Kindle書評『母と娘はなぜこじれるのか』と『働かないアリに意義がある』

実は、しばらく前から、きなこ豆乳にハマっておりまして。

ソヤファームから出てるの。
紀文の豆乳の方がいろんなお店に置いてあって、ソヤファームよりちょっと安いんだけど、ソヤファームのきなこ豆乳が断然おいしくてな…。
(関係ないけど、なぜかGoogle日本語入力で紀文が漢字変換されなくて面倒くさい)

毎回、安いスーパーでまとめ買いしてるんですが、他にも愛飲者が大勢いるらしく、しばしば完売していて涙ぐむハメに。
送料が気になってAmazonで買うのをためらってるんだけど、あきらめて箱買いした方がえぇかもしれんな…。

ちなみに、きなこ豆乳を切らした時は、紀文の黒蜜入り抹茶豆乳を飲んでます。

「あなたがスーパーに行くと、必ず冷蔵庫に豆乳が増えてる」とは彼氏の談。

子どもの頃は3食すべてで牛乳を飲むほどの牛乳ラバーだったんですけど、20歳をすぎたあたりからお腹を壊すようになりまして、最近ではホットミルクでないと飲めません。
牛乳の方が、豆乳よりもたくさんカルシウムとれるって、わかってるんだけど…わかってるんだけど、きなこ豆乳の方がおいしいんだよ!

Twitterで、きなこ豆乳への依存状態をあまりにも語りすぎたためか、試しに買って飲んでみるフォロワーさん続出。
近所のスーパーが、もっと大量に発注してくれることを切に願っています。

そんなこんなで、抹茶豆乳を飲みながらKindle本の感想いってみよー。
(きなこ豆乳は売り切れてました)

斎藤環(対談集)『母と娘はなぜこじれるのか』


精神科医の斎藤環が、母娘のこじれについて、5人の女性と個別に対談した内容をまとめた本です。
月替わりセールで見つけて、ぽちっとな。

対談相手は、以下の通り。

  • 田房永子…漫画家。『母がしんどい』著者。
  • 角田光代…作家。『対岸の彼女』『八日目の蝉』著者。
  • 萩尾望都…漫画家。『残酷な神が支配する』『バルバラ異界』著者。両親の抑圧や虐待など家族関係の問題を描いた作品が多い。ご両親との間にあまたの確執があったことはファンの間で周知の事実。
  • 信田さよ子…カウンセラー。『共依存』『母が重くてたまらない』著者。
  • 水無田気流(みなした・きりう)…詩人、社会学者。『黒山もこもこ、抜けたら荒野』著者。

表紙のイラストは、萩尾望都。

こじれる母娘の背景には、妻と向き合わない夫や、母に対する幻想がある

読む前から「これは絶対に面白い。つらい話もあるだろうけど、自分が気づいてなかったものに気づいたりできる本だろう」と思ってたんですが、その通りでした。

ハイライトをつけまくったんですが、その中からちょっとだけご紹介。

良妻賢母幻想は近代の産物なので、社会が押し付けた役割ですよ。母性本能が存在しないということは歴史的に証明されているけれど、その知識はあんまりみんな知りたくないから共有されない。やっぱりみんな、本来の望ましい姿があると信じたいわけですよね。

母性本能というものがフィクションだった、そんなもの最初から存在しなかったということが、研究者の中では常識になっているのに、一般の人々の間ではなかなか浸透していない。

いびつな母娘関係のラスボスは、男性の怠惰である

こじれている母娘の背景には、夫婦関係のいびつさ、「俺は稼いでるから役目を果たしてる」という態度をとって、妻と向き合わない夫が存在している。
しかし、日本ではこれが割と当たり前の風景になってしまっている、と。

私は、女性がみんな「母性」を真に受けてしまうのは、自分をちゃんと見ないところからも発生していると思います。男性の心理やプライドについてばかり勉強して気を遣って、自分の体の仕組みや気持ちや欲望はないことにする。自分の欲望にちゃんと向き合っていないと、子どもの人生を借りて自分の欲望を満たそうとしてしまうような気がします。

これ、結婚生活や育児だけじゃなくて、他のことに対しても同じことが言えるよなぁ。
自分が何をしたいのか、わかってないから、他人の人生を生きようとする。
自分ができないことを他人に押しつける。

日本の家庭一般に言えることは、母子関係が強力で父親が疎外されている。そういった疎外感というのも多少は寄与していると思います。その疎外の構図というのが日本と韓国では共通しているわけですよね。あともう一点共通しているのはセックスレスですよね。日韓にほぼ限定されるらしいです。父親疎外の構図というのは、セックスレス的なものと深く結びついていると思うんですよね。

以前から、日本と韓国は、嫌なところが似てるよなぁと思ってたんですよ。労働時間の長さとか、過労死とか、自殺率の高さとか、そういうところ。
しかし、そんなところまで似ていたとは…。

日本の男性は、トラウマを抱えると、女性に母性や甘え、癒しを過剰に要求するようにも見えます。男女のパートナーシップがなかなか構築できない。放っておけば、親子関係、特に母子関係に返ってしまう。

しかし、働く女性や結婚しない女性が増えた昨今では、女性の方でも癒しを求めているので、お互いが相手に要求するようになり…みたいな話を、10年前にどこかの本で読んだ気がする。

アメリカのある育児書では、子どもが生まれたら、まず何をするべきか? まず子どもを横に置いて、夫としっかり話をしましょう、と書いてあるんですね。
(中略)
その次に、子どもには、あなたはかけがえのない家族の一員だけれども、この家の王様ではないことを徹底的に教えなさい、と書いてあるんですね。

これ、けっこう大事な視点なんじゃなかろうか。

近代的な憲法を導入して家制度を定着させるにあたり、家父長制みたいなものを何とか人工的に作っていこうとするなかで幼児虐待などが生まれて、文芸に登場してくる

明治三〇年以降というのが、すごくメルクマールだと思うんです。

良妻賢母とロリコン言説と少女趣味と、それから家父長制の強化と幼児虐待というのは、同時期に発生している

これ、かなり興味深い話だったので、もっと詳しく読みたい。新書サイズにまとめて出版されたりしないかしら。それとも、どっかから本が出てたりするかな。

外部化するといいと思うんですよ。一子相伝的に祖母から母へ、母から娘へ的な伝達回路が強ければ強いほど、こじれやすいという過程があるので。

家事などのような、いわゆる「花嫁スキル、母親スキル」みたいなものや、ジェンダー教育などは、閉鎖的な家庭内で母から娘へと教えられるよりも、スキルとして外部化した形で教えられた方が、母娘はこじれないのではないか、という指摘が、最後の方にありました。

水無田気流の母は、家事全般を、愛情やら女子力などといったふわふわしたものではなく、純粋にスキルとしてとらえていたらしい。
(花嫁学校で料理裁縫を学んだ、いわゆる外部化された家事スキルを身につけた人だった。そして、料理もうまいし、既製服よりも安くじょうずに服をつくれるハイパーな人だったという)

しかも、星一徹みたいな体育会系のお母さんだったので、他の対談者と比べると、母とのしんどいあれこれとか、感情のもつれとか、確執とか、そういう話がほとんど出てこない。お父さんみたいなのね。すごかった。

(対談では、こじれ話のかわりに、自分自身が母となった水無田気流自身の、育児に関するさまざまな疑問や問題意識が語られている。母親の学歴が低いほど、育児を援助してくれる公的サービスにたどりつけなかったり、存在を知っていても頼れなかったりするとか。ヤンキー社会は裏切り者を徹底的に村八分にするので、そこから追い出されたシングルマザーは身内の助けが得られないとか)

長谷川英祐『働かないアリに意義がある』


日経ビジネスでインタビューを見て以来、Kindle化を待っていた1冊。角川セールでぽちっとな。

働くペースは個体それぞれ

この本もハイライトつけまくりました。

アリやハチといった社会性昆虫を研究している著者が、一般向けに書いた本なのですが、すべての働きアリが常に働いているわけではない、という話を最初にしています。
ただし、それは「働かずに怠けている」のではなく、自分よりもチャキチャキ動く個体がどんどん仕事を片づけていってしまうので、「働きたくても働けない」というのが正しいのだとか。

大きくてゆったり動くから仕事にありつけない、それもまた個性と見なすわけです。

働いてばかりいるワーカーは早く死んでしまう

みんな働く意欲はもっており、状況が整えば立派に働くことができます。それでもなお、全員がいっせいに働いてしまうことのないシステムを用意する。言い換えれば、規格外のメンバーをたくさん抱え込む効率の低いシステムをあえて採用していることになります。

その証拠に、働いているアリを巣から排除してみると、今度は働いていなかったアリが働き始めるそうです。

他にも、いろんな種類のアリやハチで、実に面白いさまざまな事例が観察されています。
人に話したくなるネタがいっぱい。

事実は小説より奇なりというやつで、人間が思いつくたいていの現象は生物の世界に存在します。

たとえば、女王アリがいなくて、働きアリだけで構成されているアミメアリ。彼らは、自分の娘を交尾せずに産んでいる。

たとえば、娘を産む時はメス(つまり自分)の遺伝子だけを遺し、息子を産む時だけ、自分が交尾したオスの遺伝子を遺すというコカミアリとウメマツアリ。
(つまり同じ女王から産まれていても、娘と息子は遺伝子的に他人。娘は母親のクローン)

たとえば、巣のメンバー全員が完全に同じクローンで構成されているハキリアリの一種。

ただ、やはり巣の個体すべてが同じクローンというのは、遺伝的に多様性がないため、環境の変化(病気など)に弱かったり、それぞれの適性にあった作業を分担したりしづらいらしく、アリの世界でもクローン社会は少数派なのだそうです。