Kindle書評『植物はヒトを操る』から『狼は恋に啼く』まで26冊

Kindle本を、まとめて感想どーん!のコーナー、10月編です。
本当にこのままだと月1回、まとめて書くことになっちゃいそうだな。

今回も40冊程度ぽちってたんですが、ブログで紹介するのは30冊弱です。
長いよ!この記事書くのに何時間もかかったよ!

いってみよー。

いとうせいこう、竹下大学『植物はヒトを操る』


植物を育てるのが好きな人と、売り物になる植物をつくっていく育種家の人の対談。
「人間って実は植物の都合のいいように操られてるんじゃね?!」という指摘がなかなか面白い。

植物のバリエーションが増えて育種家が生まれるきっかけは、大航海時代やらなんやらで世界中の植物を集めてきて王家に献上して、お城の庭に植えたことだ、とかね。
そのせいで、竹下さんいわく「王様の庭に植えたために、決して出会うはずのないもの同士が出会ってしまう……」。
いとうさんが「禁断の恋!」って合いの手を入れてて、笑えた。

あと、育種家は何をするのか、この業界でも世界規模で企業の再編が進んでいることなど、お仕事方面の話も知らないことばかりで興味深いです。

種子って死んでるの、生きてるの? というのがどうしても気になるんです。魅力を感じている。何十年後かに水を与えたらいきいきと赤ちゃんの時からやり直せるなんて、すごいですよ。人間はそれができない儚さを宗教とか文学とか芸術に託したり、愚痴にするとかして死んでいく。

植物の生と死は、動物とは根本的に異なる。ホンマにそうやね。

日本でも昔はあちこちの家で朝顔や盆栽を育てていたり、食卓に花を欠かさなかったりしたのに、最近は皆どんどん日常生活から植物が遠ざかっている。
今では祝賀会とか、送別会とか、そういう特別な機会で花束をもらうだけ。
そんなに気負わず、お花を1本買ってきて飾るだけでいいんですよ、もっと気軽に楽しめばいいんですよ、という話も出てきました。

花瓶がなくても、もっと気軽にお花を飾ればいいのかな。
小さなお皿に水を入れて、茎を切り落としたお花をひとつ浮かべて、テーブルの真ん中にそっと置いておく、とか。

スヴァンテ・ペーボ『ネアンデルタール人は私たちと交配した』


ちーけんさんの感想をTwitterで見かけて、興味があった1冊。
Kindle本で2000円近いお値段ですが、ぽちってしまいました。
おかげで長く楽しめましたよ。

古代の人類や他の生き物の化石から遺伝子を抽出するのは、非常に難しいのだそうです。
というのも、長い年月の中で変質している上に、どれだけ気をつけても発掘や運搬、管理、そして実際の抽出の過程で、周囲にいる現代の人間や生き物の皮膚片が混じって、遺伝子が混入してしまうから。

著者はいかにその混入を防ぐか、そして混入したと思われるノイズをいかに除去するかということに苦心し続けるのですが、他の研究者のチームはろくに予防も行わず、他の遺伝子が混入しまくった大ざっぱなデータで「琥珀に閉じこめられた蚊の化石から遺伝子を抽出した!」などと華々しい発表を行っており、非常に腹立たしく感じていたそうです。

近年の人間の歴史において、社会的地位の異なる集団が出会って交流すると、たいていは性的に交わり、子どもをもうける。だが、一般にそこには地位による偏りが見られる。支配的な集団の男と、支配される集団の女が交わり、生まれた子どもは母方の集団に残されるのだ。

確かにそういう話を古今東西で見かける…。

佐々木俊尚『21世紀の自由論:「優しいリアリズム」の時代へ』


ジャーナリストの佐々木俊尚さんの本。

日本の「リベラル」は、自分たちは意識していないだろうけれども、保守と考え方が非常に似通ってしまっている。普遍的な人権よりも、自国の国民を戦争に向かわせるべきでないという考え方。古き良き時代の伝統を重んじること。平等のいしずえとなる経済成長を望まないこと。

日本の「リベラル」と呼ばれる人たちは、ただの「反権力」にすぎなくて思想的な背景がないんだよね、かといって右翼の人たちもそれはそれで…ということを指摘する1冊。

ただ、残念ながら異様に誤記が多かったです。
誤字脱字だけでなく、不自然な半角スペースが200ヶ所近くあった。恐らく原稿を電子書籍化する時のソフトか何かのミス。
全部せっせとまとめてAmazonカスタマーサービスに連絡したけど、「わかった、ごめんね」で終わりでした。ということは、すでに他の読者からも連絡が入ってるのかな。

誤記が多すぎて、あんまり頭に残ってない。

江戸時代までさかのぼっても、核家族は四割以上もあったとされ、結婚できない男性の単身世帯も多かった。ステレオタイプ的にイメージされている歴史や伝統は実態とはかなり異なり、昔の日本はずっと多様で多元な社会だったと考えられている。共同体もそれほど固定的なものではなく、各地を渡り歩く職人集団なども存在し、日本社会はかなり流動的だった。

たとえば、江戸は人工的な都市だったので非常に男性が多くて、結婚したくてもできない(女性の数が足りない)ケースが多かった、と聞いたことあるし。
結婚についても、気候の厳しい東北地方では15歳かそこらで嫁いでいったけど(早く子どもを産んで早く死ぬ)、温暖で豊かな関西地方では20歳をすぎるまで結婚しない女性が珍しくなかった、という話もありますね。

草薙龍瞬『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』


この手の本だと、小池龍之介さんが有名ですが、新しい人も出てきてるんだなぁ。

人間が考える多くの判断は、実は真実でもないし、有益でもありません。いわば〝ヒマつぶし〟です。

「自分は駄目だ」って考えちゃうのも、ただの妄想ですよ、と。
人間はどうしたって欲望があるから、常に飢えて渇いている。その飢えや渇きを本気にしてしまうと、いつまでも満たされないまま、何かを求め続けることになる。

ただ「快でも不快でもない状態」というのは、人間にとってはすぐに「不快」になります。欲に駆られている人間には、「どちらでもない状態」は「退屈」、つまり不快になってしまうのです。

なんとなく、「人生には、幸福と不幸と普通の3種類の時期があるんだけど、つつがなくすごせる『普通』の時期を、『幸福』ではなかったからという理由で『不幸』なのだととらえる人がいる」という指摘を思い出しました。

岡潔、小林秀雄『人間の建設』


かなり昔の本です。
文系と理系、それぞれで著名な人物による対談。

実際、私は小林秀雄しか知らなかったんだけど、数学科出身の人が岡潔を知っていて、「とりさんが岡潔の本を見つけるとは!」みたいなことを言われたので、なるほどお互いのジャンルでの有名人なのだなと思いました。

岡潔が1978年没、小林秀雄が1983年没(私の生まれた年…)で、対談が行われたのは70年代のようです。
(Google先生によれば、初版は1979年)

「今の時代にこんなこと書いたら怒られそうだけど、日本民族は特攻隊ができる、自ら死に向かっていけるところがすばらしい民族」みたいな発言も出てきて、ちょっとそこは賛同しかねる…と思ったりしたんですが、頭のいいおじさんふたりの言いたい放題を眺める感じで、気楽に読めました。
(わからないところは、わかろうとせずにそのまま読むスタイル)

ともかく知性や意志は、感情を説得する力がない。ところが、人間というものは感情が納得しなければ、ほんとうには納得しないという存在らしいのです。

あっ、ホンマや…。

全知全能な者は無知無能な者に、知においても意においても、関心を持たない。情において関心を持っているのです。全知全能の者から見れば、無知無能の者は珍しくて、あわれで、可愛いのではないか、そこで交流が起るのではないかと思うのです。

これを読んで、旧約聖書のさまざまな場面が脳裏に浮かんだ。

マルコ『ネット歴12年のぼくがブロガー⇒ライターになったワケ』


カフェオレ・ライター」の中の人による、サイト運営歴をふり返ったエッセイ。

カフェオレ・ライターは、BLの帯のキャッチコピーにツッコミを入れる、というコンテンツが有名ですけど(そのせいで最近はBL方面の仕事が多い)、個人的にはテニプリのレビューもおすすめしたい。
今週のテニプリの連載はこんなところがおかしい、というレビューの仕方が面白くて、いったん読み始めると止まりません。

テキストサイトの話は、当時の私が学生だったこともあって非常に懐かしいです。侍魂とか…!
あと、これだけ長年サイトを運営しているのに、マルコさんがHTMLをいまいちわかってなくて、妹さんに手伝ってもらっているという話には仰天しました。えっ、もう2010年代なのに?!
(サイトはブログ風のデザインになってるけど、ブログを使うとうまく文章が書けないので、いまだにベタ打ちしたHTMLらしいです。しかもHTMLの生成も妹さんが管理してるっぽい…?)

特定のグループに入らず、あえてどこからも距離をおいて孤立しておいたことが、ブログが長持ちした理由なんじゃないかなぁと思うのです。

なんか、それ、わかる。
ブログ書いてる人同士でなれあうの、あんまりよくない。

猫田博人『生命の水槽』


KDPなのかな?短い漫画です。
「人外」で検索したら出てきた。

人類が衰退し、獣人にとってかわった世界を舞台に、研究者の主人公(狼)と、実験対象の女の子(人間)のつかのまの交流を描く。
最後がどうなったのかは、はっきりしてなくて、読者の想像にゆだねてる感じ。

漢弾地『夫婦日常エッセイ漫画「僕たちの話」』


Twitterで前からちょくちょく見かけていたエッセイ漫画をまとめたもの。

普段の暮らしでつくっている料理のレシピが、思ったよりたくさん出てきたので、参考になりそうです。
ちょっとずつ、のんびり読めるよー。

よしだもろへ『いなり、こんこん、恋いろは。』1巻


京都を舞台にした少女漫画。
アニメ化の際、トラフィカ京カード(京都市営地下鉄と京都市バスで使える)とコラボしてたこともあって、名前は知ってました。
カドカワの50%OFFに乗じて、試しにぽちっとな。

登場人物の姓も「伏見」「丹波橋」「墨染」「丸太町」「三条」と、京都の地名縛り。
中学の名前は「藤草」だけど、これは藤森(ふじのもり)と深草を合体させたのかな?ちょうど伏見稲荷にも近いエリアですね。

絵柄、かわいい。
あと神様が女神だったの、意外だった。てっきり神様と女の子の許されざる恋みたいな話かと…。
(クラスメイトの男の子に片思いしている主人公と、ひょんなことから主人公に神通力を分け与えてしまった女神の話だった)

登場人物が皆、ナチュラルな方言をしゃべってたので、うれしいです。
京都を舞台にしてても、コテコテすぎて逆に怪しい京都弁を遣ってる作品、けっこうあるから。

青桐ナツ『あめつちだれかれそこかしこ』1巻


「掃除したくなる漫画だ」という紹介をネットで見かけて、ぽちっとな。

天涯孤独だと思っていた主人公はある日、親戚がいたことを知らされる。
そして亡き祖父の家を相続する…んだけど、これが霊的なものを引き寄せやすい家だった。
主人公が家を掃除していくことで、少しずつ家に生気が戻り、家の守り神も登場して、不思議な共同生活が始まる。

個人的には、掃除したくなる漫画ではなかったです。
「神棚を放置しておくと家に悪いものがつくぞ」って脅されてる気分だった。ちょっとだけね。

森薫の『シャーリー』2巻の方が、掃除したくなるかな。

御手洗直子『腐女子になると、人生こうなる!~底~』


婚活漫画で一躍、同人以外の界隈でも有名になってしまった御手洗直子さんのエッセイ漫画。

婚活漫画では、世間でウケやすいタイトルを狙ったためか、「同人漫画家」ではなく「BL漫画家」になってます。

今回のエッセイ漫画、前半の「底」は、ふゅーじょんぷろだくとの『同人作家コレクション 御手洗直行』に収録されていたものです。
(当時は御手洗直行というペンネームで活動しておられた)

その「底」と、「底」の男子編(これは御手洗さんの同人誌で読んだことある)に加えて、新たに書き下ろした続編(むしろ現在の様子)を収録したのが、今回の漫画。

相変わらずの破壊力。
婚活漫画の時も思ったんですが、嫌なこと、しんどいことがたくさんあっても、ちゃんと笑えるネタに昇華してしまわはるんですよね。
婚活にしろ同人にしろ、めちゃくちゃなことになってる人は大勢いるのでしょうが、そんな自分を突き放しながらネタとして面白く調理できる人は限られています。

そして書き下ろしでは、「底」に描かれた高校時代をふり返った裏話が語られていて、母親の影響というのは恐ろしいものだなと思いました。
お母さん、なんだってそんな極端になっちゃったんだよ!

六青みつみ『忠誠の代償 ~聖なる絆~』、『誓約の代償 ~贖罪の絆~』



国を守る騎士と、特別な絆で結ばれた聖獣(人型の時も猫耳としっぽが生えている…)のお話。
ファンタジーなBL小説です。シリーズで他にも何冊か出てる。挿絵は未収録。

お話の舞台となる国には、定期的に国を滅ぼそうとする魔物が沸いてくる。
選ばれた男たちは、聖獣と呼ばれる種族と契約を交わし、騎士となって聖獣にまたがり、魔物と闘う。

で、騎士は聖獣と契約を交わすために、聖獣が卵から孵化して、成長して大人になるまで世話を焼くんですよ。
その描写が、まるで子猫をかわいがってるみたい。
光源氏的なBLですね。幼い頃からかわいがってきた子を、大人になってから抱くという。

Amazonのカスタマーレビューを見ると、「うちの猫をなでたくなりました」などと書いてあって、そのレビューはもはやBLというより別の何かなのでは…って笑えた。

杉原理生『世界が終わるまできみと』


やさしく切ないBL小説。挿絵は未収録。

親の事情で、お金持ちの豪邸に兄弟そろって居候することになった主人公。
そこには、王子様のような男の子が住んでいた。
ふたりはどんどん仲良くなっていくのだが…。

これ、主人公たちが苦労したり、悲劇に見舞われたのって、発端は全部お父さんのせいですよね…。
お父さんはいったい、どうしてそうなってしまったのだろうか…。
過去に何があったんでしょうね。

市梨きみ『可愛い先輩の飼い殺し方』


タイトルからして「監禁する気満々じゃねえか」とツッコミを入れたくなるBL漫画。

お酒に酔うと記憶がなくなってしまう先輩の体質を利用して、先輩のお酒の相手をしながら、少しずつ先輩の後ろを開発していく後輩。
こういう設定、よそでも見かけたな…あ、あれだ。BL小説の『欲望のベクトル』だ。
相手が寝ている時にこっそり…っていうのも読んだことあるな。TL小説の『虜囚』とか。

こういう設定って、なぜか必ず「相手が寝ている/酔っている時にエロいことをしまくるけど、挿入はしない。その後、相手の意識がある時に初めて挿入に至る」っていう展開になるんですよね。謎。

SHOOWA『イベリコ豚と恋と椿。』、『イベリコ豚と恋の奴隷。』



いやー面白かったー。ヤンキーたちの日常と恋、時々ケンカ。そんなBL漫画。

ヤンキーなのにゴミ拾いをしているという設定がまず面白い。
しかも、ひとりでゴミ拾いをしてると変に絡まれたりすることがあるので、それを防ぐために「イベリコ豚」というグループをつくって、集団でゴミ拾いしてるの。ヤンキーが。
拾った資源ゴミを引き取ってくれる業者が、取り引きのために学校へ来たりしてる。

それにしても、

入江のバナナが 俺のハバナに ハバナイスディ

とか、このぶっとんでふざけた秀逸な台詞はどうやったら思いつくんだ。

SHOOWAお得意のギャグとシリアス、両方が味わえるんですけど、2巻目はシリアス強め。
3巻目以降に続くみたいです。楽しみ。

SHOOWA『向日性のとびら』、『ジンと猫は呼ぶと来ない』



同じくSHOOWAで、別のシリーズ。
紙の漫画で読んだことあったけど、懐かしくてもっぺんぽちっとな。

ヨーロッパを舞台にした、裏稼業を持つ若い男たちの話。
いったいどういうストーリーなのか全然わからない、けど文学的でちょっとかっこいいタイトル。

登場人物が偽名を使ってたり、変装してたりするので、いっぺん読んだだけではわかりづらいと思います。

桃山なおこ『その気持ちに名前をつける』


この人の漫画も好きだな。

線が太くて、背景があっさりしてて、独特の絵柄。
短編集ですが、特に好きなのは表題作「その気持ちに名前をつける」、「セカンドサークル」です。
後者は、スーパーで主任として働く主人公のところに、昔からの友人が家に転がりこんでくる話。淡々とした、ぱっと見は無表情な描写がいいです。

谷カオル『灰とバラード』


表紙の色合いと構図にやられて、ぽちっとな。
初めて買う漫画家さん。

表題作と思われる「あまいノイズ」は、イヤホンを買ったら、なんとそのイヤホンの中枢部から男の子が出てきて…という擬人化ストーリー。
スーツのポケットに、その男の子が入ってて、主人公といろいろおしゃべりするんですよ。かわいい。
(BLというよりも、日常ほのぼの漫画)

他にも、戦後(あるいは戦前?)を舞台にした学生と代筆屋の話とか、学校の元教師と生徒の再会の話とかが収録されている短編集です。
最後には書き下ろしで「その後のノイズ組」「その後の泡沫組」という4コマが数ページずつ入ってる。
「その後のノイズ組」もかわいかったわぁ…。

しかし、なんでこの本1冊のタイトルが『灰とバラード』なのだろう。

小嶋ララ子『花畑と別れ話』


同じ著者の『きみにうつる星』がなかなかよかったので、これもぽちってみた。

男の子ふたりと女の子ひとりの3人組で、いつも仲良く遊んでいたのに、ある日、女の子が彼氏をつくって、グループから出ていってしまう。
彼女のことを好きだった主人公はショックを受けるのだが、そこへもうひとりの男の子から「俺はお前が好きだったんだけど」と言われてまた別の意味でショックを受け…。

この人の描く高校生は、等身大の高校生って感じがして(全然大人じゃなかったり、ぐるぐるばたばたしてたり、方言丸出しだったり)、妙に親近感がわいてしまうよ。
でも、私が高校生で、同じクラスにこういう子たちがいたら、ジャンルがちがいすぎてあんまり仲良くなれなかったかもしれないけど。

この漫画の前半は「花畑と別れ話」なのですが、後半は「バイバイベイビー」という話になっています。
兄と、兄の彼氏の様子を、腹違いの幼い弟の視点から見ている、やさしい話。

案丸広『男子の立ち入りを禁ず!』


BL漫画なのに、まさかのタイトル…。

表題作の正式名称は「男子の立ち入りを禁ず!(神様は可)」です。
前世の因縁で、毎日誰かとやらずにはいられない体質になってしまった主人公と、主人公にそういう因縁をつけてしまった神様(♂)の話。

神様にブチ切れて「男断ちをしてみせるぜ!」と宣言する主人公と、主人公がズルをしないように見張る神様のシーンが笑える。主人公のいる部屋の天井から、神様がズルズルーッて逆さまに出てくるんですよ…。

他には、教習所の教官と生徒の話、教習所の教官同士の話、育ての親の連れ子と同居している男性の話など。
短編集なんですが、同じ世界を舞台にしているので、「男子の立ち入りを禁ず!」の神様の祠は教習所の敷地内に建っているし、育ての親の連れ子と暮らす男性は教習所のOA機器のメンテナンスを担当していて、他の話に出てきた人物が脇役として登場したりします。

鈴木ツタ『この世 異聞』1〜2巻



「神様(あるいは人外)✕保護の対象となる人間」といえば、鈴木ツタのこの漫画。
特にセツの話が好きだったので、セツが出てくる1〜2巻だけをぽちった。

「ばか!うんこ!」と小学生男子みたいな言葉を叫ぶ主人公(受け)って、他では見たことないわ…。

端丘『妄想くんのふたりあそび』


アンソロジー『PINK GOLD4』に載っていた短編が面白かったので、気になっていた漫画家さん。
試しにぽちってみた。

少女漫画のような恋愛ロマンスが大好きで、でもノンケの男にひどく傷つけられた過去のトラウマがあってリアルな恋愛から遠ざかり、街で見かけたイケメンを脳内で王子様に仕立てて妄想するだけで満足していた主人公(職業:コンビニバイトのフリーター)

そんな主人公が、理想的な王子様に出会ってひとめぼれ。
妄想をくり広げ、勝手にいろんな設定やストーリーを練っていたところ、ひょんなことからその王子様が高校生(年下)であると判明。
夢が破れてがっかりするんだけど、主人公はその後も彼をストーキングしたりして、王子様のことを一方的に見つめるのが日課になっていきます…このへん、さらっとしてるけど怖い。

なのに、まさかの展開で、彼はその王子様と顔見知りになって、仲良くなっていく。

あらすじを読んだ段階では「無理やろ」と思ったんですが、読んでみたら「そういうストーリー展開なのか!」と。

「妄想くんのふたりあそび」の主人公の甥っ子にフォーカスした「春の導火線」という短編も収録されています。
あと、それぞれの続編が入ってて、電子限定書き下ろしではコンビニの店長が主人公になってて、楽しめました。

りゆま加奈『狼は恋に啼く』


初めての漫画家さん。これがデビュー作みたい。

あとがきによると、エスニック系の衣装を着た人たちのBLが読みたい!でも存在しない!だから自分で描きました!という経緯で生まれたらしい。
読んでみて私も気に入ったので、是非この世界観の続編を出していただきたいところです。

お話の舞台は、黒狼と白鹿のつがいを始祖に持つ民族が、狼と意思疎通して、狼を使役しながら生きている国。
この民族のほとんどは黒髪の「狼」として生まれる(でも獣の姿になるわけではない。単に属性みたいなもの)
ごくまれに、髪も肌も白い「白鹿」として生まれる子どもがいて、彼らは性別に関係なく王族に嫁ぐために育てられる…という世界観です。

狼と白鹿のカップルの行きちがいを描いた「狼は恋に溺れる」と「狼と身代わりの恋」、狼の幼なじみ同士を描いた「狼は幸せな夢を見る」の3編が収録されています。
エロシーンがあるのは「狼と身代わりの恋 その後」だけで、それもあまり生々しくないから、BLに慣れてない人もおすすめ。

あとがきのあとに、狼目線の2ページの漫画が収録されてます。
狼同士で「明日は俺、白鹿様の警護なんだー」「いいなー」みたいな会話してる。かわいい。

余談:最近読んでいる本、読みたい本

イアン・テイラー『賭けの考え方』


数々のポーカー用語が意味不明なんだけど、なんとか読み進めてる。現在の進捗は28%。

武井弘一『江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか』


紙の本で気になってたんだけど、最近チェックしたらKindle化してた!
今、試しにサンプルを読んでます。

余談:貸していた本が返ってきた

実は職場の人に、『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』という本を貸してたんですよ。
2年前に。

それが今年に入ってから、ようやくKindle化されたんですよね。

私「あのう…貸してた例の本、どうしましょう?」
職「もちろんお返ししますよ!とりさんが退職する前にちゃんと読み終わってお返ししますから!昨日も早めに帰って読んでたんですよ」

私「なんなら1000円で売りますよ?ちょうどKindle版が出てるし、私はそっちで買い直しますから」
職「いや、僕もどうせならKindle版を買いたいんで!紙の本はちゃんと読み終えてお返しします。僕ももう紙の本はこれ以上増やせないです!」

というわけで、私の最終出勤日に返ってきて、紙の本が増えました。