Kindle書評『工学部・水柿助教授の日常』と『エンペラーといっしょ』

なんとなく、森博嗣の日常系の話は、ペンギンの漫画と一緒に紹介したい気がした。

というわけで、小説と漫画の感想いってみよー。

森博嗣『工学部・水柿助教授の日常 The Ordinary of Dr.Mizukaki』


以前、面白くて紙の本で何度も読んだ1冊。
日常系ミステリと、森博嗣の自伝エッセイ的な話を足したようなシリーズです。

そうそう、この頃はまだ助教授だったんですよね…今は准教授って呼ぶようになっちゃったけど。

理系が皆こんな感じだと思っていいのかどうかはさておき

森博嗣をモデルにしたとおぼしき水柿助教授の、どことなくとぼけた味わいの日常。
そこに「誰も通らない場所でなぜかミステリーサークルが」とか、「居酒屋で客と店員が噛み合わない問題」とか、「酒豪の教授の荷物がホテルで消えたのはなぜ?」とか、そういう日常系のミステリ要素がちょっとだけ入ってます。

正直なところ、私はミステリにあまり興味がなくて(10代の一時期めっちゃ読んだけど、それでお腹いっぱいになってしまった)、もっぱらエッセイみたいな日常の部分を楽しんで読みました。
あと、いわば探偵役に当たる幸村さんが「自分の立場をわきまえてて控えめだけどデキる女」のテンプレみたいで好きになれなかったというのもあるけど…。
(真賀田四季も百年シリーズに出てくる女王も好きじゃないし、西之園萌絵に至っては嫌いなので、森博嗣の作品に出てくる主役級の女性キャラが好みに合わないのかもしれない)

水柿君は自分のジョークの手応えを確かめようとして、やっきになって解説を付け加えている。こういうとき、人間は自分を見失い、無防備になるものだ。

若いときの恥ずかしさを知ることが、すなわち大人になることであって、

このあたり、ニヤニヤしてしまった。

簡単な話をすれば、ヤマを知っている人間は、全体を知っているわけで、そういう人間は試験に必ず合格するだろう。そんな優秀な人間から、ヤマだけを教えてもらった者は、どこかでミスをする。これはカンニングでも同じこと。
(中略)
だから、ヤマだけを聞いて鵜呑みにした文章を書いたり、あるいは、試験中に密かに回ってきたカンニング・ペーパを丁寧に書き写したつもりでいたりしても、思わぬところに、必ずといって良いほど落とし穴がある。非常に高い確率で、化けの皮は剥がされてしまうのだ。

これ、初めて読んだ時に「なるほどなぁ!」ってうなった部分。
あの頃は私もまだ高校生だったんで、入試のくだりは特に面白かったんですよね。
(母が単行本を図書館で借りてきて、母が読んだあとに又貸ししてもらって爆笑しながら読んだ。その後、自分でも借りて読んで、文庫化された時に買って、いったん手放して、今回こうしてKindle版をぽちっている)

また、水柿くんと須磨子さんの結婚生活のエピソードも、当時は少々うらやましく思いながら読んでました。
変わり者だけどお互いにしたいことをしていて、相手にあまり干渉しない夫婦、いいじゃん、みたいに。

ただ、実際に自分が彼氏と夫婦生活に等しい暮らしを送るようになってみたら、「水柿くんみたいな人と一緒に暮らすのは面倒そうだな」って実感した。
あんまり夫婦の会話がないし、海外出張しても深く考えず適当にお土産を買ってくるし(しかも買ってきたのを忘れている)、愛妻弁当も食べるのを忘れたりするし…。

夫婦生活がそういうもんだと思ってたら「まぁいっか。本読もう」って適応しちゃうんでしょうけど、相手が自分のことをよく見ていて、しょーもない話をして笑わせようとしてくる毎日に慣れてしまうと、「水柿くんみたいな夫との暮らし、ちょっと物足りないなぁ」って思っちゃいそうではある。
(そのかわり水柿くんは稼ぎがいっぱいあるわけだが)

mato『エンペラーといっしょ』1巻


Twitterでイラストをツイートしていた人が、なんとそれを漫画化しちゃいました。
フルカラー!

ペットにはいささかでかい、それが皇帝ペンギン

ある日なぜか突然、冷蔵庫から皇帝ペンギンが出てきました。
というわけで、おっかなびっくり始まる皇帝ペンギンと主人公(女子高生)と両親との暮らし。

水族館で実際に取材したらしく、ペンギンのくちばしに生えた歯に驚くシーンやら、ひなを守るようにしてお腹の下にそのへんの小物を入れてしまう設定やら、皇帝ペンギンを飼ったら実際に起こりそうなエピソードがあって楽しい。

しかし、皇帝だけあって、でかい。
普通に主人公の腰よりも背が高いから、床に座ってごはん食べてると、横に立ってるペンギンの威圧感がなかなかのものです。

カバー折り返しやカバー下も収録されてました。

皇帝ペンギンといえば、彼らの繁殖を追ったドキュメンタリー映画がありましたなぁ…。

Amazonビデオでも配信されてた。
この漫画で「皇帝ペンギンの鳴き声ってどんなの?」という話も出てきますが、映画では鳴き声も死ぬほど聞けるぞ。