Kindle書評『ロング・ゲイン』『夜間飛行』『アイヌ語学』

最近またスマホで本を読んでいるため、あまり漫画を読まなくなりました。

画面が小さくて「眉間にしわを寄せていることが多い」と彼氏に言われるから、スマホで読む時は文字を大きめにしてます。
たまに紙の本を見ると、「こんなに文字ちっちゃかったっけ?」って驚くよ…。

というわけで、感想いってみよー。

マリー・セクストン『ロング・ゲイン ~君へと続く道~』


M/Mロマンスを積極的に翻訳・出版している新書館モノクローム・ロマンス文庫。
翻訳の手間がかかる分、900円前後のお値段になることが多いんですけど、ビーボーイノベルズやリンクスロマンスに比べたら全然安いよね!

※ビーボーイノベルズやリンクスロマンスは、BL小説のレーベル。新書サイズなので基本的な価格帯は900円以上。しかし、2段組ではなく1段組で、通常の新書の小説を読み慣れた人にとっては「あれ?この分量でこの値段って高くない?」となりがち。
基本的にBL漫画・BL小説は一般文芸や少年漫画・少女漫画に比べて発行部数が少ないため、値段は割高である。

人と人との交流関係が少しずつ回り始めて、広がって深まっていく

Amazonの商品情報によれば「2010年Goodreads Best M/M Romance部門第一位受賞作品」。

いやもう…いい話だったよこれ…。ほんと…。
しかもちゃんとエロシーンも何回かあった。
ちなみに、BLでは局部を「蕾」「後蕾」「雄」「剛直」などの隠喩で表現することが多いですが、M/Mロマンスでは「ペ✕ス」など、そのものずばりの表現が多いです。台詞でも「フ✕ックしたい」とか普通に出てくる。

主人公のジャレドはコロラドの田舎町で、兄夫婦の店を手伝って暮らしている。
町の人は皆、昔からの顔なじみだし、彼がゲイであることを知っているので、ここでの毎日には自然と制約がついてまわる。
たとえば、保守的な人がいるお店は利用できない(ゲイだというだけで追い払われるらしい)とか、「あいつはゲイだからお前を襲うに決まってる」と自分の息子に吹きこむ親がいたりとか。

そこへ、めちゃくちゃ好みの外見をしたイケメンの警官マットが引っ越してきて、ジャレドと仲良くなる。

町の男性たちは「ジャレドと一緒にいるだけで俺もゲイ扱いされる」「俺は襲われたくない」と考えていて、ジャレドもそこまで社交的な性格じゃないもんだから、ずっと孤独だったわけですよ。
家族との仲は良好で、特に兄嫁のリジーとは仲がいいんだけど、それでもやっぱり一緒にアウトドアへ出かけたりフットボールの試合を見ながら一喜一憂したりする男友達がほしい。

だからこそ、ジャレドは気の合うマットとすごすことがものすごく楽しくて、友情を失いたくないから、彼に惚れてしまわないように、なるべく態度に出さないようにと気をつけている。だけど…。

一進一退の末、ふたりのあいだに恋愛感情が芽生えたあとも、ジャレドが自分の臆病さと向き合わねばならない時が訪れたり、マットが自分を縛る父親の枷に抗おうとしたり、いろんな展開があります。

あと、ジャレドは田舎町で「ゲイだから男を襲うにちがいない」などというひどい偏見を持たれてるわけなんだけど、それでも実際にジャレドと接して「彼はそんな人じゃない」と認識を改めた人たちが少しずつ増えてって、交流関係もちょっとずつ広がっていくのね。
そういう恋愛以外での展開も、すごくよかったです。

サン=テグジュペリ『夜間飛行』


光文社古典新訳文庫が、またもやセールしてたので、ぽちった1冊。

失敗があっても次へ進む

以前から存在を知っていた小説。

郵便を運ぶ飛行機の夜間飛行にまつわる話です。
まだ夜間飛行が危険だとされていた時代に、夜間飛行を敢行していた民間企業が舞台になってる。

ある夜間飛行の最中に、1機が嵐に巻きこまれ、音信不通になってしまう。
皆で必死に連絡をとろうとしたり、各地の天候を確認したり、音信不通になった飛行機のパイロットの妻が恐怖にかられて会社を訪ねてきたり…。

てっきりこの飛行機が無事に助かる話なのかと思って読んでたら、「あれから何分たったけど連絡がない。もう墜落してしまっただろう」みたいな台詞が出てきて、その後、その墜落した飛行機の話は一切ふれずに終わったから、びっくらこいた。

この話の主題は飛行機が墜落するドラマそのものではなくて、そういう危機に見舞われても決断を下して次の飛行機を飛ばし、夜間飛行の業務を続けるという、そっちのほうだったんですね。

ひとは一度なにかを選び取ってしまいさえすれば、自己の人生の偶然性に満ち足りて、それを愛すことができる。偶然は愛のようにひとを束縛する。

気に入った一文。
序盤はめっちゃ詩的なんですが、飛行機が墜落するかも、というあたりから時間は小刻みになり、サスペンス風になっていきます。

知里真志保『アイヌ語学』


青空文庫です。

でたらめな語学

青空文庫は、雑誌に載った原稿かな?くらいの短い1編も1冊としてリリースしているので、たまに相当短い本があります。
この本もそのたぐいです。

アイヌ語学というタイトルになってるけど、巷のアイヌ語研究がいかにでたらめか、と指摘している内容だった。

アイヌが読んでも分らないアイヌ語で書いてあるという点で、これは誠に天下の珍本たるを失わないものなのであります

呪文が書いてあるのかな?

アイヌ語のカムイは古くは悪魔の意味ですから、カムイコタンというのは、実は「悪魔のいるおそろしい場所」の意味なのであります

カムイを神と訳すことについて、著者の異議申し立て。そ、そうだったのか…。