Kindle書評『長袖にきがえました』と『unisexual you』

仕事が納期前で、家に帰る時間がけっこう遅くなってました。
Kindle本、感想を書いてない本が溜まり続けてる…。

そんなわけで少しずつ感想を書いてまいりましょう。
今回は犬子蓮木さんのKDP本を2冊続けて、いってみよー。

犬子蓮木『長袖にきがえました』


表紙のデザインを担当した1冊。

おかげでこの表紙を見るたびに、「あれ、私の本だっけ…?」と一瞬まごつく。

ゆっくりと世界は終わる

今回も犬子ワールド全開のSF小説です。

人間だけど人間じゃない登場人物。
たとえばそれはウォーカロンみたいなものだったり、感情を失った人間だったり、人の手で恣意的につくられた人間だったりする。

今回は、人類によってつくられたニセモノの人間たちが、それぞれ定められた役割(たとえば特定の建物を守れとか、森をつくれとか)を生きている、人類滅亡後の世界が舞台です。

時たま恋愛っぽいシーンが出てくるけど全然恋愛になってないというあたりが、いつものように犬子さんだよ…。
(片方がその感情を理解できなかったり、「それはただのまちがいでした」みたいな展開になったり)

犬子さんの本を読むたびに、「人間って、どこまでが人間なんだろうね?」という問いかけを感じるんですが、今回は特にそれが前面に出てた気がする。
ニセモノの人間たちの話ですからね。

最後のほうは、「やられた!」と思いました。
これ、私が中学時代に書いた小説(『天の種』の元のバージョン)と少し似てるかも。
でもこっちのほうが、ずっといい雰囲気やで…。
(そりゃ中学生の書いたへたくそな小説と比べたらあかんやろ)

※『天の種』の元のバージョンは、赤毛の女王の命令でつくられた5人の子どもたち(ソフィエル、エシエル、ティン、ヌチ、オロチ)が人類を滅ぼし、全土を深い森に変えてしまうお話でした。
最後に生き残ったソフィエルは、宙に浮かんで森の成長を確認し、計画の完了を見届けて森に落ちて死ぬ。『天の種』とちがってソフィエルは女の子だった。

静かな気持ちで本を読みたい時に、ちょうどいいお話だと思います。

犬子蓮木『unisexual you』


そしてこっちは、犬子さんが「新刊を一切宣伝しなかったら、果たしてどうなるんだろう」と思って、ブログにもTwitterにも書かずにいたという本。
今回、ついでにぽちったでござるよ。

恋愛にまつわる嫉妬はなくならない

こっちも「人類は雌雄同体?であり、男女の区別がない」というSF設定の世界観ですが、そのへんはあまり気にしなくていい。
それ以外は普通に学園ミステリとして読めます。

恋愛関係にあった2組の人々を中心に、話は進む。
『とわとわの三角』をちょっと思い出したりして。

しかし、性別のない世界であっても、恋愛に関する悩みや嫉妬は尽きず、

動物みたいに、雌雄があればよかったのかもしれない。

と主人公は述懐しています。

そりゃー性別がなくなったくらいで、そのへんの悩みが消えるわけないよね…。
それは同性同士で恋愛してる人たちを見れば納得のいく話だけど。
人の気持ちは変わってしまうものだし、束縛しすぎても全然しなくても、たいていの場合はうまくいかない。
嫉妬深さは人によって全然ちがうから、そのへんのすれちがいも悲劇を生む。

ちなみに、主人公の名前はジャンヌ・バリエなんですが、普段はジャンと呼ばれていて、実際に文中でも「ジャンは〜」と書かれてる。
このへんは性別のない世界観を反映して、男か女かわからなくするために、わざとやってるのかなって思った。

余談:今読んでいる本

めっちゃ安くなってたんだけど、けっこう読みごたえがある。