Kindle書評『天冥の標Ⅶ 新世界ハーブC』から『許可証をください!』まで22冊

とらのあなダウンロードストアが閉鎖したためか、ネットの一部で電子書籍の話題がまた盛り上がっているようです。

んでね、「電子書籍はストア閉鎖したら作品も消えて読めなくなるから信用できない!」というご意見、それはもう2012年の段階で知ってたし、わかってて利用してるから別にいいんですよ。

それに800冊以上をKindleストアで買ってみてわかったけど、消えても気づかない本が大半だと思う。
読み終わったらもう気が済んじゃうから。

でも、電子書籍だと場所をとらないし、いつでもどこでも読みやすいし、中古の本を買ってきてまた売るという無駄な作業が生まれないし、何よりも印税をちゃんと払うことができるので、「1回読んだら満足しちゃいそうな本だな」と思っても買うんですよね。
それに、1回読めば気が済むといっても、裏を返せば最初の1回が面白くて楽しければそれでいい。お金払った価値はある。そりゃ安く買えた方が助かるけども。

そんなこんなで大量に溜めこんでおりましたKindle本の感想、まとめてどーん!
ブログに書かなくていいやと思った本もあるので、実際にはもっと買ってるよ…。
いってみよー。

小川一水『天冥の標Ⅶ 新世界ハーブC』、『天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク PART2』



だいぶ前に読み終わってたんだけど、ブログに書くの忘れてました。
うっかり飛ばしてて、『ジャイアント・アーク PART1』のあとで買った『新世界ハーブC』と、最新巻の『ジャイアント・アーク PART2』。
天冥の標シリーズ、ついにここまで来たか…!という感じですが、なんかもうここまで壮大な話だと、最新巻を読むたびに同じこと言いそうですね(すでに言ってる気がする)

さて、彼らは生き残れるのか?どうやって?

片桐はいり『グアテマラの弟』


なぜかグアテマラに行って現地で結婚してしまった弟のところへ、姉の片桐はいりが会いに行くエッセイ。
以前も思ったけど、片桐はいりのエッセイ面白いわー。センスあるわー!

ちょっとでも稼ぎが増えたら、お手伝いさんを雇って家事をしてもらう。そうすれば奥さんは負担が減るし、お手伝いさんは仕事にありつけるし、どっちもハッピーになれる。っていうグアテマラでの考え方、いいよなぁ。
皆でお金を回していこうぜって感じ。

長年の経験から、手っ取り早く自分の気持ちを伝えるには、動詞よりもまず形容詞から覚えたほうが早い、という裏技も使った。

語学に関して、片桐はいり流の学習法。

スティーブン・レヴィ『グーグル ネット覇者の真実』


日替わりセールでぽちっとな。
けっこう長かったので堪能しました。こういう海外のノンフィクションって読みがいがある。真顔でちょくちょくユーモアを挟んでくるのよね。

ウェブサイトのランク付けシステムを名づける際に、ペイジは虚栄心を満たすためにちょっとしたいたずらをした。たくさんリンクを張られているサイトを高く評価するそのシステムを、「ページランク」と呼んのだ。ウェブページを指しているのだろうと考えた人が多いが、実は彼の名字を表していたのである。

創業者のひとりであるラリー・ペイジの名前が由来だと…?!

「みんな日曜日の夜まで宿題に手をつけず、ぎりぎりになってグーグルで調べ物を始めるんだ」

そのへんは世界共通なんだね!

Googleの来歴をつづってきた本書は最後に、GoogleがSNSで遅れをとるという致命的なミスを犯したこと、Facebookの脅威にさらされていることを書いて終わっています。

仁科友里『間違いだらけの婚活にサヨナラ! 』


これ、著者のツイートが面白かったので試しに買ってみたんですよ。

なんだかなぁ…。
確かに実用的ではあると思う。効率的な婚活をするためには、こうすべき!って内容の本だから。男のプライドを傷つけない方法とかも書いてあるから。
実際、参考になる部分はちょくちょくあった。

ただ、結婚意欲がしおれていく本だよね。
結婚したがっている女性を激励するというよりも説教する系の本。
そもそもなんで結婚しないといけないんだっけ…?という疑問が自分の中に芽生えてしまう。

「男は馬鹿なんだからそれに合わせてあげましょうね。男の望む女を演じましょうね。第一印象をクリアすれば男はいくらでもだまされてくれますよ」って感じの本にも見える。
恋愛・婚活関連の記事を書いているアルテイシアさんの「男は馬鹿だけど、かわいい一面もあるし、人間としてお互い対等に戦っていこうや」というスタンスとは相当異なるアプローチです。

この本が向いてる人と向いてない人、バッキリ分かれそうな気がするので、婚活してる人は注意して下さい。
向いてない人は多分、『スパルタ婚活塾』のテンションの方が向いてる。

萩尾望都『訪問者』


昔読んだ短編集を、Kindleでも再び。

やっぱり萩尾望都はすばらしい。
第二次大戦中のパリを舞台に描かれる、サスペンスっぽくないサスペンス「エッグ・スタンド」が1番好き。
戦時下でも人々は働いて、恋をしたり、誕生日を祝ったりするけれども、薄い皮を1枚めくれば、いつ殺されるかわからない現実が待っている。

そして、この頃はまだ親との関係に悩む子どもからの立場で描いていた萩尾望都が、2003年の『バルバラ異界』では親の立場から描くようになって、「先生が、ついに…!」と驚きでふるえたことを思い出しました。

村上竹尾『死んで生き返りましたれぽ』


以前、Pixivで話題になった実録漫画。

フルカラーで読みやすかったです。
「どうせ自分なんか」と思って生活が荒れてると、ひどいしっぺ返しを食らう。

ただ、Amazonのカスタマーレビューを見ていると、
「著者はなんだかんだ言って家族や友達に恵まれてるじゃないか!私にはそんなやさしい家族も友達もいない、妬ましい、だからレビューの星を減らしました」
という内容が何件か見受けられて、なんともいえない気持ちになった。

森見登美彦『新釈 走れメロス 他四篇』


祥伝社文庫版と角川文庫版が出てますが、私は(恐らく先に出ていた)前者をぽちりました。

これ、単行本が出た時に読んだことがあって、Kindle化を待ってたんですよね。
なんといっても「走れメロス」が好きです。あまりにも馬鹿馬鹿しすぎて。

雨隠ギド『甘々と稲妻』1巻


話題になっていた漫画が期間限定で1巻だけ99円になった。ので、ぽちった。

確かに気持ちのほっこりする料理漫画だなぁ。
でも、働きながら、小さな子を育てながら、こんなに手間暇かけて料理してられないなぁ、と思ったのも事実。
確かにそうやって丁寧にだしをとった方がおいしいんだろうけどね。

野切耀子『私のオオカミくん』2巻


珍しく少女漫画をぽちっとな。

両親が離婚して母子家庭で育った主人公の女子高生は、学校の人間関係がうまくいかなくなり、田舎(北海道)でうどん屋さんを営む父のもとに身を寄せることになります。
で、転校先の高校で知り合ったイケメン4人組が、実は人外(オオカミとか狐とか)だという秘密を知ってしまう。
こう書くと、ステファニー・メイヤーの『トワイライト』っぽいですね。

1巻では、オオカミのイケメンを好きになって思わず「好き」と口にしてしまう主人公。
2巻では、それに対してオオカミが自分の過去を告白して「人間の恋愛感情は信じられない、君とつきあうことはできない」みたいなことを言うんだけど、彼の孤独を埋めたいと思った主人公は「じゃあ友達になろう」と答えてしまう。

でも普通の女子高生である主人公が、自分の恋心を封じて、キラキラした笑顔を向けてくるイケメンに耐え続けるのはラクじゃないわな。
しかも相手は主人公の決意を試すかの如く、無邪気に距離を詰めてくる。

それを見ていた別の人外(キツネのイケメン)が、主人公に「馬鹿かお前は」などと声をかけてくるんだけど、主人公がキツネと仲良くなるのではないかと思ったオオカミは、「そういうの嫌だから、俺なんでもするよ!」と言い出す…。
なんでや?!

「きみと恋愛関係にはなれないけど、きみが他の男と一緒にいるのは気に食わない。きみが望むならキスでもハグでもなんでもしてあげるよ。だから俺と一緒にいてね」ってとんでもない発想だな!
相手が1か0を求めてる時に、3を返すようなものだよ!
(恋愛感情は持てないけど、物理的な関係を持ってあげるから独占させてくれ的な…いやそれ望んでないし…)

さて、3巻はどうなるんでしょうね。キツネが本格的に動くんだろうな。

草間さかえ『迷信話集 うつつのほとり』


舞台は恐らく戦前の田舎。
病気の母親とともに、都会から田舎へやって来たお坊ちゃまと、地元で化け物扱いされている男の子の交流を描いたお話。

読み進めていくうちに、なんでこの母子が都会へ戻らないのかもわかってくるのですが、最後はもうちょっと続きを読みたくなるような感じで終わってる。

草間さかえ『マッチ売り』、『やぎさん郵便』1〜2巻




これも少し昔の日本を舞台にした話だなぁ。大戦が終わった少しあと。
『マッチ売り』の続きが『やぎさん郵便』です。ちょっとわかりにくいね。

最初は大洋図書の季刊誌『CRAFT』で連載してたような気がするんだけど…。
リブレ出版のCITRONに移籍したのかな?今はもう版元がリブレになってる。
そういえばCITRONって、立ち上げ当初に東京漫画社から『Cab』で連載中の作品を引き抜いてなかったっけ…?

しかしネットって奴は次々に新しい情報で上書きされていくから、検索しても当時のCRAFTのデータがわからない…。私の記憶ちがいなのかな。
でも買ってた雜誌で連載をちょくちょく見てたと思うし、私はリブレの雜誌を買ったことないから、多分CRAFTだと思うんだけど。

桃山なおこ『恋の中』


太い線と白い部分の多い、白黒のコントラストがはっきりした絵柄の漫画家さん。

「愛情イーター」という短編がすごく好きだったので、懐かしくなってぽちっとな。
俺は硬派になるんだ!と言ってヤンキーにあこがれている男の子と、そんな彼をにこやかにいなす弁当屋のお兄さん(元ヤクザ)の話。巻末に後日談も収録されてて、にやっとしてしまう。

宝井理人『花のみやこで』


『花のみぞ知る』のスピンオフ。
そういえば、宝井理人はすべてデジタルで原稿をやってるそうなんですが、『花のみぞ知る』だけはアナログで描いたそうですね。
全然知らなかったんだけど、弟が貸してくれた『美術手帖』のボーイズラブ特集でのインタビューに書いてあった。へぇ…。

そのスピンオフと番外編を収録した『花のみやこで』。
スピンオフは、なんと『花のみぞ知る』に出てくる主人公の祖父の世代。だいぶ昔!
番外編は、『花のみぞ知る』の主人公たちの数年後を描いた話。こっちは未来だ。
相変わらず絵がきれい。

そして、御崎がほしがってた原色植物標本キットってなんだろう…。

茶屋町勝呂『咎狗の血』2〜8巻


以前、1巻だけぽちってたんだけど、気が向いて最新巻までぽちってしまいました。

てっきり完結してると思ってたら、Kindle版は8巻までだけど、紙の方は2013年に10巻が出ていて、しかもまだ完結していないことに気づいてしまった。無念…。

一応、BLゲームのコミカライズなんですが、「BL、とは…?」と思うくらいBL展開が出てこないので、BL読まない人でも読めると思う。
なんとなく「この関係が怪しい」とか「何も描かれてないけど、このコマとコマのあいだに何かあったっぽい」とか思う程度。

ストーリーは基本的に、荒廃した廃墟のような都市の中で、ドラッグをキメた若い男たちが殺し合いです。読んでいるうちに、流通しているドラッグや、主人公たちの過去の謎が少しずつ明らかになっていく。
私はスプラッタが苦手なんですが、この人の絵は切り絵のような感じなのでさほど気持ち悪くならずにさらっと読めました。

ヨネダコウ『それでも、やさしい恋をする』


『どうしても触れたくない』のスピンオフ。
弟に紙の漫画を借りて読んでたんだけど、やっぱり自分でも読みたくなって、ぽちっとな。

小野田さんがどうなったのか気になってたので、小野田さんに焦点の当たった話が読めてよかった。

松本ケンタロウ『Clean a Wound』


昔読んだ漫画が懐かしくなってぽちっとな。

独特の絵柄なので、酷評してる人もいるみたいですが、私はけっこう好きです。絵って、線が多ければ(あるいは白い部分が少なければ)いいってもんじゃないと思う。
ただ、最初に読んだ時は話がややこしくて、ちょっと混乱したけど。
最後はストーンと終わっちゃったな。

恋煩シビト『バラ色の時代』


ヤクザの跡取り息子と、医大を目指す医者の息子が高校で出会ってしまうところから話は始まる。

片方は父の跡を継いでヤクザの組長になり、もう片方は彼に暴力で脅されて、闇医者をさせられながら愛人として組み敷かれ…。
バラ色の時代、というタイトルは、決してすばらしい時代という意味ではありません。

話が面白くなるのは、組長が結婚するあたりから。
組長の妻は、敵対するヤクザの組長の娘。つまり政略結婚。
そして組長の方は、妻の父親に「あんた、男色が好きだってな」と言って、自分の愛人である医者を好きに使えと差し出す。

妻は最初、組長の愛人をやっている医者に対して、正妻として「しょせんお前は愛人なんだよ、わかってんのか」って感じの立場をとるんだけど、長い年月をともにするうちに、だんだん感情に変化が表れるんよね。
妻の発言の数々が、女としてのつらさ、強さ、哀しさのようなものをにじませているけど、彼女は泣かない。
自分の立場がそういうものだと知っているから。

烏城あきら『許可証をください!』1〜6巻


すごく好きだったシリーズなので、20%還元セールの時に全巻揃えました。

いやーやっぱり面白いわー。
工場を舞台にしたBL。しかもBLにありがちなイケメンばかりの環境ではなく、現実にありそうな、大勢のおっさんと工業高校を出て数年という普通の若者だらけの職場。
主人公は品質管理を担当する部署の期待の星で、対する相手は工場の製造部で若くしてリーダーとなった頼れる男。

出てくる人たちが皆ちゃんと仕事してるんよね。
異物混入、渇水、台風襲来、定期的な修理、取引先からの値下げ要求、ISO取得などなど、日々襲ってくるさまざまなトラブルに立ち向かいながら、職場での人間関係や後輩の育成に悩みつつも、さらなる品質改善を目指して手足を使い、頭を使う。
そこに他部署との対立や温度差やらを絡ませて、主人公のとぼけた発言で笑わせてくる…本当に、どうやったらこんな話が書けるんだろう。

ただ、逆にBLだからこそ、こういう本が出せたんだろうなとも思うんですよ。
一般文芸で、工場を舞台にしていて、若い人にも読みやすいライトな体裁だけど、仕事の側面をきっちり描いていて、仕事以外の恋愛や家族関係の悩みも取り上げられていて、主人公たちのその後が気になる小説って、なかなか企画通らないんじゃないかなって。

余談:最近読んでいる本

昨夜、『植物はヒトを操る』という対談本をぽちってスマホで読んでるよー。

あと、ここ何ヶ月かスマホで読書してて気づいたけど、スマホはハイライトの同期めっちゃ速い。瞬時。
タブレットで読んでると、Wi-Fiにつないで同期ボタンを何度タップしても、なかなかハイライトが同期されないことが多い。
そんなこともあって、最近はスマホでの読書がはかどっております。漫画はタブレット一択だけど…。