中国語を知らない人のための豆知識:プートンホアってなんですか?

今回は、中国語の標準語について、豆知識的な記事です。
前からちょくちょくブログに書いてたけど、いちいち書くのも面倒だし、話が脱線してしまうことも多いので、ひとつの記事としてまとめることにしました。

ただ、私が中国語を勉強していたのは大学時代の3年間で、すでに10年くらいブランクがあります。
まちがったこと書いてたら教えて下さい!

ではでは、いってみよー。

中国語とは

中国は億単位の人口を擁する広大な国であり、言語も多岐に渡ります。
1番多い民族が漢民族なのですが(戸籍にも民族欄があって、漢族と書くらしい)、漢民族の話す中国語も地域によって全然ちがう。

※中国語のことは、中国語で「漢語(Hànyǔ)」と呼びます。漢民族の言語という意味です。

語尾がやたらとアール化してて、
「もしかして、日本で中国語を表現する時に遣われる『〜あるよ』って、このアール化から来てるんじゃ…」
という疑惑を私に植えつけた北京(ペキン)語とか。

何百年以上も前に、戦乱を避けて中原から南下して逃げてきた人たちのあいだで遣われており、当時の中国語の発音を現代に残していると言われる客家(ハッカ)語とか。
(現代の中国語は、当時の中国語とは発音が異なるため、杜甫や李白といった古代の漢詩は、客家語の発音で読まないと韻が踏めなかったりする)
(客家人は華僑に多い。台湾にもけっこう多い)

南の方に行けば、広東、香港、マカオといった経済的に強い地域で、広東(カントン)語が大きな勢力を誇っており、首都で遣われている北京語とは発音どころか文法も異なります。
個人的には、広東語ってタイ語にめっちゃ似てると思う。発音がね。
先日は、観光客の話してる言葉が広東語なのかタイ語なのか区別つかなくて衝撃でした。多分これ私が広東語もタイ語も勉強したことないからだ…。

漢民族の言葉だけで、かなりいろいろあるわけですよ。
七大方言なんて言われるけど、中国がひとつの国になっているから方言扱いされているだけで、ぶっちゃけこれ、別の国の言語じゃね?みたいな。

IT系・Web系っぽくたとえるならば、
「javaScriptができれば、Javaもできると思ってる人いるよねー。あれって北京語ができれば広東語もできるって思ってるのと同じだよね!」
って感じです。無理です!

もちろん、その大きな「方言」のくくりの中には、さらに小さな方言というか「口音(kǒuyīn)」がある。
たとえば天津なまりのことは「天津口音(Tiānjīn kǒuyīn)」って言うんだけど、北京市のすぐそばにある天津市で話されている言葉は、北京と比べると、外国人がぱっと聞いてもわからない些細なアクセントのちがいがあったりするわけです。

※日本の感覚ではわかりにくいですが、北京市も天津市も中国政府の直轄都市で、日本の都道府県に相当する面積を持っています。市というより県。人口も多い。

そんな国をまとめるために、漢字は大きな役割を持っている。
中国のテレビを見ていると、ニュースでもドラマでも普通に字幕ついてるしね。

プートンホアとは

そして、中国大陸では「普通話(プートンホア/Pǔtōnghuà)」と呼ばれる言語が、標準語として用いられています。
首都がある北京語をベースにした中国語です。

英語ではマンダリン(Mandarin)と呼ばれますが、これはもともと清朝時代に、外国人が満州族の高官を満大人(mǎn dàrén)と呼んだことから来ているようです。
(中国大陸最後の王朝となった清朝は、漢民族ではなく満州族が支配階層だった)

中国大陸の公的な場面で遣われる中国語は、普通話です。
授業も、普通話で行われる(ことになっている)
メディアでも、最近はその土地の方言を遣うケースが増えてきてるらしいけど、基本的には普通話。

アーティストも普通話で歌うし、ライブのトークは(出身地のなまりはあれども)普通話です。
たまーに方言で歌うケースもあるけど、すごく珍しいし、すべての歌を方言で歌うことはあまりないと思う。他の地域の人がわからないから。

たとえば、台湾出身のアーティストである周杰倫(ジェイ・チョウ/Zhōu Jiélún)も、普通話で歌ってる。
(たまに、サビだけ台湾語で歌う歌もあったりするけど)
台湾のアーティストにとって、中国大陸は大きな(むしろ主力の)マーケットなので、歌も最初から普通話でつくられているようです。

例外的に台湾語で歌っている「火車叨位去」↓
冒頭の歌詞が「ティァオワイゴン」って聞こえるけど、普通話だと「ティンウォージィァン」だもんなー…。

中国で教師の資格をとろうとすると、この普通話の資格もとる必要がある、と聞いたことがあります。
裏を返せば、中国人の大多数は、普通話をそんなにきっちり話せなくても生きていけるということです。自分が生まれ育った地域や、自分が働く地域の「方言」が話せれば生きていけるわけだから。
(しかし人口があまりにも多いので、ひとつの方言でも話者が日本の人口より多かったりする)

私が大連の大学に短期留学していた時は、現地の先生が中国語(普通話)で中国語(普通話)の授業を教えてくれたわけですが、
「おや?なんかこれ…発音ちがう気がする…」
と思うことが、ちょくちょくあった。

2週間くらい聞いていて、「もしや、これが大連なまりか!」と気づきました。
(shiの発音がsiに似てた)

日本における中国語

日本で中国語を勉強しようとすると、ほぼ必ず普通話を教わります。
標準語だからです。
日本語学校で、いきなり関西弁を教えないのと同じです。

普通話以外だと、広東語を教える学校がたまにあるくらい、なのかな?
語学学校や外国語大学に通ったことがないので、詳しくないんですが、書店に並んでる教材を見てると、そんな気がする。
広東は経済的に発展しているので、ビジネスのために需要があるのでしょう。
ただ、最近は以前ほどの勢いを感じないような…気のせいかな…。

たまに、ニュースで中国の高官や政治家が声明を発表したりしますよね。
そういう発表が出る時って、だいたい日本ともめごとを起こしていたりするので、内容自体はアレなことが多いんですけど、中国語を勉強している人にとっては非常にいい「教材」だったりします。

なんせ、嫌味なくらい、クリアな発音の普通話なんですよ。
ああいう場に出てくる人は、十億を超える中国の人口の中で激しい競争をくぐり抜けてきたエリートの皆さんですので、日本の政治家みたいにモゴモゴと聞き取りにくいしゃべり方をしません。
訓練された標準語を、訓練された声で、はっきり、ゆっくり話してくれます。
ちょーーーー聞き取りやすい。

しかも、ニュースだと日本語訳の字幕も出るから、だいたいの意味がわかる。
だいたいの意味がわかると、ますます聞き取りやすい。言葉のチョイスもわかる。
中国語を勉強している人は、中国の高官や政治家が声明発表している場面を見つけたら、リスニングのいい機会ですよ(・ω・)

番外編:台湾

中国語を勉強してるよーという話をすると、しばしば、
「じゃあ一緒に台湾行こうよ!中国語できる人がいると心強いし!」
「中国に行くのは怖いけど、台湾なら大丈夫だから!通訳よろしく!」
と言われることがあります。

残念ながら普通話は、台湾の日常風景であまり遣えないことが多いです…。

台湾でメジャーな言語は台湾語で、これは福建省の閩南(びんなん)語から派生している。
北京語をベースにした普通話とは、ルーツが全然ちがうわけですよ。

一応、台湾の学校では普通話を習うんですが、このへんの習得率は世代によってかなり異なる感じ。
10年前に台北へ行った時は、お店の人に普通話で話しかけても通じず、英語で返ってくることが多かったです。
たまたまスタバで知り合った大学生に道を聞いたら、その人には普通話が通じたんだけど。

台湾人の母親を持っている友達(日本人)は、
「台湾で育った弟は台湾語と英語ができるけど、普通話はできない。だから弟とは英語でコミュニケーションをとっている」
と言ってました。

台湾では、他にも客家語を話す客家人や、土着の言語を話す台湾原住民、親が教育熱心だったために英語の方がよくできるという人…かなりバラバラです。
台湾の電車に乗ったら、普通話と台湾語と英語と、あともうひとつ客家語か広東語でアナウンスしてたもんな…。

そういう影響もあってか、台湾語を日本で学べる学校は聞いたことがない。多分ないと思う。
(広東語に比べたら話者も少ない上に、台湾の公用語としても認められていないため)