Kindle書評『マイ・ディア・マスター』と『叛獄の王子』1巻

今回はM/Mロマンスの2本立て!
いってみよー。

ボニー・ディー、サマー・デヴォン『マイ・ディア・マスター』


ハーレクインだと日本でも多く翻訳されていますが、M/Mロマンスではまだまだ少ない(というか多分ほぼない)ヒストリカルです。

※ヒストリカル…現代ではなく馬車が走っている時代を舞台にしたロマンス小説。

ある貴族の凍えた人生にぬくもりを与えた、軽妙な語り口の青年

底辺層の男娼と、彼を連れ帰ってしまった貴族の男性とのお話。

BLだと「拾われた男娼が、身分ちがいの恋に迷っていったんは身を引こうとする」とか、「男娼の色香に血迷った貴族が異様な執着心を発揮」とか、そういう展開が思い浮かぶ設定です。

が、このお話は「世慣れて機転のきく男娼と、自分の性指向を認められずにいた貴族の男性が、育ちのちがいなどから衝突しつつも次第に惹かれ合う」という流れです。安心して読めるね!

皆の前では主人と従者として行動するけど、ふたりだけになると身分差をかなぐり捨てる。
ちょっとだけ松岡なつき『FLESH & BLOOD』を思い出すわ。

前半はふたりの出会いから、ふたりが次第に距離を縮めて打ち解けていくまで。
後半は、貴族の男性が昔の部下の娘を救うため、従者となった男娼と一緒に敵地へ乗りこんでいく。ちょっと緊張した。

海外の作品なので、ふたりの関係はリバです。
実際、身分差はあれど、ふたりは基本的に対等なやりとりをしているので、リバでも全然不思議じゃない。
(日本のBLでは受けと攻めが対等でない関係も多くて、そのためかリバは嫌われがち)

エロシーンけっこう多いけど、どことなく上品な印象です。「麝香」って単語が頻繁に出てくるせいだろうか…。
言葉攻めも控えめ(なので逆に抑えたエロさを感じさせる)

C・S・パキャット『叛獄の王子』1巻


これもM/Mロマンスですが、こっちはファンタジーです。
3部作の1冊目。

陰謀渦巻く敵国の宮中を生き抜け

もともとの文章のせいなのか、それとも翻訳のせいなのかは不明ですが、ちょっとだけわかりにくい書き方のお話だった。
何かしら婉曲的なのね。

ある国の王子(王位継承者)だった主人公は、異母兄弟の王子の反逆によって、身の回りの従者や奴隷を全員殺され、敵対する国へ性奴隷として差し出されてしまう。

主人公は死んだことになっており、もし自分が王子だとバレたら何が起こるかわからない。
敵国の王子への贈り物にされた彼は、自分の怒りや憎悪をこらえて、どうにか奴隷として従順にふるまいながら脱出の機会を狙おうとする…。

一方、主人公の所有者となった敵国の王子は、嘘をつくのが非常にうまいという厄介な相手。
しかも「不感症なのでは」と兵士に陰口を叩かれるほど、下半身のネタについては冷めている。

そのため、エロシーンは基本的に主人公以外が担当しています。

主人公は、どうにか無事に生きのびて逃げたいので、周囲の人間(特に王子)の腹を探りながら考えをめぐらせる。
しかし、王子は主人公を嫌いながらも、なぜか執着して手放そうとしない。

やがて宮廷内での陰謀に巻きこまれ、自分の故国を守るために、主人公は王子の味方をせざるをえなくなる…。

巻末には、おまけの短編が収録されてます。
こっちは主人公とともに敵国へ連れてこられた別の性奴隷が、故国にいた頃の話。
主人公がかつて王子だった頃、王族に仕える日々を夢見て修行に励む彼らの目からどんなふうに見られていたのか、うかがい知ることができる。
直接的なエロいシーンは出てこないのに、めっちゃエロさを感じる話やったわ。

続きはいつ出るのかな。