなければ、国民生活を維持することは資源的に不可能であった。

ところが戦争中の船舶の損失によって輸入食糧は減少の一途をたどった。

日本の戦争指導者たちは、この食糧問題をもっと真剣に取り上げるべきであったのだが、彼らはこの点に案外吞気であった。

そうだよなぁ、なんで戦争中あんなに皆が飢えてたんだろうって思ってたけど、燃料も食糧も輸入してたんだよなぁ。

当時は国内(本土)の食料自給率は8割くらいだったそうなんですが、残りの2割は植民地や東南アジアからの輸入に頼っていたと。
国内の物流だって燃料がないと動かせないよね…。

油田を確保だ!と言って開戦して南方の油田をおさえ、国内の技術者をすべて南方に送ったはいいものの、確保した石油を日本に運べないことには何の意味もない。

むなしい。

戦争における経済封鎖というものの効果がもっと認識されていたならば、ことに日本側軍部によってそれが認識されていたならば、太平洋戦争はもっと早く終止符がうたれ、少なくとも、昭和二十年八月におけるこの二つの不幸な出来事(原爆投下とソ連参戦)はなしにすまされたのではないだろうか。いや、そもそも日本が太平洋戦争そのものへの途を歩むことになったのは、日本経済の海上依存の致命性に対する指導層の認識が、不徹底だったからではないのか。

巻末で著者がこう語っている。

余談:最近ぽちった続きものの最新巻

宝井理人『テンカウント』5巻


最初は展開がゆっくりであまりBLっぽくなかったこの漫画も、じわじわエロくなってきて、ついに来ましたよ。
一線を越えたことで、ふたりの関係が次のフェーズに移る予感。

以前は城谷が潔癖症になった原因となる過去が描かれてましたけど、今回は黒瀬の過去が描かれてる。
ラストで思わせぶりに新たな登場人物(女性)がチラッと出てきた。

明治カナ子『一変世界』2巻


デラ神殿にかかわる「人ならぬ者」がまたひとり登場し、14代様の具体的なエピソードがちらちら出てくる。
そしてアガサの妹が本性を見せる一方、大巫女見習いのプーリョと付き人ミンミ(ポリポリ)のコンビに、国の中枢の関係者から向けられたとおぼしき攻撃が…。

だんだん、この世界の姿がわかってくると同時に、プーリョの行く末が気になるまま以下次号。
つーか、同じ著者のファンタジー漫画『坂の上の魔法使い』全3巻を早くKindle化してほしい…!

りゆま加奈『狼は花の馨り』2巻


黒狼と白鹿の末裔が暮らす国を舞台にした民族BL。
主人公カップルの片割れとなるアルタがあんまり好きじゃないんだよなー、だって子どもっぽいし…と思いつつ読んでたら、どうにもならない状況になったアルタは「あれから時がたち、自分の境遇を受け入れ…」的な展開に。

個人的には、主人公カップルのハッピーエンドは求めてないんだけど、どうなるかな。
トグト王子の過去の話が気になりますね。

松本ミーコハウス『美しい野菜』3巻


当て馬っぽいキャラが出てきたけど、なんかあっさり解決してしまったな…。
最後はご都合主義っぽい終わり方ですけど、これにて完結です。