Kindle書評『恋愛障害』を読んで思ったけど、BLって恋愛障害だらけじゃない?

今回はKindle本の感想を踏まえつつ、それと絡めてツッコミを入れる記事です。
いってみよー。

トイアンナ『恋愛障害~どうして「普通」に愛されないのか?~』


本の表紙を見ると女性向けに見えますが、実際には男女両方のケースを分析しています。
この本は読みやすくてなかなかよかったんですけど、個人的には別の方向から感想を書いてみたくなったのですよ。

「あれ?ここで述べられてる『恋愛障害』って、BLの登場人物に当てはまる気がするよ?」
っていう。

BLに当てはまるということは、少女漫画やTLにも出てくるケースだということですね。

物理的に傷つけるか、思いこみで傷つけるか

この本で紹介されている「男性側の恋愛障害」は、大きく分けて「加害男子」と「妄想男子」の2種類。

加害男子は、次々に女をヤリ捨てするとか、複数の女と同時進行でつきあうとか、非常にわかりやすいタイプです。女への不信感や、過去にモテなかった恨みを持ってる人も多々。

妄想男子は、「どうせイケメンに限るんだろ」「女は皆クズだ、2ちゃんで学んだ」などと偏った女性像を押しつけたり、自分の思いこみで女性を避けたりするタイプ。

特に妄想男子のほうは「ネットでよく見かけるわ…」って感じですね。
あまり言いたくないですが、谷山浩子ファンの中でもしばしば見ました。妄想のパワーが強すぎる人。

とまぁ、これだけでも興味深いのですが(実際の対処法や、根っこのメンタル面をどう治すかという話も載ってます)、「あっこれBLでよく見たな?」と思ったのは以下のくだり。

束縛男子の裏の裏

加害男子のケースのひとつとして紹介されていたのが、「当然の権利として彼女を束縛する男性」。

これめっちゃ多くない?!
「嫉妬深さ・束縛の強さ」イコール「執着と愛の強さ」みたいな描き方してるBL、めっちゃ多くない?!

というよりも、「執着されることが愛されること」っていう価値観が前提になってるんだよな。
そんでわかりやすく執着の強さを表現するために、やたらと嫉妬深かったり束縛してきたりするんだよな。

いやもうほんと意味がわからんわってレベルで、BLに出てくる攻めの皆さんは嫉妬深く執着も強く、他の男性としゃべってただけでキレてレイプするわ、勝手に人のケータイいじるわ、へたすると部屋に監禁するわ…。
うん、やっぱり意味がわからない!

なんでこういうことをするのか。
この本の指摘によれば、恋愛障害とでも呼ぶべき男女はともに「素の自分は愛されないと思いこんでいる」「めっちゃ淋しくて、ひとりでは耐えられない」などの問題をかかえているようです。

男性に束縛傾向が出てくるのは、「自分から告白して付き合いが始まったものの、彼女が本当に自分を好きなのか確信できない状態」や、「収入や社会的地位などで自信を持てない時に、自分より格上の男がいたら彼女がそちらになびいてしまうんじゃないかという不安がある」といった場合です。

自分に自信がないんだけど、弱さを見せたら彼女に捨てられると思ってる。
→自分が優位に立って安心しようとする、突然不機嫌になる、強引に束縛する…。

あぁ、うん…確かにBLでも死ぬほど見たことあるし、現実でも見たな…友達の元彼とか…。
いくらでも思いついてしまうのが怖い。

例外的なBLもあるよ

基本的に、BLで描かれる「メンタル面で問題があって異常な執着や束縛を見せる」というキャラクターは、ストーリーの最後までそのままです。
攻めの異常さにほだされる、あるいは洗脳される形で受けがつきあって、共依存エンドになってしまうことが多い。

とはいえ、そうじゃないBLもあるんですけどね。

たとえば、凪良ゆう『夜明けには優しいキスを』。
根気強く主人公が寄り添ったおかげで、束縛と暴力まみれだった恋人は情緒面が安定し、加害行為をやめて「俺はもう大丈夫、今までありがとう」と主人公から卒業していく。

しかし、それ以外があまり思い浮かばないな…。
真面目すぎるストーリーは需要が少ないのか、更生していく様子を描くのは難しいからか、あるいはその両方かもしれない。

余談

などと、つらつら思いながら『恋愛障害』を読みました。

他に面白くてハイライトつけた部分を、ちらっと紹介してみるよ。

あなたが「私を大事にして」というメッセージを伝えなければ、人はあなたを「大事にしなくてもいいんだ」と判断します。先述したように、人はあなたが自分へつけた価値で、あなたを判断しているからです。

あるある。服装もそうですね。
「どうでもいいや」って部屋着みたいな服を着てる時は、精神的にも武装できてなくて、そのへんの人に雑な扱いを受けることが。

恋愛とは実際のところ、ちょっとつまらなく思うかもしれませんが「自分を害するリスクが少なく、幸せにしてくれる相手」を探すゲームなのです。

ときめきは二の次。

「一人の寂しさに耐えられる勇気」、これこそが、恋愛障害脱却のために最も身につけていただきたいスキルです。

そだね。