Kindle書評『カーミラ』と『傷口から人生。』

最近、スマホでの読書に慣れすぎて、だんだんKindle Fire HDXも重たく感じるようになりました…。
うーん、せっかく買ったのに。

漫画はやっぱり大きい画面で読みたいから、スマホじゃなくてFire HDXで読みますけどね。

そんな毎日をすごしていて、漫画もたくさんぽちっているのですが、活字の本だけ先に感想いってみよー。

J・S・レ・ファニュ、BOOKS桜鈴堂『カーミラ』


著作権が切れた昔の小説を、翻訳してリリースしたKDP本のようです。

あれですよ、『ガラスの仮面』で姫川亜弓が演じてるお芝居です!
テレビドラマに出演していたものの、罠にはめられて芸能界を追放された北島マヤ。
しかし、彼女を唯一のライバルと認めている姫川亜弓は、北島マヤを罠にはめた新人女優に仕返しをすることで、マヤの仇をとる。
(実際、「あなたの仇はとったわ、マヤ」みたいな台詞があったはず)

マヤの後釜を奪った新人女優と、姫川亜弓が舞台で競演するのね。
それがこの『カーミラ』を脚本にした舞台。
美少女の吸血鬼カーミラを演じる亜弓さんは、主人公ローラ役の新人女優を舞台の上で完全に凌駕し、彼女の女優としての評判をつぶしてしまう。
圧倒的な敗北を味わった新人女優は、「こんなすごい人がライバルとして認めているのは、あの北島マヤだけなんだ…あたし、なんてことをしてしまったんだろう…!」とショックを受ける。

あの場面で演じられた脚本の原作ですよ!カーミラ!

由緒正しき百合、かもしれない

『ガラスの仮面』を読んでて予想してたけど、あにはからんや、とっても百合めいてました。
自分が獲物に選んだ相手(ローラ)に対して、まるで恋でもしているように熱烈な情熱を向ける美少女カーミラ。
百合が好きな人は読むべきだ。

これを原作に百合漫画を描いた人、まだいないの?うっそだー、絶対に誰か描いてるっしょー!

しかもね、昔のヨーロッパを舞台にしていて、ちょっとゴシックロマンのような雰囲気があって、主人公の堅苦しい語り口がまたぴったりなの。
(翻訳もえぇんやと思う)

ひとつだけ、カーミラがローラに語る台詞を引用してみましょう。

「(前略)わたしがどれほど執念深い女か、あなたにはわからないわ。わたしは死ぬまであなたの愛を離さない。愛してくれないなら憎んでもいい。でもわたしたちが一つであることは変わらないわ。あなたが死ぬ時も、そして死んだ後も、わたしたちは憎しみで結ばれ続けるの。わたしのこの冷たい生命には、無関心という言葉はないのよ」

とっても百合ですごちそうさまでした。

さまざまな少女に近づいては、相手と熱烈に親しくなって、吸血鬼である自分の餌食にしてしまうカーミラ。

『ガラスの仮面』では、吸血鬼になってしまったカーミラの悲しみを亜弓さんが演じてましたが、この『カーミラ』では特にそういう解釈はなされていません。
淡々とローラが自分の身に起きたことを語っていて、解釈や深読みは読者にゆだねられている感じ。

小野美由紀『傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった』


None.」というブログを書いている、小野美由紀さんが出した初めての本。

幼なじみのダダからもおすすめされていました。
というより、ダダが読むことはなんとなくわかっていたぜ!
tweetwithdada

いろんな人がいて、いろんな形の人生があるのに、なぜか見えなくなってるのは見ようとしてなかったから

以前からブログを読んでいたので予想していたけど、やはり読みやすかった。
すいすい読んでしまいました。

今までブログでは語られていなかった母親との関係、スペイン巡礼で出会った自分の醜さ、せっかく巡礼でやりたいことを見つけたのに自信がないから言い訳してめちゃくちゃな仕事をしていたこと、などなど。

「自分は本当に仕事ができなかった」と恥をしのんで語っておられるのですが、想像以上のエピソードでした。できないという次元ではない…。
なんでそんなに壊滅的なほど仕事ができなかったのかというと、自分に自信がないからあれこれ言い訳をして、自分の本当にやりたいことはやろうとせず、ぼーっとしていたから。
そのくせ「自分が怒られるのは自分が悪いんじゃない、この会社のせいだ」くらい傲慢にとらえていた、という。
す、すごい精神状態だったんだな…。

いくつか気になった言葉を紹介してみるよ。

「何かを得るために、歩くんじゃないんです。ただ、失くすんです。道というのは、すべて、そのための装置なんだ」

ミニマリズムに興味がある人へ。

「自分は人に馬鹿にされている」と思う人間ほど、特別な人間になりたがる。そうなると、その思いはどんどん膨らんで、自分を認めない他人を恨む。

ネットに大勢いる―!ひょっとしたら私も同じ穴のむじなー!

弱さは強さの証。自分の弱さを許容することで、その裏側にある自分の強さを発見することができる。

今も相変わらずメンタルの弱さを発揮しているとりさんですが、年食ったおかげで以前よりもずっとマシになりました。
この本を読んでいて思い返したんだけど、学生の頃は今よりもっと弱かったんですよ。
でも、あの頃は弱かった以上に、弱い自分を許せなかった。それが今とちがうなって思う。

私は自分のことばっかり考えてたから、弱かったし、気持ち悪かったし、自分の傷ばかり大きく見える、痛い若者だった。
自分のことしか考えてないから、弱い自分が云々なんていうどうでもいいテーマで何時間もめそめそできたんだよなー…今思うと。

これまで無駄だ無駄だと思っていたことが無駄じゃなかった、その人生という物のふてぶてしさというか、傲慢さというか図太さにいつも目を見開く。

何がどこでどうつながってるのかって、つながるまでわからないよね。

余談:現在読んでいる本

数年前に、とあるブログで紹介されて以来、ずーっとKindle化を待ちあぐねていた『神話の力』。
ふと思い出して昨夜検索したら、Kindle化されていたので、即ぽちりました。

楽しい(・ω・)

(私の脳内での勝手な)ゲーム終了後も、イケメン(暫定)だったお兄さんは相変わらず毎朝同じ場所にいるし、私はやっぱり相手の顔を見ないようにしながら、スマホで『神話の力』を読んでいるのだ。