谷山浩子 ソロライブツアー2004年 京都、10年前のライブレポを発掘

私が初めて谷山浩子のライブに行ったのは、学生の頃でした。
実は、その時も自分のサイトを持っていた(懐かしのYahoo!Geocitiesだった)んですが、そこに書いたライブレポのログが今もPCに残っておりまして。

せっかくなので掘り起こしてみるよー。

ちょうど10年前の、京都アートコンプレックス1928でのライブです。
特に断りがない限り、レポの中で発言しているのは浩子さんだと思って読んで下さい。

文体が今と少々ちがうけど、いってみよー。

当時のライブレポ

2004年2月28日。
ライブ行きました。初ライブ。
谷山浩子本人のサイトで曲目とかアンケート結果とか発表されるまで、ライブレポを書くのは控えようと思ってたんですが。
…待ちきれへんので書いちゃいます。
曲順などは、記憶に頼ってるんでまちがってる可能性あります。

アートコンプレックス1928には行ったことがなかったので、少々道がわからなくて大変でした。
どう考えてもここにあるんやけど、アートコンプレックスなんて名前はどこにも書いてへんなぁ、なんか変に人だかりがあって探しにくいなぁと思いつつ、あるはずの場所をいったん通りすぎてしまった。
で、もっぺんぐるっと回って戻ってきて、通りすぎたあたりの教会の前で若い守衛さん(茶髪だった)に尋ねてみた。
守衛さんは「知らないけど、でもあそこの建物からよく音楽が聞こえてくるんで、あそこかもしれません」と教えてくれた。

守衛さん、正解。
まさにその建物の前に人だかりがあって探しにくい状態やったんやけど、よく見ると人だかりの中心にいる何人かはクリップボードを持っている。
(注:クリップボードは谷山ライブの必須アイテムともいえる)

さらによく見ると、クリップボードには「チケット売って下さい」「原価で買います」と書いた紙がはさんである。
…アートコンプレックス、ここか?

人だかりの中に分け入って、クリップボードをかかげている年齢不詳のお兄さん(20代後半〜30代とみた)に声をかけてみる。
「すいませーん、谷山浩子のライブって、ここですか?」
「そーですよー」
…やはりそうだった。

お兄さんは「チケット、よかったらゆずってくれませんか」と言った。
「ごめんなさい、自分の分しかないんです」と断った。
お兄さん、ちゃんと京都の翌日の神戸ライブのチケットは手に入れたらしいのだが、京都ライブも見たいのでチケットを求めているのだという。そういえば京都ライブのチケットは売り切れるのが早かった。
東京から来たというそのお兄さんに「頑張って下さい」と手をふって、私はさっさと会場へ。
細い階段をぐるぐる上って、チケット見せて、ホチキスでとめたアンケートを手渡されて、いざ。

今回ゲットした席は1階13列目。1階最後尾だった。
開演を待つ間、谷山ライブと切っても切り離せないアンケートをチェック。
そう、クリップボードはアンケートを書くために必要なのだ。私も筆記具と下敷きを持参。
(初ライブとはいえ、このへんのライブ事情はしっかり谷山のサイトで学習してきた)

1枚目のアンケートは谷山手書きのもの。設問なし。このアンケートに書いた内容が、選ばれて谷山のサイトに載ったりする。
2枚目のアンケートは調査用でワープロ書き。設問だらけ。年齢職業とか聞かれる奴。こっちはライブ前にさっさと記入。

しかしだね、周りを見渡すと年齢不詳の、でも30代と思われる、地味でいまいち垢抜けへん黒髪の人たちが多いねん。
それもそのはず、この人たちは谷山がもっと若い頃からファンなのだ。ていうか谷山はフォークなのでファンもそのへんの年齢の人が多いと思われる。
…そういう人たちが集うフォークのこじんまりしたライブで、調査用アンケートの「谷山浩子以外に購入するCDのアーティストを3つお答え下さい」ていう設問に、私はこう書いた。

  • Cocco
  • Scudelia Electro
  • Plastic Tree

…浮いてる…なんかこのロックっぽいアルファベットが浮いてる…。
(果たして同じアーティスト名を書いた人がいただろうか)

開演

さてさて、前の席に座高の高く頭の大きいお兄さんが座っていたので前がよく見えんかったんやけど、突如拍手が起こった。
どうやら谷山が来たらしい、と思って拍手しつつ探していると、お兄さんの頭が邪魔にならん場所に谷山が出てきた。
茶髪で、珍しく髪が肩あたりまでしかない(前はもっと長かった)
ナマ谷山ー!

谷山はさっそくピアノの前に座って(ステージにはピアノが1台あるだけ)、弾き始めた。
こうして見るとジャケットで見るよりも年齢がバレそうな気がする。なんせこの人、いい意味で年齢不詳の筆頭みたいなもんでさ。
えぇ、とても40代には見えません。けどステージのライトの中で見ると、さすがに多少は年齢に近づいて見えた。

そして驚いたことに、1曲目は「花時計」だった。
うわあーん!
小学校ん時、1番好きやった歌やねん、これ。
ピアノ弾きながら谷山が歌う。お兄さんの頭と、そのとなりに座ってるお兄さんの彼女の頭の間から谷山の姿を見つめる私。

1曲目が終わってからピアノの前に立ち、マイクを手にとっておじぎをして、しゃべり始める谷山。
京都の前は九州でライブをしていたので暖かかったこと、でも京都に来たらやっぱり寒いですね京都、てなことを話した流れで彼女は言った。
「鼻風邪をひいてしまって、鼻がつまってるんです。それで1曲目は『花時計』にしました」

…駄洒落!
谷山が駄洒落てる!

さらにソロライブの良さや今日のコンセプトについて谷山が語る。
ソロなのでライブの曲目も当日のリハん時に決められるから楽なのだとか。うーん、でも次はAQさん連れてきてほしいです。ファンとしては。

そして、
「京都ということで、京都のイメージって何だろうっていろいろ考えてみたんですけど、修学旅行かなと思って」
「今回は旅のイメージで4曲選んでみました」

そうか、旅のイメージか。(京都市民には縁のない感覚)
その時点でファンはそれぞれ、心の中で「旅といえば…あれだな、あの歌」とか想像し始める。
「旅といっても心の旅っていう歌ばかりなんですけど」

私の予測は3曲ほど当たりました。

2曲目、「風のたてがみ」。
3曲目、「休暇旅行」。
4曲目、「青色帽子ツアー」。
5曲目、「岸を離れる日」。

…5曲目だけは当たらんかった。うーむ。

リクエストコーナー

さて次は? と思っていたら、それは突然やって来た。
(初ライブの私にとって突然だっただけかもしれないが)

「それでは、ここで皆さんからのリクエストを歌います」
…出た! リクエストコーナー!

谷山のすごい点ってのはさ、オールリクエストなんていうライブもしちゃうことよ。
20年以上も活動続けててレパートリーも半端じゃないのに、ちゃんと自分の作った歌を覚えてて、ファンのリクエストを受けて立つ、このプロ意識。

残念ながら今回はオールリクエストじゃないので、リクエストできるのは4曲だけ。さあ、リクエストできる幸運なファンは誰だ?

「九州とかでのライブでは、『…はい』って手を挙げる人が数人いた程度だったから楽だったけど、京都でそれをやると収拾がつかなくなっちゃうので、何か条件を出します」

常識クイズとかじゃんけんとかでリクエストできる人を絞りこんでいくの。
しかしこの条件、前回とかぶってはいけないので頭を悩ませるもの。積極的に発言するファンと「あー、そんな条件もあったか」と言い合いながら考える。

「じゃあ、久しぶりに誕生日でいきましょう。でも『リクエストしたくない』とか『人前で話すのが苦手』とかいう人は無理に言う必要はありませんから、もし自分が条件にあてはまっていても、知らん顔していて下さいね。今日が誕生日だという人、いませんか?」
2人。
2人からリクエストを受けて、ピアノのそばに置いた分厚いクリアファイルから楽譜を探し出す谷山。
楽譜といってもどうやら1曲1枚くらいの圧縮版?らしい。楽譜をピアノの譜面台に並べる。

「リクエストは4曲なんで、あとふたりですね。じゃあ名字が1番『きょうと』に近い人、にしましょう」。
(たとえばキヨハラさんていう名字はかなり「きょうと」に近い)

すると手が上がった。
私の席の斜め前あたりにいる、おっちゃん。キヨハラよりもさらに「きょうと」に近い名字だった(Kさんとしておこう)
「あぁ、相当近いですねぇー」

しかしKさんのリクエストを聞くと、谷山は「うっ」と声をもらして、やがてこう言った。
「すいません、Kさんのリクエストした歌は、多分、(といいつつ楽譜をめくる)出ます。今回はちょっと、他の人にゆずっていただいてかまいませんか」
…どうやらKさんのリクエストは最初から演目に入っていた模様。
「最後までいて下さいね」と念を押すあたり、どうやらラストの曲らしい。

で、仕切り直してKさんの次に名字が「きょうと」に近いふたりからリクエスト。

リクエストがめったにない「かくれんぼするエコー」については、
「嫌われてるのかなぁって思ってたんですよ。でもこれ難しいんだよねぇ」
と、弾きたいんだか弾きたくないんだかわからない感想を言いつつ。

「DESERT MOON」については、
「これをリクエストしてくれるのって幸せな人が多いんですよね。今、幸せですか? そうですか」
とリクエスト客に尋ねたり。

「うさぎ」については、作った当時はストーカーなんて言葉はなかったけど、今思えばちょっとストーカーっぽいだろうかこの歌、なんて話したり(そうかなぁ)
「ストーカー」という題の洋画が好きなんやけど人に向かって「『ストーカー』が好きです」なんて言いにくいよね、なんて話したり。

「風の子供」(私が知らん初期の歌)については、実はこれ作ったのって20歳あたりですと話したり。
そんなこんなで演奏。

6曲目、「かくれんぼするエコー」。
7曲目、「うさぎ」。
8曲目、「DESERT MOON」。
9曲目、「風の子供」。

休憩ないけど第2部

リクエスト曲演奏後、「さて、ここから第2部です。ゴージャスに2部構成です」と宣言して一同、笑い。
いよいよ最新アルバム『宇宙の子供』からの選曲。

このアルバムはオリジナルとしては30枚目にあたるらしいのだが、なんつーかこう、波が来ないと作れへん感じのアルバムで、今までで1番の出来なんじゃないかという。

私ね、谷山のメルヘンっぽさというか変なとこが好きやったわけ。だからこのアルバムは変な歌が少ないから最初は不満やってん。
けど谷山にとっては、変な歌ってのはスランプの時でも作れるし、いってみりゃ得意分野やけど、そうじゃない歌ってのは作りにくいものらしくて。
その作りにくい歌が、波に乗っていっぱい作れたのが今回のアルバムなのだと。
なるほど、だから今までで1番の出来なんやな、と納得。
(でもやっぱり変な歌も作ってほしいなー…)

閑話休題。
今までのツアー会場では、なるべくアルバムが売れるようにと、万人受けする歌を選んでたけど、「京都では安心して自分の趣味に走ります」という。
…やっぱりキたよ、変な歌(笑)。

このアルバムで、趣味に走った変な歌といえば「意味なしアリス」しかない!
先陣を切って歌われたのは、やはりアリスでした。しかし最後は変な歌のフォローをすべく、「きみはたんぽぽ」でシメ。

10曲目、「意味なしアリス」。
11曲目、「卵」。
12曲目、「きみはたんぽぽ」。

弾き終えてから立ってトークを再開した谷山、突然こう言う。
「恋の歌とか、恋をテーマにしたドラマだとか映画だとか小説だとか、すごい多いんですけど。でも恋ってのは言ってしまえば脳内ホルモンのせいなんですよね。恋の最中にはそれがいっぱい分泌されて…シャブ中?」

恋を扱ったエンターテインメントが多いのは、恋しすぎてシャブ中になりすぎないようにするためなんだろうか云々、という話をして、そこで彼女は我に返り、楽譜をめくった。
「…どうしよう、この次は恋の歌なのに…どうやって繋げようかな…」

脳内ホルモンの話をしたあとで、どうやって恋のドラマを歌うのか。
腕を組んでしばし沈黙。わざとらしくあさっての方向を見て、谷山はフォローのための、そらぞらしい言葉を発した。
「…でも、こんな風に何でもかんでも物質に還元してしまっては、いけないと思うんですよ」

…く、苦しいぞ。でも頑張れ。
「恋って切ないものですよね。というわけで切ない恋の歌です」

よし、繋がった!(ちょっと無理がありましたよお姉さん)
「切ない恋の歌で、最初が『ほ』で始まるものを選んでみました」という選曲。
実際は「ほ」と「ぼ」と「ぽ」だった。
(残念ながら「ポンピィ.クラウン〜」は、私の知らん歌…くそぅ)

13曲目、「ボクハ・キミガ・スキ」。
14曲目、「ポンピィ.クラウンの片想い」。
15曲目、「星より遠い」。

さて、いよいよライブも終盤となってまいりました。
というわけで「帰る」ことをテーマにした最後の1曲。
さっきのKさんのリクエスト曲かと思いきや、もっと淋しく暗い歌だった。

16曲目、「ひとりでお帰り」。

アンコール

弾き終えておじぎをして谷山は去る。
しかし拍手はやまず、アンコールを要求。
私が今まで行ったことのある他のコンサートよりも、テンポの速い拍手でした。パン、パン、パンじゃなくてパンパンパンパンって感じ。

しばらくして谷山登場。
さてリクエスト曲は何にしましょう、そうだ名字が「きょうと」に近い人にしましょう、とさっきと同じことを、さも初めて言ったかのようにくり返す。

Kさんの手が「はいはーい!」って感じで勢いよく上がる。
もっぺんKさんの名字を聞いて、彼女は「あぁ、相当近いですねぇー」と初めて聞いたみたいに同じ台詞をくり返す。

リクエストを聞かれたKさん、ウケを狙ってこう言った。
「さっきとちがう曲をお願いしていいですか?」

思わず谷山、「えぇっ」とうろたえる。

しかし結局、最初にリクエストしたものをもう1度Kさんがリクエスト。
今度は明るく帰るテーマの歌。
「皆さんがちゃんと無事で帰れるように、たとえ何かがあっても魂だけは帰れるように(笑)」

歌詞の中に「たとえ魂だけになっても」という部分があるから、それに引っかけた発言やねんな。
アンコールで17曲目、「ぼくは帰る きっと帰る」。

ダブルアンコール

そして弾き終えた谷山は再び去った。しかし拍手はやまない。
私は早々にあきらめてアンケートを書き始めていたのだが、周りの人は相当まだアンコールを求めて拍手し続けていた。

そしてとうとう谷山をまたまた呼び出してしまった。
谷山本人も予測していなかった2度目のアンコール。
「どうしよう、何も考えてなかったな」

それじゃあ何か1曲、全員で歌いましょうということになった。
さて、全員で歌えるのって、どの歌だろう。

「ファンクラブの集まりでは、全員で『王国』を歌うんですけどねぇ…」
マジで?!
(「王国」は、ゴシックロマン風味のアルバム『歪んだ王国』のトップに収録されている人気曲。どう考えても全員合唱の似合う明るい歌じゃない)

そうこうするうちに、座っているファンの間から次々に曲名が飛び出す。
(全員おじさんの声だった)

で、誰かが「カントリーガール!」と叫んだ。
「あぁ、それなら全員歌えますよねぇ」

結局「カントリーガール」と「鳥は鳥に」の多数決となり、前者が選ばれた。
「歌えない人とか歌いたくない人はは無理に歌わなくてもいいですし、となりの人が歌詞をまちがえても気にしないであげて下さい」。

再アンコールで18曲目、「カントリーガール」。

…しかし全員で歌っているうちに拍手まで入り始めた。アンコールの時と同じテンポの速い奴。

1番の途中で谷山が突然、弾くのをやめて、
「拍手ありか、なしか、どっちかにしましょう」
と多数決をとり、拍手なしになった。

「皆さん、盛り上がらない方が好きなんですねー」
と言いつつ再び最初から弾き始める。

…もちろん私も歌ったよ。
4番までまちがえずに歌えた…あぁこうしてファンは信者になっていくねんな…もう引き返せへんのやな…なんて思いながら。

終演

さて、終わってからアンケート記入。
1枚びっしり書いたけど、さすがに裏までは書けへんかった。時間もなかったし、静かに興奮しててよく思い出せんくて。

で、出口に近づいてったら、そこでグッズ販売しててさ。
…買っちゃったよ。
『そっくりハウス イラストソングブック』って奴。
アルバム「そっくりハウス」の歌の歌詞とイラストが載ってて、さらに楽譜も載ってるっていう絵本。買っちゃったー。

そんなこんなで楽しかったです初ライブ。
アンケート結果が谷山のサイトに出たら、そのページにリンク貼って紹介したいと思います。

読み返してみてのツッコミや解説など

当時は、クラスメイトを名字で呼ぶような感覚で、浩子さんのことを「谷山」と呼んでました。
友達とも「谷山の歌がさー」みたいな会話をしていた。

そして浩子さんをアルバムのジャケットでしか見たことがなかったので、髪が肩までの長さしかないことに、ちょっとびっくりした。

私もこの頃は20歳だったので、何の気負いもなかったのに、曲順を全部覚えるだけの記憶力がある。
すごいよねー。当時はしょぼいカメラのガラケーしか持ってなかったからセットリストも撮ってなかったし、というよりもセットリストの存在自体を知らなかったと思う。

そして、ソロライブツアーは本当にソロライブ(AQさんとか来ない)というのをわかってなかった。
というよりも、はるばる東京の猫森集会まで行く勇気も金もなかったので、AQさんと一緒に京都ライブしてくれないかなーって思ってた。

当時は谷山浩子のジャンルを「フォーク」だと思っていたので、自分が浮いているように感じてたんですが、谷山浩子ファンの中には痛い系やヴィジュアル系が好きな人もけっこう存在するということを知らなかったんですよね。
(どっちにしろ、その日の私はエスニックな服を着ていたので浮いてた気もするけど)

また、浩子さんが歌詞カードを見て歌ってることも知らなかったので、リクエストコーナーに出てきた楽譜が1枚だけだということに衝撃を受けている。
そりゃ普通は驚くよね。まさか曲をほとんど覚えているとは…。

あと、今は変な歌も、変じゃない歌も好きです\(^o^)/

というわけで、懐かしいライブレポでした。