Kindle書評『信念 東浦奈良男 一万日連続登山への挑戦』と『男性論 ECCE HOMO』

8月も終わりということで、AmazonからKDP本の印税が振りこまれてました。
恐らく2ヶ月前の売上分なんですが、過去最高額を達成しました。まじか?!と目を疑った。
お買い上げ下さった皆様、ありがとうございまっす<(_ _)>

見知らぬ素人の書いた小説は、なかなか買いづらい。
それに、小説を読まない人はけっこう大勢いる。漫画は読めるけど小説は駄目とか、ダイエットや料理の本は読むけど小説は読まないとか、ノンフィクションしか興味ないとか、そういう人は想像以上に多い。

でも、実用書のジャンルだと、まだ買ってもらいやすい印象です。
たとえば料理とか、カメラがうまくなりたいとか、ロードバイク初心者なので詳しくなりたいとか、気軽に天体観測してみたいとか、英語がうまくなりたいとか、掃除のヒントや片づけのモチベーションを与えてほしいとか。

私のKDP本の売上は、9割が捨てたい病エッセイ『モノを捨てよ、散歩に出よう』なので、なるほどなー、こういう内容の方が買いやすいんだなーなんて思いました。

今回は、ノンフィクションとエッセイの感想いってみよー。

吉田智彦『信念 東浦奈良男 一万日連続登山への挑戦』


出版社のセールで安くなってた時に、ぽちった1冊。

自分がこうと決めたら曲げない、信念の人(という安易な表現がはばかられる)

定年退職後から近くの山や富士山などに毎日登り続け、1万日の連続記録を立てるべく挑戦した東浦奈良男さんへの取材と、奈良男さんがつけていた膨大な日記をもとに出版された本。

登るといっても、普通の登山ルートじゃないんですよ。自分でいろんなルートを開拓していく。
無名の山にもたくさん登っていて、地図を見ても登山ルートが一切載ってなかったりするんだけど、イバラと格闘し、岩をどけて道なき道を拓きながら、徹底的にぐるぐる登り続けてはる。

しかも三重に住んではるので、富士山に登る時は天気予報をチェックしつつ、前日から準備して、登山を終えたらとんぼ返り(でないと連続登山の記録が途絶えるから)

1万日って書くと「すげー」としか思わないんですけど、1年って365日なんですよ。1万日って27年ちょっとかかるんですよ。
それを、定年退職後に始めるという。

奈良男さんの半生や、奥さんや子どもたちの話、登山に目覚めたきっかけなど、いろんな話が盛りこまれてて面白いです。
ご先祖様からいただいた体を粗末にするまい、ご先祖様や両親の供養になることをしようという考え方に、あぁ、こういう人がまだ残っていたのだなぁと思う。というか、こんな高齢の世代でないと残ってないんだなぁ、と。

医者嫌いの奈良男さんは薬も飲まないし、交通事故に遭おうが山で遭難しかかろうが病院に行こうとしない。その分、自分の自然治癒力で治すために、日頃から独自の判断基準を持っていて、食べるものにもこだわっている。

読み終わった時、奈良男さんにはもう会えないのだという喪失感がありました。

ヤマザキマリ『男性論 ECCE HOMO』


日替わりセールでぽちった1冊。

自己陶酔するほど自分大好きで、他人を気遣うことなくお互い主張しまくる、それがイタリア人

ヤマザキマリが魅力的だと思った古今東西の男性(古代ローマから現代まで)を、古代ローマ的な寛容性やパッション、「メキメキ・ワキワキ感」などを基準に紹介していきます。
古代ローマやイタリアの人だけじゃなくて、スティーブ・ジョブズや水木しげるも取り上げられてる。

彼女が他のインタビューなどでも語っている、前夫とのめちゃくちゃな結婚生活や、現在の夫ベッピーノとの出会い、お互いの夫婦観や労働観のちがいから起こる数々のあつれき、日本の漫画家が置かれている環境への疑問、日本の女性が男性に媚びざるをえない現状についてなど、男性論以外の話も出てきます。

「置かれた場所で咲かない」という言葉が、個人的にツボでした。
他人に与えられた場所で無理して適応しようとしなくていい。気に食わないなら、別の居場所を探してしまえ!と。

個人的に1番笑ったのは、メスよりも無謀でお馬鹿なオスの特徴を端的に表している、オス猫のエピソード。

わたしがかつて飼っていた猫は、雄猫でしたが、通りを隔てた向かいにかわいい雌猫がやってきたとき、後先考えず、そこが高層階ということも忘れて飛んで行って、落ちて死んでしまいました。

死んじゃったのかよ!

余談:最近ぽちった本

久々に聖書を読みたくなったので、旧約・新約の両方が一緒になってる聖書を探してぽちりました。口語訳を選んだ。

何度か書いてますが、小学生の頃に父から、
「世界で1番信者が多いのはキリスト教だ。今後、どんどん世界中の人と接する機会が増えるだろうから、キリスト教のことを知っておきなさい」
と言われて、犬養道子の『旧約聖書物語』『新約聖書物語』を愛読したので、聖書の内容はだいたい知っているのです。
でも、だいぶ忘れちゃったし、犬養道子の順序と解説で読んでるから、ちゃんと聖書の形で読んでみたいと思ってたの。

クリスチャンじゃなくても、聖書は読んでおいた方がいいですよ。
特に学生さんは読むべきです。西洋美術も文学も、元ネタは聖書かギリシャ神話ですから。教養の基礎の基礎だから。
そういう意味でも、頭がやわらかい子どもの頃に読む機会を与えてくれた父には感謝してます。

特に旧約聖書のパートは長いから、けっこう楽しめそう。
(たまに「旧訳」「新訳」とまちがえてる人がいるけど、旧約聖書、新約聖書の「約」というのは、神様との契約という意味だって覚えると、まちがえないよ!)

ただ、私の好きなユディト記を収録したバージョンが、なかなか見つからないんだよなぁ…旧約聖書の外伝なので、入ってないことが多いんですよね…。
エステル記も好きなんですが、あれはかなり重要なパートなので(ユダヤ教ではエステル記に関連するお祭りがあるらしい)、どのバージョンの旧約聖書にも収録されてる。

ユディト記もエステル記も、聖書の中では珍しく、女性の名前がタイトルについているのです。女性が活躍するお話なんですよ。
敵軍に乗りこんで敵将を酔わせて首をはねる美貌の未亡人ユディト。異教徒の王に嫁いだのち、ヘブライ人を滅ぼそうとする奸臣の企みを暴く王妃エステル。
あれか…ユディトの方がけっこう危ない橋を渡ってて、美貌で敵将を籠絡してるから、道徳的にいまいちだと判断されて外伝になったのか…(門外漢の勘ぐり)

聖書のKindle版も、いろんなバージョンが出てますね。有名な新共同訳は、版権の関係でKindle化されていないようですが。

カスタマーレビューを見てると、
「Kidle版が出たことで、旅先にも持っていけるようになりました」
「いつでも持ち歩けるので、助かっています」
「紙の聖書は重いので、普段使いはこっちです」
というクリスチャンの方々の熱い声が集まっていて、なんとなくうれしい。
電子化のメリットって、こういうところですよねぇ。