Kindle書評『左近の桜』と『そんな目で見てくれ』

今月はKDP本を3冊出したので、安心して読書にいそしみたいと思いつつ、次の原稿に手をつけたい気持ちもありつつ…。
いや、その前に本の感想を書いておこう。

そうそう、「これは絶対に面白いだろうな」と思っていた本がありまして。

しかし「売れているメジャーな本よりも、再販せずに消えてしまいそうな本を先に買え」という人生を送ってきたおかげで、対象が電子書籍になってからも「絶対に面白い本」より「面白いかどうかわからない本」を先に買ってしまう癖がついております。

そんな私に対して、先に『傷口から人生』を読み終えた幼なじみのダダが、こんな名言を。


座右の銘にしとうございます。

なにはともあれ、先に読み終わった本の感想いってみよー。

長野まゆみ『左近の桜』


だいぶ前にぽちって、最初の短編を読んだきり積ん読していた本。
通勤中にKindleアプリで読みました。

日本語の美しさを愛でる不可思議なお話

16歳の男子高生、桜蔵(さくら)が、毎回いろんな男(しかも幽霊やら魔物っぽいものやら、とにかく人間ではない男)に襲われるというお話。
BLというよりも耽美な感じかな。和風で、ちょっと古めかしい感じの。

しかも桜蔵の住む家では男専門の連れ込み宿を営んでいて、保護者も実の両親ではなさそうで(あるいは本宅が別にあったりする)、複雑な環境です。

父親の位置におさまってるけど、どうも父親っぽくない柾が特に怪しい。
本当に血がつながっているのかと桜蔵自身も疑ってるし、会話もいろいろとおかしい。
その筋の知り合いは柾のことを「あいつは女(男の相手をする少年や青年のことを意味する)を育てるのがうまいんだ」と言い、桜蔵に対して「お前もいい女に育ったな」みたいなことを言う。えっ、それって…。

童話のようなお約束の展開をつくるためなのか、桜蔵は毎回、意識を失ったり、手足の自由がきかなくなったりして男に襲われています。
カスタマーレビューに「ちょっとワンパターンで飽きる」って書かれてたけど、電車の中でちょっとずつ読んでたら気にならなかった。童話を読んでると思えば、そんなものかと。

襲われるといっても、エロい描写は全然ない。
でも、きれいな日本語の端々ににじみでる表現が色っぽい。

ひらがなを多用しており、漢字とひらがなのバランスを絶妙に考えながら書かれた印象を受けました。
なんかね、話が多少ワンパターンでも、文章がきれいだから許せちゃうわ。
ストーリーを追うというよりも、言葉のつらなりを愛でる気持ちで読んだ。

続編が出てるので、ぽちろうと思います。
柾と、弟の千菊(ちあき)との関係について、新たな展開があるようですが、はてさて。

毛魂一直線『そんな目で見てくれ』


ギャグ漫画家が挑んだというBLギャグ漫画。
表紙とあらすじ紹介を見た瞬間、なんか心をつかむものがあって、すぐにぽちってしまった。

言葉のセンスと王道の恋愛ストーリーと

いやー面白かった…超笑った…。

まず最初のページの、いっちゃん最初のコマに書かれた地の文が、

私立シリカゲル学園
通称「しり学」

ですよ。
この時点で、すでに危険なにおいしかしない…!(高まる期待)

エロシーンはないんですが、ちゃんとBL展開でした。
ものごっつハイスペックな生徒会長の坊ちゃまが、ひょんなことから前髪で目を隠した新入生男子に一目惚れしてしまうというお話。
(冒頭では、この生徒会長のハイスペックさを、ぶっとびすぎててギャグてんこもりになった状態で表現している。「女は歓喜に身体をうち震わせ 男は黙ってこちらに尻をさしだす」とか…w)

次々にくりだすボケとツッコミの台詞の数々が面白かったわー。
健康祈願って!そんな言い訳は初めて聞いたよ!
(気になった人は読んでみよう)

そしてギャグをハイテンポでかましつつ、ちょっとずつお互いの距離が縮んでいったり、自分の中の新しい一面を見つけたり、ライバルの存在にやきもきしたり、相手に自分の気持ちを伝えたり、ちゃんと恋愛のストーリーも進んでいる。
おもろいなー。

「私立シリカゲル学園」が心にヒットしてしまった人にはおすすめですよ。

余談:最近読んでいる本

通勤中は、硬めの本とか、小説よりも雑学の本がいいかなーと思いまして。
ちょうどセール中の『日本の分水嶺』をぽちって読んでる。

彼氏に見せたら「…それ面白いの?」と真顔で困惑していた。

余談その2:買うかどうか迷っている本

『フィンランド語は猫の言葉』、Kindle化してますよー!

あとフィンランドつながりで、こんなKDP雜誌っぽいものが出ていて気になる。

先日、谷山浩子がFC会報の「ねこ森通信」で絶賛していた本も、Kindleで出ておってな。
恐らく会報が出た時期に、この本の売れるペースが急に上がったと思うわ。

これも気になってる。母国語だからこそ油断せずに勉強を続けないといけない。