鴨川三角州?それとも鴨川デルタ?

京都市内を流れる、鴨川。
左京区の方から流れてきた高野川と、北区の方から流れてきた賀茂川(加茂川)が、出町柳のあたりで合流して、鴨川という名前の川になる…と私は教わりました。

Wikipediaによれば、鴨川と賀茂川は同じものらしいんですけど、私の周囲の大人たちは「賀茂川と高野川が合流して鴨川になるねん」と言っていたし、皆そういう風に理解していたと思います。
川の系列とか、起点とか、普通の人はそこまで気にしませんしね。

さて、この賀茂川と高野川が合流する場所は、ちょうど三角州(さんかくす)になっておりまして。
「亀石」と呼ばれる、亀の形につくられた飛び石が川の中に点々と並べてあり、この亀石を飛びつたっていくことで、賀茂川の岸辺から三角州を経由して高野川の岸辺までたどりつけるようになっています。
もちろん、三角州を北上すると、ちゃんとした橋もかかっています。

三角州は三角州だった

この三角州、わかりやすいので、何かと集合場所に選ばれやすいです。

あのへんで行事があったりすると、だいたい「鴨川の三角州に集合」って言われるのね。
(必ず「賀茂川」ではなく「鴨川」と記載されていた)

うちの親も「三角州」と呼んでいたし、周りの大人も子どもも「三角州」と呼んでいた。
そこに何の疑問もなかったわけです。

鴨川デルタという呼び方

ところが、高校時代(2000年頃)に清涼院流水の小説を読んだら、この三角州が「鴨川デルタ」という、なんかちょっと頭よさげな名前で呼ばれているではないですか。

は?
鴨川デルタ??

「京都の人々はこれを鴨川デルタと呼ぶ」みたいな感じで書かれてたんですよ。
でも、私の周囲では誰もそんな呼び方をしていないのです。

ははぁ、これは京大生の中での呼び方なのだな、と当時の私は思いました。
(清涼院流水は京都大学在学中にデビューしており、京都の出身ではない)

その頃、清涼院流水の他にも、京大出身の作家が書いた小説(講談社の本格ミステリの系統)をいろいろ読んでました。綾辻行人とか、麻耶雄嵩とか。
大人になってから、同じく京大出身の(でもミステリではない小説を書く)森見登美彦も読むようになった。

わりかし若い世代で、主に京大出身(たまに立命館出身の西尾維新とかもいるけど)で、学生の頃にデビューしてて、京都を舞台に小説を書いている人たち(今考えたら全員男性だった)は、なぜか高い確率で、鴨川の三角州を「鴨川デルタ」と書いていた。

だから、その後もずっと私は「京大生はあれを鴨川デルタと呼んでるんやな」と思ってました。
だって私の周りにいる地元民は、誰もそんな呼び方してなかったもん。

実際のところはわからない。私は京大生じゃなかったから。

私の住む地域から離れたところでは、鴨川デルタが昔ながらの呼び方なのかもしれない。
同じ京都市内であっても、そういうことあるんですよ。相国寺(しょうこくじ)を「そうこくじ」と呼ぶ地域があったりね。

しかし。
有名な人が「鴨川デルタ」と書き残して、全国に流通すれば、それが人口に膾炙して多数派となっていくのが世の常。

ネットでは「鴨川デルタ」という呼び方を、よく見かける気がします。
うーん、そりゃそうなるだろうなぁ…三角州よりもデルタの方が、響きはいいもんな…。

他にもいろいろ

調べてみたところ、それ以外にも呼び方があるようです。

  • 鴨川三角州
  • 鴨川デルタ
  • 出町三角州
  • 出町デルタ

どうやら正式名称は「鴨川公園」らしいですよ。
あと、Wikipediaに小さく「地理学でいう三角州には該当しない」って書いてあった…。

余談:鴨川の行き着く先と京都の水道水

鴨川は南下していったのち、右京区や南区といった京都市の西側を流れてきた桂川と合流します。その後は桂川になる。
桂川は京都の南を流れていき、やがて淀川になります。
そう、大阪を流れる、あの川です。

「京都の人間が使い終わった水を、大阪が使っている。だから大阪の水は汚い」みたいなことを、たまに京都の人間が言うんですけど、京都が川の上流になっちゃってるんだから、どうしようもない。

ちなみに、京都の水がおいしいのかと言うと決してそうではない。

京都の上水道の多くは、明治時代に人力で築き上げられた疎水(そすい)を通じて、滋賀の琵琶湖から水を引っ張ってきている。水の移動距離が長いもんだから汚染も多い。そのために浄水場でいろいろ処理しているらしい。
私の親は「水道水がいつもより塩素くさいなーと思ったら、琵琶湖の水位が下がっている証拠や」などと言ってました…。ホンマかい。

大学時代、京都でひとり暮らしをしていた名古屋出身の人たちが、口をそろえて、
「京都の水はくさい。本音を言えば、ミネラルウォーターでお風呂のお湯を沸かしたいくらいだ」
と言っていたことを、今も覚えています。
名古屋の方が都会なのに、水はそっちの方がきれいだなんて…!