Kindle書評『生物はなぜ誕生したのか』と『オリガ・モリソヴナの反語法』

面白い本がいっぱいで楽しいなぁ…。
あと50冊でKindleの蔵書が1300冊になるな…でもまだまだ全然読み足りないわ…。

ZenPadのおかげで漫画を読むのも楽しいし。

てなわけで、最近読み終わった本の感想いってみよー。

ピーター・ウォード、ジョゼフ・カーシュヴィンク『生物はなぜ誕生したのか 生命の起源と進化の最新科学』


Kindle化するのを待っていた1冊。
長かったー!やっと読み終わったー!

いろんな研究がつながって新しい発見が生まれる

21世紀に入ってから、地球の歴史、そして生物の歴史にどれだけの新発見があったかを物語る1冊でした。
子どもの頃に学校で教わる知識って、歴史であれ理科であれ、研究の進歩で古くなってしまうことが多いので、こうして大人になってからも本を読んでるわけなんですけど。
「えっ、そうだったの?」の連続ですよ。

そりゃもういろんな話が満載なので、とてもうまく感想を紹介できない。
ただ、「20代の頃に紙の本で読んだ内容だけじゃなくて、最近Kindleで読んできた本の内容も、この本とリンクしてるぞ!」っていう面白さがありました。

『鳥類学』、『ネアンデルタール人は私たちと交配した』、『宇宙生物学で読み解く「人体」の不思議』…。
あと、結局買わなかったんだけど、アラン・フェドゥーシア『鳥の起源と進化』も気になってたんだよなぁ。彼の本で展開されていた説が現在はほぼ否定されているということも、今回の本に登場してました。
科学、つながってる。

ストロマトライトが出てきた時には、舟崎克彦の児童文学『ぽっぺん先生』シリーズを思い出した。

やっぱ、たくさん本読んだほうが面白いね。
そして私の根っこには、カール・セーガンがいるね。彼は生物学者ではなくて天文学者だったんだけど。

ほとんどの大量絶滅は隕石の衝突が原因なのではなく、火山活動による温室効果ガスの急増とそれに伴う地球温暖化によってもたらされた。

生き物の体のサイズには、大気の酸素と二酸化炭素の濃度が強く関連していたという指摘、かなり面白かったです。
具体的に「この種の動物はこういう構造の肺をしているから、低酸素の環境には適応できなかった」とか、「この構造の肺だと、激しい呼吸ができないから走れなくて、待ち伏せ式の狩りしかできない」とか説明してくれるのね。

だからこそ、酸素や二酸化炭素の濃度の変化が、生き物たちの栄枯盛衰(絶滅と、それにともなう他の生き物の台頭・繁栄)に影響したのだと。
(二酸化炭素の濃度が上がると、気温が上がる。そしてほとんどの動物は45℃以上の環境では生きられない)
(他にも極移動など、大量絶滅を引き起こす要因は多い)

「クライオジェニアン紀」という初耳の地質年代が出てきたり、エボデボ(進化発生学)という初耳の研究分野が出てきたり。
スノーボールアース現象が何度か起こった(しかも海まで凍結した)証拠と、そこからどうして解凍できたのかという説明も面白かったですね。

個人的には後半の鳥類の話が特に楽しかったです。鳥!!

気囊式が哺乳類のシステムより優れていることは疑いようがない。海抜ゼロメートルで空気中から酸素を摂取する効率は、鳥類が哺乳類より三三パーセント高いと推定されている。ところが、高標高の場所ではこの差が大きくなる。地上から約一五〇〇メートルでの酸素摂取効率は、鳥類のほうが二〇〇パーセント高い。このため、高所では哺乳類や爬虫類と比べて鳥類が圧倒的に優位に立てる。

鳥類の呼吸方法について。
(気囊は鳥の肺についている)

小惑星が衝突しても絶滅せずに生き残れる脊椎動物がいるとしたら、それは間違いなく鳥類である。

うむ。

あと、この本で見つけた誤記を報告したら、けっこう早く修正対応してもらえました(本を読み終わる前にアップデートが来た)。すごいね!

米原万里『オリガ・モリソヴナの反語法』


ロシア語通訳・エッセイストとして活躍した米原万里が、フィクション(小説)という形で出した、ノンフィクションに近い要素満載の1冊。

強烈な個性の過去にあるもの

子どもの頃、プラハのソビエト学校に通っていた日本人女性が、大人になってから当時のソビエト学校で出会ったオリガ・モリソヴナ先生の消息と謎に迫っていくというストーリーです。

「どうしてあんなとんでもない先生が、審査の厳しいソビエト学校に採用されたのだろう」と子どもたちが不思議がるほど、しゃべり方もファッションも強烈すぎるオリガ・モリソヴナ。
他の授業中に男子生徒が彼女の真似をし始めるくだりとか、笑ってしまった。

主人公とその元同級生が、杓子定規なソ連のあちらこちらの施設に問い合わせたり、さまざまな資料を探したりして調べるうちに見えてきたものは、スターリン政権下での粛清の嵐。

ちょっとミステリっぽくて、続きがどうなるのか気になってどんどん読んでしまった。

小説だからと思ってなかなか手を出さずにいたんだけど、実際にあったこととか、実際の資料を引用しているので、ノンフィクションのようでした。

巻末には米原万里と池澤夏樹の対談が収録されてます。
米原万里のこんな指摘が。

究極の極悪人が一人だけいるわけではなくて、悪がシステム的に分散されている。それこそが資本主義国の悪だと思うんです。スターリン時代のソビエトのような独裁体制の国は、悪い人は絶望的に悪い。その一方で、こんなに人がよくて大丈夫なのかと心配になるほどいい人がたくさんいます。

でも、その「いい人」たちも結果的に悪い人を止められなくて、加担してしまうんだよね、という。