Kindle書評『日陰蝶』『甘える首輪』『薫りの継承』

最近、BLは漫画よりも小説を読むことが多いです。

漫画よりも小説のほうが読みたいなーって時もあれば、漫画が読みたいなー小説はハズレばっかりつかんじゃったしなーって時もある。
心底どうでもいい話ですが!

そんな中でも何冊か漫画を読んだので、感想いってみよー。

名取いさと『日陰蝶』


高校の剣道部を舞台にした話。
タイトルの時点でお察しですが、あまり明るい話ではない。

悪い大人たち(と、ぐるぐるふり回されたり悩んだりする子どもたち)

過去にいろいろありそうな、剣道部の顧問の先生。
やる気のない剣道部の中で唯一、実力がある生徒(でもやっぱり過去に何かありそう)
そんな彼にあこがれて途中から入部してくるクラスメイト。

共学の学校なのに男子校だろうかと思うほど男性比率の高い漫画ですが(BLにはありがちだけど)、過去に何かありそうな先生と、過去に何かありそう(というか、あった)生徒を中心に、だんだん話が不穏な方向に流れていく。

…先生がすごく悪い人です。
子どもの過去に深い傷を負わせるタイプとでも言うのか…。

カバー下の4コマ漫画も収録されてたよ!

続編で『ひらひらおちる』が出てます。

粉子すわる『甘える首輪』


試し読みのページ数がたくさんあって、うっかりそのままぽちってしまった1冊。
初めて読む作家さん。絵がきれいでした。

最初から最後まで体の関係(だけ)

ふたつの話が入ってた。

ひとつは表題作。
主人公の男性モデルは、ほっそりとした清潔そうな外見に反して、セックスの際に相手の首を絞める嗜癖がある。
問題を起こされてはまずいので、事務所側はSMも可能な男の子(ウリ専とか言われる人たち)にお金を払って、主人公にあてがうのだが…という話。

もうひとつは、既婚者との不倫に苦しみながらも、それをやめられずにいる男性と、そんな彼に横恋慕する主人公の話。

表題作、思ったよりあっさりした話だったので、ちょっと拍子抜けだった。
てっきり相手の男の子が主人公の秘密を握って暗躍したりするのかと…。

そしてBLの中では珍しく、「体の関係から始まったけど愛が芽生えた」というノリの話じゃなくて、「自分の嗜癖にとことんつきあってくれる美形の男の子、大好き!」って感じの、最初から最後まで恋愛じゃなくて体の関係の話だった。

これはこれで面白いな…。
多分、他のBLだったら「お金を払って体を買うんじゃなくて恋人になってくれ」みたいな展開になってた気がする。
この漫画では最後まで、お金を払って相手の体と時間を売り買いするドライなスタンスです。
(反動のように、後半の不倫のお話はちゃんと恋愛ネタになってたけど)

カバー下や背表紙、裏表紙なども収録されてます。すごい。

中村明日美子『薫りの継承』上下巻セット


去年の夏からずーっとKindle化するのを待っていた漫画。
上下巻に分かれていますが、Kindle版はセットになっているバージョンもあります。セットのほうを買うと、単行本未収録のイラストが1枚だけ入ってる。

たぶらかす薫り

中村明日美子だー!
相変わらず独特の色気がある絵だのう。

両親が再婚したお金持ちの家を舞台に、兄と、義弟(母の連れ子)のBLが展開するお話。
この手の話には珍しく、ふたりが関係をもつのは大人になってから。
しかも兄はすでに結婚して息子がおり、この息子が義弟(彼にとっては叔父)をそそのかす形で始まる。

なんでタイトルが『薫りの継承』なんだろうかと思ってたけど、読んだらわかった。
香水が重要なアイテムになってるわ。

子どもの頃は兄のほうが強い立場なのに、大人になると逆転しちゃってるね。
表向きは、家を継いだ兄のほうが立場は強いんだけど。

兄の息子が今後、どうなるのか、ちょっとだけ気になる最後だった。

余談:完結?した漫画

高永ひなこ『恋する暴君』

「BL史上最強(凶暴?)の受け」と言われ続けた人気作が、8巻でひとまず完結となった模様です。
今後もお話は続くものの、ここでいったん一区切り、と。

暴君の先輩が、やっと本当の意味で森永を受け入れた…長かった…。

自分に言い寄る後輩の森永と体の関係を持って、過去のつらい恋愛に苦しむ森永のために本気で怒って、森永と同居して、それでも「俺はゲイじゃないんだから、そんな簡単に受け入れられるわけないだろ!」と何度も言い続けてたけど。
(今までずっと「森永が無理やり抱いてくるから仕方なく…」というスタンスだった)

ゲイに対するストレートの男性たちのリアクションは個人差が激しくて、
「腐男子目線で萌える」という人もいれば、
「女の子みたいにかわいければ、イケる」という人もいれば、
「男なんて生理的に無理、受けつけない」という人もいる。

特に最後のレベルの人が受け入れるのは、そりゃ現実的に見れば不可能なことがほとんどだと思うよ…。

なので、お話がちゃんと行き着くところまでたどりつけて、よかったなと思います。