Kindle書評『地球を「売り物」にする人たち』『快楽上等!』ほか2冊

本の読みすぎで、スマホの充電がよく減ります。
新しい本を読みながら、合間に古い本も再ダウンロードして読み返したりしちゃうから…。

それでも4冊読み終えたので、感想いってみよー。

マッケンジー・ファンク『地球を「売り物」にする人たち』


地球温暖化によって生じるさまざまなビジネス、利権、国家の動き、気候変動難民、気候工学などについてまとめた1冊。
めっちゃ長かったです。

知らなかった言葉がいっぱいあった。新しい側面から世界を見るの、面白い。

日本の話はほとんどありません。
ただ、アフリカの「緑の長城」プロジェクトに、日本の新興宗教団体である崇教真光が加わって、現地で熱心に植樹しているというエピソードが出てきました。意外や意外。

特に印象に残ったのは、後半のこんなくだり。

彼らは気候工学という概念を死ぬほど嫌っています。自然を保護し無理をせずに暮らすというイデオロギーに染まっていて、それが時として強い反テクノロジーの態度につながります。

ミアヴォルドにしてみれば、気候工学からの提案に対して、一部の環境保護論者が示すイデオロギー的反応は、「HIVに対するローマ法王の姿勢にそっくり」だという。
(中略)
「あいにく、エネルギーを節約しろと説くのは、クリスピー・クリーム・ドーナツを食べるな、あるいはセックスするな、と禁欲を説くようなものです」
(中略)
HIVと闘うには禁欲しかないなどと法王が説くのは、道徳的に破綻しています。そんなことを言うなんて、お笑い種です。セックスよりもひどい罪だと私は思いますね。

容赦なく温暖化が進む現在の世界に対して、気候変動をどうにか制御しようという試み、それを嫌がる人々、そして気候変動の制御がそうそうたやすく人間の都合どおりにいくとは限らないという事実…。

東京都総務局総合防災部防災管理課『東京防災』


熊本の地震のあとで無料になった例の本。
もちろん、東京に特化してて参考にならない部分もあったんですが、大半は役に立つ内容でした。

「なるほど、こんな工夫が!」のオンパレード。
これも長いです。

…備え、できてないなぁ…。ヘルメット持ってないし、家の中では素足だし…。

上野千鶴子、湯山玲子『快楽上等! 3.11以降を生きる』


文庫化にともなってKindle版も新しく出たようです。
多分、単行本の時に比べて巻末の対談が増えてます。

対談の時期が時期だったためか、原発の話がやたらと出てくる。そういえば3.11の直後は皆が原発の話をしてましたね…。

面白かった部分をいくつか。

いろんな心理的な研究でわかったのは、人は抑圧し、抑圧し、抑圧し抜いても、立ち上がったりしない生き物だということ。

のっけから悲しいお知らせ…。

つまり「カネ」と「女」という記号を身につけることはね、より自由になって、私に文句を言うウザイ男を立たせないための武器として、すごく機能したんですよ。

湯山さんが派手な女!って感じのファッションをしてたのは、武装として非常に有効だったからだそうです。
あと、単にリブや一部のフェミニストの女性たちがダサくて嫌だった、と。

上野千鶴子も「フェミにもいろいろあって、母性礼賛系、クジラ・イルカを保護するエコロジスト系の人たちとは合わなかった」と答えてます。

この人たちは学生運動が激しかった世代だと思うのですが、
「左翼って結局ただの家父長制だし、彼らの仲間に入る女も地味で男の顔色をうかがってるタイプだったし、くだらねえわ(意訳)」
とバッサリ。

つまり、「たった一人のあなたに私を丸ごと全部受け止めてほしい」という、自分の全面移譲なわけでしょ。虫のいいこと、考えるなよだね。あなたを全部受け止めてくれるのは、神さまか麻原だけだって(笑)。

男と女の意識だと、女のほうが古いし、いまだファンタジーを信じてる。男たち、特にアラフォーより下の世代を見てると、「女は黙ってついてこい」という意識はほとんど見られない。

結婚・恋愛に関して、女性にありがちな「私のすべてを受け入れる人がほしい!」という考えには、「それはね、宗教ですよ」と。

性交はなくても、ベタベタとした添い寝主義の人って多いんじゃないでしょうか。私はそれもセックスの一つだと思ってるんです。

なんかわかる…。
興奮しないけど安心するし、毎日できるし、精神の安定に役立ってる気がする。

「女も断られることを学習しなきゃいけない」とは、私もだいぶ前から言ってきた。選ばれることに自分の全存在をかけてるから、「ノー」と言われたら全存在を否定されたと思うのよ。

女の人は承認欲求にとらわれすぎですよ、とも言ってました。

森博嗣『工学部・水柿助教授の逡巡 The Hesitation of Dr.Mizukaki』


シリーズ2冊目。

森博嗣をモデルにしたとおぼしき水柿くんは、奥さんの頼みでミステリを書くことに。
しかし、読み終えた当の奥さんの反応がかんばしくないので、くやしくなって出版社に送ったところ、たちまちデビューして売れっ子作家になってしまいます。

カスタマーレビューを見ると「この本では編集者の本音がうかがえる」と残念そうに書いてる人もいますね。
でも真理だと思うよ。
こんな本を書くなんて!と感想をわざわざ出版社に寄越す人はヘビーユーザだから、どっちにしろ本を買ってくれるもの。

水柿くんは仕事(原稿)の依頼があったら毎回ちゃんと納期を守ったため、おかげでますます作品は量産されて印税がどんどん入ってきてしまいます。

まさか「書けなかった」「思いつかなかった」という言い訳だけで納期(締め切り)を破っていいとは思わなかった、だって普通の仕事だったらそんなの許されないじゃないか、と語る水柿くん。本当ですね…。

余談:最近読んでいる本

ヴィルヘルム・グレンベック『北欧神話と伝説』


殺し合いの話がめっちゃ多いぞー!
「ベルセルカー状態になって目の前の人間を殺してしまった」とか多すぎ!

「誰が誰に恋して手を出して、嫉妬した誰それがこんなことを」的な性愛・恋愛のエピソード豊富なギリシャ神話に比べると、ギャップがすごい。

林佳世子『興亡の世界史 オスマン帝国500年の平和』


まだ読み始めたとこ。

「オスマン・トルコという表記は誤りです。あれは多民族国家だったし、王家であるオスマン家は実に多種多様な国々から妃をむかえていたし、オスマン帝国と呼ぶべきです」
って大学の先生がおっしゃってたんですけど、それと同じ内容が冒頭に出てた。

余談:最近ぽちった本

猫の本をつい何冊か。

あと森博嗣が講談社タイガから出してる新しいシリーズにも、手を出してみることに。
SFだと聞いて!