Kindle書評『猫科男子のしつけ方』『ネコ科彼氏のあやし方』から『クロネコ彼氏』シリーズまで

全然Kindleで買い物しなくなったと思ったら、一転して直近の1週間で10冊以上ぽちってたとりさんです。
面白い漫画に出会うと大人買いしてしまうのさ…!
(1冊だけ新書をぽちったけど、あとは全部漫画だった)

今回は右京あやね/左京亜也の猫科シリーズの感想です。
猫科人間という人種が存在するという設定の中で、それぞれ別の登場人物が主役になってる。

この人、絵もストーリーも安定して読めるなーと思いながら読んだ。

…今日の感想はすごく長いです。
いってみよー。

猫科の話のつながりあれこれ

この漫画家さんは、描くジャンルによってペンネームを使い分けておられるようです。

  • 右京あやね:少女漫画、ニアBL
  • 左京亜也:BL

※ニアBLは「BLに近い(near)」作風。
男同士のエロや恋愛描写は出てこないけど、なんか不自然なくらい男同士が仲良かったり、やたらと熱い友情(もしくは兄弟愛)が出てきたりする。ブロマンスとも言う。

猫科の人間が登場する一連の作品は、確認できた範囲で以下の通り。

  • 『猫科男子のしつけ方』全5巻(右京あやね名義)
  • 『ネコ科彼氏のあやし方』(以降、左京亜也名義)
  • 『クロネコ彼氏のアソビ方』
  • 『クロネコ彼氏の甘え方』
  • 『クロネコ彼氏の愛し方』全2巻
  • 『不機嫌彼氏のなだめ方』

最後の『不機嫌彼氏〜』はまだ単行本化されてないから、読んでない。
あと、『猫科男子〜』は最後の5巻だけがまだKindle化されてない…気になる…。

それぞれの登場人物がリンクしてます。

  • 『猫科男子〜』の二宮獅王は、『クロネコ彼氏〜』の賀神圭一と映画で共演している
  • 『ネコ科彼氏〜』の九重亮太と夏目義行は、『猫科男子〜』の二宮みちると同じ学校にいる
  • 『クロネコ彼氏〜』の真悟は、『ネコ科彼氏〜』の九重亮太と面識がある

ちなみに、連載中の『不機嫌彼氏〜』は、『クロネコ彼氏〜』でもすでに登場した賀神の兄が主人公の模様。先月発売の雑誌で最終回を迎えたため、春からまたクロネコ彼氏に戻って新連載が始まるそうです。
確かに、一連の猫科の話では、『クロネコ彼氏〜』が1番王道なストーリーだったもんなぁ。そりゃ売れるわ。

おまけが収録されてる

また、Kindle版では、『クロネコ彼氏〜』に電子版おまけペーパーがついてます。
奥付のあとに載ってるから、気づかない人もいるだろうなーこれ。
各巻のおまけペーパーのタイトルは以下の通り。

  • 『クロネコ彼氏のアソビ方』…「クロネコ彼氏が最近ちょっとツヤってます」
  • 『クロネコ彼氏の甘え方』…「クロネコ彼氏が最近さらにツヤってます」
  • 『クロネコ彼氏の愛し方』1巻…「クロネコ彼氏の愛し方①」
  • 『クロネコ彼氏の愛し方』2巻…「クロネコ彼氏の愛し方② クロネコ彼氏がツヤってるのが気に入らない」

電子化する際、小説の挿絵を全部カットされちゃったり、次巻予告やカバー下漫画をまるっとカットされちゃったりすることが多いよねー。
逆に、カバー折り返しの著者紹介まで全部収録してるところもあれば、こうして電子版限定のペーパー(1ページ完結のおまけ漫画)をつけてくれるところもあって、本当にいろいろです。
(このペーパー、もしかしたら書店封入のペーパーと同じなのかもしれないけど不明です。一応Kindleストアでは「電子限定おまけ付き」と表記されている)

もちろん、ペーパーがついてると、とってもうれしい!
それに、紙の漫画だと書店封入のペーパーは折りたたんで挟まれてるし(A4くらいのサイズが多い)、折り目がついちゃったり、保管しにくかったりするので、こうして電子化されて漫画の1ページみたいに読めるのって、けっこうありがたいんよね。

右京あやね『猫科男子のしつけ方』全5巻





最後の5巻がまだKindle化されてない(紙の5巻は2014年10月発売)、右京あやね名義の作品。
そして、なぜか3巻だけ書影が出ないんですけど、ダウンロードすればちゃんと表示されます。多分これKindleストアに入稿する時のミス…。

レーベルがウィングス・コミックスなので、ニアBLです。
しかし、なんでニアBLというあいまいなジャンルが存在するのだろう…と思うことは、たまにある。
がっつりした恋愛やエロ抜きでBLっぽいもの(例:男同士の熱い友情)を読みたい人向けなのか、BL初心者向けなのか、あるいは行間を妄想したい人向けなのか。
作家の方で「BLを描きたいけどレーベルの制限があって描けないから、それっぽくほのめかした話を描く」って事情もあるかもしれないけど。

暑苦しい兄弟愛…を取り巻く、きなくさい世界

序盤は、「兄の溺愛を面倒くさがる弟と、邪険にされてもめげない兄」というストーリー展開です。
親の離婚後、母親と一緒にアメリカで暮らしていた末弟のみちるが、日本に住む兄たちのもとへやって来る。

3人の兄たちは、それぞれ芸能人や漫画家や占い師といった、会社勤めではない仕事をしていて、けっこう自由気ままで自分勝手。
特に兄のひとりである獅王は、みちるを異様に溺愛していて、なんだかんだ無茶をする。
そして彼らは揃いも揃って猫科と呼ばれる人間であり、興奮するとライオンやヒョウに変身してしまう。
(彼らが自由業だという設定も、恐らく猫の自由な性格からきてる…)

というわけで、1巻の途中までは、
「派手で勝手で目立つ上に、変身してしまうリスクを負った兄たちと、彼らにふり回される弟」
という兄弟のドタバタを眺めるお話なのですが、途中から雲行きが怪しくなってくる。

4人兄弟の中で、なぜ末弟のみちるだけが猫科に変身しないのか。
みちるの背中の古傷は何なのか。
そのへんの事情が少しずつ明らかになってくると同時に、みちるを狙う魔の手が迫る…。

拉致られたり脅迫されたり大変なことになってますが、最終巻のKindle化を待っているところです。

左京亜也『ネコ科彼氏のあやし方』


ここから左京亜也名義になって、BLに突入です。
あとで出る『クロネコ彼氏〜』に比べると、股間がほとんど隠されて(塗りつぶされて)なくて、びっくらこいた。
多分、『クロネコ彼氏〜』の方は都条例の関係もあって塗りつぶしの指定が厳しくなったんやろな。

猫耳成分が多め

『猫科男子〜』で、みちると一緒に体育の授業を受けていた九重が主人公。
みちるの相談相手になっていた夏目先生が、九重の相手として登場します。

童顔の九重は、精神的にもまだ幼いらしく、そのへんの飼い犬に吠えられただけで猫になってしまう。
そのせいもあって、しょっちゅう猫耳としっぽが生えた状態で歩き回ったりエロいことしたりしてます。

がっつりBLになったために、エロシーンも入ってくるんですが、いろんなアングルからのカットが出てきて面白い。
絵がうまい人って、いろんな体位を描いてても安心して見れるのう。

『猫科男子〜』は大型の猫科の皆さんでしたが、『ネコ科彼氏〜』は普通の猫です。
(オスの三毛猫だから珍しいっちゃ珍しいけど)

中盤あたりで、九重に絡んでくる他の猫科が、この次の『クロネコ彼氏〜』に出てくる真悟です。

左京亜也『クロネコ彼氏のアソビ方』、『クロネコ彼氏の甘え方』



そして始まるのが『クロネコ彼氏〜』シリーズ。
すごく…肌色です…(婉曲表現)

とっても王道(ただしとっても肌色)

『ネコ科彼氏〜』はうぶな高校生が主人公でしたが、『クロネコ彼氏〜』は夜な夜な遊び歩いて一夜限りのエロスを楽しむ真悟が主人公なので、なんというか歯止めがない。遊び相手からもヤリチン呼ばわりされてるし!
で、その相手をするのが『猫科男子〜』に脇役で出てきた、俳優の賀神。この人も実は遊び人だったことが独白からもうかがえる。

最初は体だけの関係だったのに、そこから真剣な恋愛関係に発展するという、BLでは割とよくあるストーリーです。
でも、こんなにも肌色だらけなのに、ばっちりと王道なストーリー展開でした。さすがっす。
(王道を描ききるのって、実はけっこう難しいと思うの)

  • 攻め一辺倒だった真悟が、賀神の罠にかかり、初めて受けにさせられてしまう
  • 真悟を罠にかけた当初は、適当に遊んで終わるつもりだった賀神が、(多分)初めて恋愛感情と独占欲を抱く
  • 野良猫で捨て猫だった真悟は、再び捨てられる可能性を恐れて、賀神の求愛から逃げようとする
  • でも最終的に真悟は賀神を受け入れる
  • ナンダカンダ言ってふたりともお互いのことしか見てない(相思相愛なのにすれちがってるだけ)
  • 野良猫で日雇いブルーカラーの真悟と、豹で人気俳優の賀神という格差カップル

という感じのストーリー。
(猫科のほとんどは普通のイエネコなので、大型の猫科はさらに珍しく貴重であるという設定)

自分の気持ちを自覚した時から、かなり明確に恋心を意思表示する賀神とは対照的に、捨て猫だった真悟はなかなか素直にならない。相手に対して「好き」という言葉を言えるようになるまで相当な時間がかかる。
真悟の態度の変遷を追っていくと2度楽しめる感じです。

左京亜也『クロネコ彼氏の愛し方』全2巻



1巻目には「クロネコ彼氏の啼かせ方」と「クロネコ彼氏の愛し方」の前半、そして2巻目に「クロネコ彼氏の愛し方」後半が収録されてます。
さらに肌色です。
2巻目の表紙で、ようやく真悟が笑うようになった…。

今度は周辺からの圧力が

基本的に、カップルがめでたく成立したあとのラブラブな様子が描かれてるんですけど、そこはやっぱり話を盛り上げるために、いろいろな展開が待っている。

今回は、もうひとつの王道展開である「身分の差」ですよ。
「こんなイケメンで地位も高い王子様と、私がつりあうわけないんだわ」的なアレですよ。
本人がそう思ってなくても、周囲(主に王子様サイドの人間)がそう言ってふたりの仲を引き裂こうとする。
そして本人たちの強い意志と行動がそれをはねのけるという、大変ベタな展開です(褒め言葉)

この全2巻では、金持ちのスターで、猫科としても希少な豹である賀神と、もともとは捨て猫だった野良のイエネコである真悟に対して、いかにもエグゼクティブな感じの賀神の兄(やはり豹)が割りこんでくる。
「豹たるもの、メスとつがって子どもを残さねばならない。男で、しかも野良猫風情のお前に用はない」と。

BLだと、この「身分の差」には往々にして、「男のお前に跡継ぎは産めないから別れろ」という、実に嫌な攻撃が加わるよね…。
(寿たらこの『SEX PISTOLS』では、男同士でも女同士でも子どもをつくれるというSF設定があるけど)

あーでも、こういう少女漫画やBLで扱われやすい王道なストーリーを描きつつ、砂糖を吐きそうな甘い台詞で読者のツボをえぐりつつ(カスタマーレビューで同じようなこと書いてる人いた)、毎回ばっちりがっつり手を替え品を替えてエロも入れてくるあたり、本当にうまいなぁ。
この1週間、何度も読み返してしまった。すげー。

なんとなく、やまねあやののファインダーシリーズを連想しましたが、あれよりもさらに肌色な印象です。
(ファインダーシリーズは裏社会が舞台なので、甘い雰囲気は全然ないけど)

余談:最近ぽちった本

急速に自分のKindle Fire HDが、BLとニアBLで埋め尽くされつつありますが、私は元気です。


『薔薇王の葬列』3巻、昼ドラ的なドロドロが広がって、さらに面白くなってまいりましたー!
3巻で初登場となったバッキンガム公爵のその後も気になるところです。
そしてものすごくいいところで終わってた。
思わず薔薇戦争についてWikipediaで調べる→今後の展開を予想して落ちこむ。


初めての漫画家さんをぽちってみた。
痛い系の作風の人らしいんですが、この作品はそこまでじゃなかったです。


阪急電鉄で運転士をやってたのに、人事異動で宝塚歌劇の担当となり、ついには宝塚総支配人になったという異例の経歴の著者が語る、宝塚の経営戦略の話。
収益を上げるという点から、どんな風に考えて宝塚の公演が行われているのか、面白く読みました。
後半のAKBとの比較はあんまり興味が出なかった…。
宝塚、いっぺん見てみたいよー。
去年、取引先からいただいた「エリザベート」のチケットが社内抽選になって、ものすっごく行きたかったんだけど、抽選にはずれちゃってねぇ…。特に「エリザベート」は何年も前にCMで見た時から、自分の萌えを直撃してくれそうだと思ってるんだけど…。

1巻だけ無料キャンペーンをやってる少女漫画の中から、気になったものを試しにダウンロードしてみることもあるんですけど、やっぱりなぁ…なんか…いまいち。
BLの方が面白い。
もちろんBLでも(自分にとっての)ハズレは大量にあるんだけど。