Kindle書評『タイトロープ・ダンシング』と『立ち止まる猫』

スマホのKindleアプリで読書していると、画面が小さいためなのか、
「いつも、めっちゃ顔しかめてスマホ見てるで」
と彼氏に言われ続けてまして。

最近は、ミニボディバッグにKindle Fire HDXを突っこんで仕事に行ってます。
昼休みに読書するため。

#Kindleカフェ部

ToLiさん(@tolitorey)が投稿した写真 –

本日は、晋太郎さんのKDP本の感想2本立てですよー。
両方とも、そこはかとなくBL風味。

晋太郎さんの本は、過去にも何冊か読んでますね。

晋太郎『タイトロープ・ダンシング』


この本をぽちったきっかけは、Twitterでした。

個人的に気になるKDP関係者の人を、リストに登録して、たまに眺めてるんですよ。
で、ちょうどある日、そのリストに『タイトロープ・ダンシング』の感想をRTしたものが流れてた。

なるほどこれは面白そうだ…と思って、Amazonのウィッシュリストに登録。
その後、何日か迷って、「やっぱり面白そうだから読もう」とぽちりました。

今回は野球のお話じゃないよ

晋太郎さんといえば、野球少年のお話の印象が強いですし、実際そういう本をたくさん出してはります。

ただ、私個人がそこまで野球に思い入れないんですよね。
だから、いまいちお話に入りこめない部分が、どうしてもあった。

男の子に比べたら、女の子は野球で遊ぶこと、あんまりないし。
野球のルールも理解してないし(おお振りで少し改善されたとはいえ…)

家族に野球好きがいたら事情もちがったのでしょうが、私の父と弟はアメフト観戦が好きなのです。
彼氏は野球好きですが、野球部や少年野球の経験はなくて、もっぱら見るだけ。

一方、『タイトロープ・ダンシング』は、野球のお話ではありません。
バンドをやってたアラサーの男性が、夢破れて、
「バンド売れないまま解散…あれっ、俺、ろくなキャリアも積まないまま三十路に?!この先どうすんの?」
という、この年齢の人間にとってはけっこう胸に刺さる内容のお話です。

実際、そういう感想を見て、「めっちゃ刺さりそう」と思ったのが、リンクを押すきっかけでした。

俺の20代、なんだったんだろう(ありがちだけど切実)

もうね、冒頭から刺してきますよ。

確かにこの主人公、インテリっぽいんだよ!
音楽だけじゃなくて本もいっぱい読んでるし、映画も見てるし、それがただ「見た」で終わってるだけじゃなくて、ちゃんと自分の中に蓄積されてる感じがするんですよ。
そういう意味ではインテリっぽい。教養ありそうな雰囲気。

しかし、バンドマン。
いったん売れかけたものの、その後ジリ貧に転じてしまったバンド。
バンド中心に生きてきたので、そのバンドがなくなってしまったら、あとは書店のバイトくらいしか手元に残ってない。

地元を離れてるし、親にも連絡とってないし、今さら「他のものを犠牲にしてやってきたバンドが駄目になりました」なんて言えない。
そして、他のバンドメンバーは、バンドをやる一方で続けてきたさまざまなことが、次のキャリアにちゃんとつながって、主人公よりも先に就職先を決めていく。

成熟を拒否した報いを、俺はこの先に受ける。

この追いつめられ感!

これが女の人だったら、もうちょい選択肢もあるんですけど、男の人って基本的に評価軸が「仕事」しかないのよね。本人も、周りも。
だから、仕事が決まらない焦燥感とか、仕事や収入に対する劣等感とか、そういうものは女の人よりも強く感じてると思うのね。

俺どうすればいいんだろう、と決めかねて動けずにいる主人公ですが、そんな彼に絶妙な距離感で寄り添ってくれる人がいます。
書店のバイトで知り合った無口な男子学生。

寄り添うって言うのはちょっとちがうかな。
ただ、バンドと全然関係のない立ち位置で、騒ぎすぎることなく、時間をともにすごして、話を聞いてくれる存在。
この子のおかげで、主人公は病まずに済んでる部分があるよな…と思った。

「今度はそう来るか!」「あ、そっちの方向から突破口が?」と思いながら読み進んで、主人公の次のステップをはっきりとは明示しないものの、最後はなんかうまくいきそうだなっていう余韻を残して終わりました。よかった…。
ここで急にどわーっとハッピーエンドになったら、なんかリズム狂うもんな。

ロマンス成分が低めのM/Mロマンスっぽかったです。
(ロマンス成分が低めって、お前それロマンスとちゃうやん…)

※KDPでM/Mロマンスといえば、牛乃あゆみさんですね。

ちなみに、晋太郎さんのブログで『タイトロープ・ダンシング』に出てくる楽曲が紹介されてます。

そういえば、前の職場でバンドやってる人がいたなぁ。
フルで働きながら、平日の夜に練習したり、土日にライブしたり、他府県に遠征したり、いつも忙しそうだった。
私もインストアライブ行ったり、iTunesで曲をぽちったりしたよ(・ω・)

晋太郎『立ち止まる猫』


『タイトロープ・ダンシング』を読み終えて、いやー、やっぱり晋太郎さんの本は面白いなーと思って、なんとなく他にも本を検索してですね。

ジャケ買いです!
気がついたら買ってた!
(よく訓練されたKindle沼の住人)

以前は猫のイラストだったと思うのですが、晋太郎さんによれば、読者の方からイラストをいただいて現在の表紙に差し替えたそうです。えぇ話や…!
BLっぽい表紙になりましたね!(いい意味で)

相手がまぶしいと、自分の駄目さを実感したりする

こっちは短めのお話。
冒頭のInstagramに写ってるのが、この本です。

これもねー、主人公が音楽好きなアラサーの男性でねー、今まで自分がやってきたことに迷い、悩んで、仕事どうしよう状態なんですよね。
またもやアラサーを刺す系統かと。

しかし、そういう苦悩よりも、ばったり再会した少年との会話を通じて、いろいろなことを思い出したり考えさせられたりしてしまうという内容のほうが主な流れです。
これはこれで、「あー、あるある…」と思いながら読んでしまった。

少年の強さ、若さ、美しさがまぶしくて、逆に自分の弱さやみっともなさを自覚させられる、そんな感じ。
若くして過酷な運命に見舞われた人を見た時に感じる、「それに比べて私はこの程度のことで…」って思っちゃう気持ちとか。

お前は昔と変わらず俺をいいイメージで見てるのかもしんないけど、俺は全然そんなたいしたもんじゃないし、しょうもない人間なんだよ…なんてぼやきたくなる。

自分の感性が若い頃と変わっていくこと、お金のためにいろいろ曲げなければいけないことを、どう受け止めるべきなのか、とか。
私は全然関係のない仕事をしてきたので、そのへんは深く悩むこともなく、自然と受け入れることができたけれども。
(好きなことは仕事にしないでおこうと思ってたから選ばなかった)

「(前略)大概の悲劇ってのは、立ち止まることから始まるんだから」

と主人公が言っていたように、立ち止まって考え始めると、そこから動けなくなっちゃったりするよね。
かといって、それを恐れて無理に走り続けてると、いつかは倒れるんだけどね。

あとは、あえて何が起こったのか描かれていない場面もあるので、本当に何もなかったのか、それとも何かあったのか、妄想できるあたりがBLでした。
なんとなく『源氏物語』を思い出しましたよ。
女性のほうがぐっすり寝ていてなかなか起きてこないという、さらっとした表現で、「このふたり、昨晩はそういう意味で寝たのね…」とほのめかす場面があったはず。

余談:今読んでいる本


『天使の蝶』、どの短編もどこで話が終わるのかわからない展開。暗いお話が多い。

他にも10冊近く既読の本があるけど、ブログに書くのはぼちぼちで…。
(最近は原稿やってる)