Kindle書評『神を見た犬』『Beatrix Potter Complete Tales』『雪の女王』

せっせと読書を楽しんでおります。インプットの時代が終わりません。
いつになったらアウトプット(原稿)するんだろう。
せめてブログで感想を書くだけです。

積ん読、もうちょっとで読み終わりそうだなぁ。
でも、そういえば24日に『天冥の標』の最新巻がKindle化されるんだった。
洋書も買っちゃったしなぁ。

…年内に消化しきれるだろうか。

ディーノ・ブッツァーティ『神を見た犬』


ニヒルだったり、シニカルだったりする幻想文学の短編集。
訳者は関口英子。『猫とともに去りぬ』と同じ人。

ジャンニ・ロダーリに引き続き、またもイタリア文学ですね。狙ったわけじゃないけど。

あなたがいいことをしても、悪いことをしても、神様はすべて見ている

宗教的(キリスト教)なお話がけっこう多いです。

といっても、辛気臭いものではなく、天国や、死後の聖人たちが住む世界を舞台にした話。
あるいは、最後の審判や、「神様に見られている」という感覚を題材にした話。

望まない者にとって、神の存在ほど重い荷物はなかった。

この「神様に見られている」という感覚、すごく重要だと思います。
日本人は宗教がないとか、いやいや逆にアニミズムでなんでもかんでも神様扱いしちゃってものすごく宗教的だとか、いろんな意見があるけど、この「神様に見られている」という感覚は、日本ではものすごく薄いと思うのね。

日本でも「お天道様が見てる」って言い回しがあるけど、どちらかというと神様よりも「世間の人に見られてる」のに近いんじゃないかなと思ってる。
(この「神を見た犬」という表題作も、それに近い)

だから、大震災の直後もおとなしくルールを守って長蛇の列に並んだりするけど、自分を見ている「世間の人」がいなくなると、今度は一転して倫理?何それおいしいの?状態になってしまうんじゃないかな。
山本七平が第二次世界大戦について書いた『日本はなぜ敗れるのか 敗因21ヵ条』みたいに。

幻想文学ではあるけど、まるっきりファンタジックなお話はあまりない。
戦争末期にひっそりとつくられていた艦の話など、現実(歴史)と幻想の入り混じったようなお話が多い印象です。
「悪い夢を見ていたんだ…」的な。

個人的にかなり共感した短編は、「グランドホテルの廊下」。
真夜中、トイレに行こうとしたら、ちょうど同じようにトイレへ行こうとする人に遭遇してしまって…というお話。
あるある、ありそう、私もやりそう…!

Beatrix Potter『Beatrix Potter Complete Tales』


ベアトリクス・ポターのピーターラビットシリーズの原書、全巻セット。

1ページずつ最初に挿絵がついてて、挿絵の下に文章があって、また改ページされていて、という構成だったので読みやすかったです。
…でも、ナルニア国ものがたりやロアルド・ダールに比べたら読みにくかったかな。
恐らく見慣れない単語が多かったためと思われる。

Word Runnerが使えるよ

今回は、途中でWord Runnerを使ってみました。
(洋書だとこの機能が使える)

読書中の目は、ページに並んだ文字を追いかけるために動いている。
その動きのために、読書は時間がかかってしまうらしい。
ならば、一定の速度で画面の中央に1単語ずつ表示させれば、速く読むことができるのでは?
という仕組みらしい。

確かに速いんだけど、これ、英語を読み慣れてる人でないと無理だー。
会話文とか、長い文章とか、全体の構造がつかみきれなくなるよ。
それに、たまに長い単語が出てくると、とっさに読めなくて、意味を理解する前に次の単語が出てきちゃう。

読み慣れない英文を強制的に速く読まされるので、すごく集中しないと駄目だし、集中力が続かない。
気を抜くと、ぼーっと流されてしまう。

あと、挿絵も飛ばされちゃうので、このタイプの本には不向きでした…。

きっと日本語だったら、私にとっては快適だったことでしょう。
あ、でも日本語は単語じゃなくて文節で区切らないといけないよね。
文節で区切る場合、単語みたいに機械的に区切れないから、こういう機能で対応するのは難しそうだな。

全部で22本のお話が入ってたはず。

私が気に入ったのは、「The Tale of Mrs. Tiggy-Winkle」でした。
ルーシーという小さな人間の女の子が、ヤマアラシのクリーニング屋さんのお手伝いをする話…だと思う。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン『雪の女王 七つのお話でできているおとぎ物語』


青空文庫です。訳者は楠山正雄。

悪魔の鏡が、すべてのはじまり

青空文庫になっているくらいなので、かなり古風な語り口の翻訳です。
でも、これはこれで味があるのー。
昔の挿絵も入ってましたよ。

もちろん、谷山浩子が『雪の女王』を舞台化した時の音楽を集めたアルバム『カイの迷宮』を思い浮かべながら読みました。
あぁ、あの歌は、この場面のものだったのね!などと思いつつ。

山賊の娘は、「おいはぎのこむすめ」になってた。
彼女の愛情表現って、奪う・殺す・支配下に入れる、というものなんだけど、それを端的に表していた台詞がこちら。

「あたいは、おまえとけんかしたって、あのやつらに、おまえをころさせやしないよ。そんなくらいなら、あたい、じぶんでおまえをころしてしまうわ。」

わひゃー。

しかし、母親としょっちゅうケンカしていたこの娘、終盤では家を飛び出して、ちょっといい感じになってます。

そして何気に1番笑ったのが、このくだり。

「わたしたちがいまいる国には、たいそうかしこい王女さまがおいでなるのです。なにしろ世界中のしんぶんをのこらず読んで、のこらずまたわすれてしまいます。(以下略)」

忘れるんかい!!

しかし、忘れることも才能である。

シリーズの続きで最近読んだもの

森薫『乙嫁語り』8巻


今回はパリヤさんがクローズアップされたお話。

果たしてパリヤさんは結婚できるのでしょうか…。
それはさておき、今までよりも自分の限界に挑戦して、少し成長した彼女。

パリヤさんがパンづくりを得意になった経緯なども、さらっと語られています。

菅野文『薔薇王の葬列』5巻


5巻の表紙は赤薔薇のランカスター家のエドワードだー。
ちょっと恋に盲目になりかけてるけど、やはり王子としてのプライドは忘れないエドワード。

主人公のリチャードは、長兄エドワード(こっちは白薔薇のヨーク家)を救出するため、女に変装したまま、ケイツビーとともに城へ。

実は私、ケイツビーのことがけっこう好きだったので、彼が再びリチャードと行動をともにするようになって、うれしいです。

そして、いいところでバッキンガム公爵きたー!

あと、ランカスターのエドワードと、アンがリチャードについて重大な会話をする場面。
衝撃を受けたアンの表情に、私も衝撃を受けたので、思わずブックマークしてしまった。
位置No.146。固定レイアウトだけど、紙の本のページ番号とはまたちがうっぽい。

余談:今読んでいるもの

ようやく飛浩隆に着手。
きらめくようなSFだー。