Kindle書評『人体六〇〇万年史』から『水に眠る恋』まで13冊

放置するとすぐに溜まるもの、それがKindle本の感想。
サイエンス系の本からBLまで、まとめていってみよー。

ダニエル E リーバーマン『人体六〇〇万年史──科学が明かす進化・健康・疾病』上下巻



Kindle版で上下巻ぽちると3000円を超えるお値段ですが、大変大変おすすめです。

糖質制限、MEC食、パラオ式ダイエットなどといった食事法の根拠になりそうなことを示しつつ、同時に「それが100%合ってるってわけでもないんやで」と釘を差してくる本。
いやー本当に面白かった。ハイライトつけすぎた。

なぜ今、世界的に肥満や生活習慣病の人が急増しているのか。
この本では、人類の祖先が樹上生活から徐々に平地での二足歩行へと移行していく、そこから語り起こしています。

重要なポイントは、「私たちは健康になれるように進化したわけではない」ということ。

「人類の体は、こういう食べ物に適応してない!だから体に適応したものを食べれば健康になれるし、太らずに済む!」
という主張を、糖質制限、MEC食、パラオ式などの根拠として聞いたことないですか?
それはある意味では正しいのですが、ある意味ではまちがっている。

人間の適応の多くは必ずしも、肉体的、精神的な幸せを促進するよう進化してはいないのである。

この本によれば、人間の体というものは、その長い歴史の中で、実にさまざまなものに対して適応してきたため、適応の状態もつぎはぎだらけだし、一概に「これに適応してるからOK」とは言いがたい。

さらにもっとも重要なのが、これは「子孫を多く残せたかどうかの問題である」ということ。
つまり、多少は不健康であっても子孫が残せるのなら、その人の遺伝子や生活習慣は問題なく次に渡されていく。
私たちの体は、健康で幸福な暮らしができるように進化したのではない。ただ単に子孫を残すことのできた個体の遺伝子を継いでいるだけなのだ、と。

断っておくが、現在の食生活にしろ過去の食生活にしろ、あまりにも単純な特徴づけは信用しないほうがいい。現代西洋の食生活が決して一様ではないように、狩猟採集民も農耕牧畜民も、決して一定の食生活をしていたわけではないからである。

覚えておきます。

私たちは身体的に活発な、持久力の高いアスリートであることに適応している。食べ物に関して言えば、果実、塊茎、野生の鳥獣、種子や木の実など、雑多なものを食べるように進化してきたが、それらは総じて糖分や塩分や単糖類が少なく、タンパク質や多糖類や食物繊維やビタミンが多く含まれている食物だった。

しかし、私たちは健康にいい食べ物よりも、消化されやすく太りやすくさまざまな病気を招きやすい加工食品のほうを食べたくなってしまいがちだし、安寧や快適さを幸せだとかんちがいしてしまうし、自分の環境や習慣を変えることはなかなか難しい。

そして、多くの人が誤解していることだけれど、自然選択は今も絶え間なく続いている。

佐倉リコ『わからずやの恋愛方程式』


BL漫画。
優等生受け大好きなちーけんさんが絶賛していたので、ぽちっとな。

確かに絵もストーリーも読みやすかったわぁ。
私の中で「めちゃくちゃ好き!!ハマる!大絶賛!!ってわけじゃないんだけど、定期的に読み返したくなるBL漫画」というものがありまして(何十冊もある)、この作品も仲間入りしそうです。

英田サキ『エス still recall』


『エス』シリーズの番外編など、非売品(応募者全員サービスの小冊子)で発表されていた短編を集めたもの。

わーい!
主人公の椎葉と、義兄である篠塚のやりとりに相変わらず微笑んでしまう。

イラストを担当していた奈良千春の漫画も収録されています。漫画というより、小説の一部の場面がまるまる漫画になってる。
奈良千春の漫画は珍しいですねぇ。季刊誌の『CRAFT』で1回見たことがあるくらいです。
あとは確か水原とほるの短編集『窓』で、漫画みたいにふきだしの入ったイラストを描いてはった気がする(うろ覚え)

chi-co『LOVE & CHAIN ~ドン・カッサーノの甘美な檻~』


BLでアラブものといえば、
「アラブの王族に惚れられた主人公(日本人男性)が拉致られて、砂漠のハーレムに幽閉される」
というテンプレが存在しますが、この作品はそれをイタリアのマフィアに置き換えた感じです。

ただし、アラブもののテンプレとちがって、恋敵となる女性も、主人公を横取りしようとする王族も登場せず、「拉致られて心を閉ざしていた主人公が、いかにほだされて両思いになっていくか」という展開です。
ひやひやする展開が苦手な人にとっては、安心して読めるんじゃないでしょうか。

ただ、「なんでこの主人公はこんなにうじうじしているのだろう…逃げたいならメシ食って運動して体力つければいいのに…」と素朴な疑問を抱いてしまったけど。
おかげで創作意欲が湧いた。

高永ひなこ『花と蝶(ひらり)』


BL漫画。蝶と書いて「ひらり」と読む。あとがき読むまで気づかなかったよ…。
全2巻くらいになる予定だそうです。

強くなりたくて、空手やらなんやらをたしなんできた体育会系の主人公が、合気道をやっている男の子と知り合うところからスタート。
その子は合気道ではめっちゃ強いんだけど、霊障に苦しんでいて…という少々オカルト的な展開。
一方、主人公は、そういう邪気を跳ね飛ばして(というか浄化して)しまう体質だったので、彼を助けるため、生活面でも深くかかわることに。

1巻の時点ではエロとか全然ないです。

森博嗣(原作)+スズキユカ(漫画)『女王の百年密室』


森博嗣のSFミステリ小説を漫画化したもの。

これ、特に好きなのが、続編の『迷宮百年の睡魔』なので、そっちの漫画も早くKindle化してほしいです!

蔓沢つた子『好物はいちばんさいごに腹のなか』


BL漫画。初めての漫画家さんだと思う。
裏表紙も収録されてました!

人類が皆、猫人間になってて、男でも妊娠できるというSF設定。
むしろ、男でも妊娠できるというより、男しかいない(精子も卵子も両方出せる)

家族にあこがれており、そのために子どもを産みたくて、子種を得るために夜な夜なフェロモンを出しては引っかかってきた男とやりまくっている主人公。
その主人公が結婚するまでのお話です(後日談は結婚後の子育て生活)
同じ世界観で他にも何本か短編が入ってる。

あと、ヤンデレな甥っ子と、そのヤンデレっぷりを無効化するほどアホな叔父(31歳)のお話も収録されてます。
これまた極端だなー!
コマの外に「ヤンデレ殺しのおバカさん」って書いてあったよ…。

星政明『Amazonの3.11』


3月11日に無料キャンペーンをやっていた1冊。

Amazonのほしい物リストで被災地に物資を送るあのシステムって、こういう経緯で運用されてたのねぇ。

丸木文華『mother』


以前から気になっていたBL小説。
ネタバレすると、ちょっとだけ五百香ノエルの『彼と彼氏の秘密』を思わせる展開です。

主人公の性格造形が独特だな。
天使みたいだと周りの人に言われる外見なんだけど、ものごとを深く考えず、表面だけを見て済ませる、嫌なことは長く考えていられないという性格なので、いじめられても相手のことを憎まない。
むしろ、相手をあわれんで、どうにか救えないだろうかとすら思っている(めっちゃ上から目線)

これ、主人公が女だったら、小学校か中学校の段階で簡単にだまされて悪い男のおもちゃにされてるでしょうね…。

「亡き母にそっくりの美しい(そして深く考えない性格の)主人公を、金持ちの家の息子・塚越が策を弄して落としました」
というストーリーなんですが、同時に、
「セックスできる母親(主人公)を手に入れた」
というストーリーでもあるんだよね。

主人公は美しいし、どんなにひどいことをされても許してしまうし、母親のように受け入れてしまうし、毎晩エロいこともさせてくれるし、今まで塚越が求めても得られなかった家庭的な料理までつくってくれる。
う、うわー…引くわ…。

読んでて面白いんだけど、冷静になると相当気持ち悪い話ではある。
セックスできる母親と結婚したがる男って、一定数いるけど、地雷でしかない…。

ちなみに、挿絵は収録されてませんでしたが、同じ電子書籍でもhontoでは収録されているようです。
(最初は挿絵なしで配信されて、その後、挿絵ありにアップデートされた模様)

凪良ゆう『恋愛犯~LOVE HOLIC~』


BL小説。
今度はストーカーだよ!

あまりにも他人と没交渉なものだから、ちょっと話しかけてくれただけの相手を好きになってしまい、ストーカー行為をくり返す主人公。大変怖いですね。
しかも、当の相手が記憶喪失になったのをいいことに、強引に同居してしまいます。

ちゃんと少しずつ少しずつ、前に進んでは戻り、また前に進み…という感じでふたりの関係性は無事ハッピーエンドに向かうのですが、これまた「冷静に考えたら許されることではないな」って感じではある。

主人公が最初に捕まった時に、刑事が言い放つ、

「ただ好きなだけ、ただ見てただけ。お前らみたいな奴は決まってそう言いやがる!」

という台詞が私の気持ちを代弁していたので、思わずハイライトつけてしまった。

それに、「見てただけなのに駄目なんですか?」って言われたら、「駄目です」って答えるよ。当たり前だろ。
コミュニケーションには手順とか段取りとかあるんだよ!
って言いたいよなーと思いながら読んでました。

挿絵は収録されていません。

丸木文華『あんたとお前と俺。』


BL小説。
表紙で下のほうが暗くなってますが、紙の本ではちょうど帯で隠れており、帯をとるとエロい絵が見えるようになっていたようです。
(見てないからわかんないけど、レビューにそれっぽいことが書いてあった)

母親の再婚相手が子持ちだったため、突然30歳の義兄と17歳の義弟ができてしまった主人公18歳。
表紙でお察しのとおり、この義兄と義弟との3Pです。

エロ主体のお話なので何も考えずに読めるから、寝る前とか、仕事で疲れてる時とか、ちょうどいい。

可南さらさ『水に眠る恋』


BL小説。
円陣闇丸が表紙を担当していたのでぽちってしまいましたが、リンクスロマンスなので挿絵は収録されていません。

高校時代に恋をして、でもどうしても一緒にいられなくて裏切って逃げだした相手と、大人になってから再会しちゃいましたストーリー。
「あの時の裏切りを償え」と迫られて体の関係を持っちゃうやつです。
基本的にBLでは「償え」と言われたら犯されるフラグです。

ちなみに、誤字を見つけてAmazonカスタマーサービスに報告したところ、1週間たたずに修正されました。すごい!
普通の出版社だと何ヶ月もかかる(へたをすると修正されない)ので、リンクスロマンスの株が上がった。

余談:シリーズものの続編

ヤマシタトモコ『さんかく窓の外側は夜』3巻


待望の3巻、出ました!

ヒウラエリカの日常の一端が描かれてる。
さらに、三角と冷川の関係にも(悪い意味で)変化が…。
あれ?俺もしかしてどんどんやばい状況になってなくね?と三角くんが気づいたところで、なかなか事態は変えられない。

あと、三角くんの失踪したお父さん、すごく怪しいですね。もしかして…?