Kindle書評『The Lion, the Witch and the Wardrobe』と『パブリックスクール ―檻の中の王―』

おお振りの26巻が12月22日発売と知って、とても喜んでいます。年明けになると思ってたから…!
発売日をGoogleカレンダーに登録したわ!
(おお振りだけは紙で集めてる)

さて、Kindleのほうでは相変わらず本をぽちって読みまくっている日々です。楽しい。
ブログに書きたい本が溜まっていくよ…。
というわけで感想いってみよー。

C. S. Lewis『The Lion, the Witch and the Wardrobe: The Chronicles of Narnia』


ナルニア国ものがたり『ライオンと魔女』の原書。
学生の頃にも読んだことあるんですけど、以前Kindle版がセールしてる時にぽちったので、もっぺん読みましたよっと。
挿絵がフルカラーでした!

衣装だんすの向こうに広がる世界

ストーリーは今さらなので、原書(つまり英語)を読んでいて気づいたことを何点か。

サンタクロースが、原書では「Father Christmas」になってました。ほほう。
確かに、こっちのほうが、この場面では厳粛な雰囲気が出て、ふさわしいな…。

ナルニア国ものがたりは、トールキンの『指輪物語』に刺激を受けたC.S.ルイスが、子ども向けにキリスト教のストーリーをファンタジーで表現しようとして書いたものらしいんですが(岩波少年文庫のあとがきにもそう書いてあったはず)、改めて読むと本当にそうですね。

エドモンドのかわりに自ら犠牲となって殺され、その後、復活して白い魔女を倒すアスラン。
まさにキリスト。

シリーズ最終巻の『さいごの戦い』とか、もろに世界の終わりと最後の審判だったもんなぁ。
(小学生の頃に聖書物語を読んでたので、当時からなんとなくわかってはいたけど)

ナルニア国ものがたりでは『朝びらき丸 東の海へ』も特に好きなので、気が向いたらまた原書をぽちるかもです。
(これも学生の頃にいっぺん原書で読んだことある)

子どもの頃、すっごくハマってたから、そのイメージを壊したくなくて、いまだに映画版は見ていません。見たくない。

樋口美沙緒『パブリックスクール ―檻の中の王―』


どなたかの感想(ちーけんさん?)をネットで見かけて、ずっと気になってた1冊。
イギリスの貴族の子弟が通うパブリックスクールを舞台にしたBL小説です。

自分の世界は、自分で広げていける

これ、なかなかKindle化されなくて、やっと出たと思ったら、紙のほうでは続編(完結編)が出ました。そういうタイミングですか…。

母子家庭で育った主人公のレイは、母を亡くしたのち、父方の親族に引き取られます。
この父親が実はイギリスの貴族の出身であり、彼と日本人女性とのあいだに生まれた息子であるレイは、血統を尊ぶ貴族たちに「アジア人」「混血児」として嫌われてる。
でも、父方の親族には、人前では言えない、とある思惑があった。
そのために彼らはレイを義理の息子として引き取り、彼に教育を施し、美少年の義兄エドワードと同じパブリックスクールに送りこむのです。

孤独で、嫌われ、虐げられ、大好きな義兄エドワードの言いつけを守りながら、いつもどこかおびえて毎日を送る主人公。
ひたすら不憫な展開が続くんですけど、ある日、そんな彼にオーランドという学生が近づいてくる。

このオーランドの存在がものすごくよかったです。
主人公が不憫だったり、無知で無垢ゆえにだまされて自分の心を閉ざしてたり、そういう設定のお話って割とよくあるんですよ。
でも、このお話の中では、そんなレイに興味をもっていて、レイの世界を広げようとしてくれるオーランドや、レイを嫌いながらも彼に重要な示唆を与えてくれるギルバートといった人物が出てくる。

「(前略)この世界は広い。だけどきみの心は、この世界よりももっとずっと広い。広くなれるんだ」

レイに「きみはこの学校で1番、世界を知らない。でも、それを広げることができるんだよ」と告げるオーランドの台詞。

おびえていたレイは、勇気を出して、知らない人たちのところへ飛びこみ、自分が本当にやりたかったことをやり始める。
自分だけが不幸だと思いこんでいたけど、そうじゃなかったんだ、誰だって悩んでるんだ、と気づく。

あと、レイを支配下に置いていたエドワードに対しても、オーランドは面と向かってこう言うんですよ。

「一人の人間を物扱い? そうやってずっと、恐怖で彼の意志を抑え込んできたわけだ。実にお貴族様らしい、傲慢なやり方だ。でもね、それを人は暴力と呼ぶんだよ!」

なぜかBLやTLだと、そういう「傲慢なやり方」も愛情表現として許されてしまうような展開が多いので、暴力だ!とはっきり言ってくれて、すっきりしたぜ。

同じ著者が出している虫シリーズの『愛の蜜に酔え!』、『愛の罠にはまれ!』を思い出しました。
登場人物にちゃんと「気づき」を与えるストーリー展開が、しばしば見受けられるんですよね。


『愛の蜜に酔え!』でも、ただ守られるだけの立場を甘受していた主人公は、あることをきっかけに変わり始め、好きな人と一緒に進んでいけるよう、自分から動き始める。
そんな主人公を、相手の男は「もうガラスのケースには入れておけないんだな」と少し淋しく思いながらも、温かな気持ちで見ている。


『愛の罠にはまれ!』では、自分が過去に犯した罪のせいでひどい目に遭っているのだと考える主人公に対して、攻めの友人であるマヤマヤが手厳しく「それとこれとは別問題だよ」と告げています。

「(前略)償いたいなら、きみは辛くても、幸せになる努力をしなければ。……幸福になるためには、それなりに苦しむことも、必要なんだよ。運じゃなく、意志の力で、なるものだからね」

『パブリックスクール』のオーランドが、このマヤマヤと似たような役割を果たしてる感じ。

いやー、続きが気になる。早く続きをKindle化してほしい。読みたい。

キャラ文庫のKindle版は挿絵が収録されていません。
わかってて買ってるし、読んでる時は全然気にならないんですけど、読み終わるとなんだか挿絵が見たくなっちゃいますね。
「表紙に描かれてるのはエドワードだけかぁ。続編の表紙は多分レイだな。うーん、こうなるとオーランドやギルバートがどんな顔なのか知りたくなるなー…」って。
そのために書店へ足を運んで紙の本をパラパラ見るのは、ちょっと面倒くさいんだけど。

余談:最近ぽちった本

早川の大規模なセールで、思わず飛浩隆の「廃園の天使」シリーズをぽちってしまいました。


飛浩隆は、短編の『象られた力』や『自生の夢』が大好きです!
今回ぽちったのは長編だけど。

『パブリックスクール』と似たようなタイミングで、またKindle版のBL小説がいくつか出てたから、ざっと目を通して1冊ぽちってみた。

キャラ文庫は挿絵が収録されてへんのだけは残念やで、ホンマ。