Kindle書評『青い星まで飛んでいけ』と『運命の女の子』その他

今月はKindle本を買いすぎて、またしても「読みすぎて気持ち悪いーヴェエエー」状態になりました。
特にお腹を壊して寝込んでた時と、夏季休暇の時に買いすぎた…。
買って後悔した漫画も正直いろいろある。

そんなわけで、積ん読を消化して、端末から本を消していくのが気持ちいい。
本が減って、視界がクリアになる感じ。
まぁ、クラウド側をのぞいてみれば、じゃんじゃか大量に本が並んでるんですが…。

では、今週の感想いってみよー。

小川一水『青い星まで飛んでいけ』


『天冥の標』でおなじみ小川一水の、SF短編集です。

収録作品は以下の通り。

  • 都市彗星(バラマンディ)のサエ
  • グラスハートが割れないように
  • 静寂(しじま)に満ちていく潮
  • 占職術師(ヴォケイショノロジスト)の希望
  • 守るべき肌
  • 青い星まで飛んでいけ

私が好きな短編は「都市彗星のサエ」、「守るべき肌」、「青い星まで飛んでいけ」。

「都市彗星のサエ」

皆が満足して住んでいる(ように見える)都市彗星を狭苦しく感じている少女と、彼女が偶然見つけた「この都市彗星から本気で出たいと思っている」少年の話。

彼女が感じている閉塞感と、突如発見した「そこから脱出できる非日常」の楽しさ、そして「彼に比べたら、自分には本気が足りないんだ」って気づかされる場面。
すごくリアルで、あぁ、こういうことってあるよなぁ、自分にもこういう部分があるよなぁって感じる。

「守るべき肌」

1番好きな話かもしれない。
物理的な肉体を捨てて、データの存在と化し、自身の膨大なアーカイブを好きなように管理して、不老不死と完璧な感情の制御を手に入れた人類。
そんな未来の世界で、主人公はある日、奇妙な女の子を見つける…。

自分をデータ化したいとか、そう思ってるわけじゃないけど、「こういう徹底した世界もありえるんだなぁ」と思って面白かった。不老不死をこういう形で呈示するのか!と。

「青い星まで飛んでいけ」

人類の末裔を自認する機械エクスの話。
大量の機械群をひとつの個体(それとも種族)としてまとめ、宇宙をさすらいながら、地球外の知的生命体を探し続けるエクス。
他の知的生命体を探してコンタクトするという、かつての人類が設定したそのミッションを恨みながらも、彼は宇宙を飛び、コンタクトをとっては攻撃される年月をすごすのだが…。

やっぱり小川一水のSFって、読みやすいなぁ。
なんだろう、初心者にもとっつきやすくて、「マニアックなこだわりが理解できない奴は去れ」みたいな空気をまったく感じない。
逆に言うと、なんで多くのSFはとっつきにくくて排他的な雰囲気を感じさせてしまうのだろうという話ですよ…。

ヤマシタトモコ『運命の女の子』


ヤマシタトモコが、また1冊Kindle化されたよ!
短編集です。

収録作品は以下の通り。

  • 無敵
  • きみはスター
  • 不呪姫(のろわれずひめ)と檻(おり)の塔

「無敵」

不思議な雰囲気の女子高生と、彼女を取り調べる女性刑事の話。
読み進むにつれて、髪が長くてかすかに微笑んでいる(多分ちょっときれいな)女の子が、いったい何をしでかして取り調べを受けているのか、だんだんわかってくる。

この漫画の中で1番怖い話。

「きみはスター」

高校で成績優秀だった、イケメンのカイくん、美少女の小高さん、地味でそばかすが多い公子ちゃんの3人を、高校時代と現在(社会人)を交錯させてつづった話。

イケメンのカイくんは公子ちゃんを好きだけど、公子ちゃんは彼の告白を断る。
そして学校では、「あのカイくんが、あんなブスを相手にするわけないじゃん、デマでしょ」「しかも公子の方が断るって何それ、逆でしょ」みたいにうわさが流れて、公子ちゃんは悪口を言われてる。

フラレちゃったカイくんが公子ちゃんに言う、
「…ぼくだって きみに劣らないくらい優秀なのに きみはずっと無関心だ …どうすればいい? …きみに勝てばいいの?」
って台詞が、けっこう萌えたんですが、公子ちゃんはそういう熱い台詞や、なりふりかまわないアタックもスルーする。

なんで公子ちゃんがカイくんをふったのか、その理由は最後の方で語られるんだけど。
「星は地に落ちた瞬間に 自分が星だったことに気づく」
という公子ちゃんの台詞が、何度も出てくる。あなたは星だけどその自覚がない、私は最初から星じゃない、と。

ただ、高校時代そういう関係にあった彼らの、その後の展開がかなり気になる感じで、大人になった公子ちゃんは、小高さんと一緒に住んでいる。どうもただの友人同士という雰囲気ではない。
「わたしたち 大学に入ってから いろいろあって… ……すごく親しくなったから」
って小高さんがさらっと説明して流してるけど、私はそこを詳しく聞きたいよ。

「不呪姫と檻の塔」

生まれた時に呪いをかけられることが義務化された未来の世界で、唯一、呪いをかけられずに育った女の子の話。

皆が当然のこととして生まれながらに与えられているものを、自分ひとりが与えられていない。
主人公はそういう理由で浮いてて、しょっちゅう学校で嫌がらせをされてるけど、ある日、呪いをかけられていない人間を必要とする大事件が起きる。

呪いをかけられるのが当たり前で、その呪いを克服することが人生の意味。
克服が困難な呪いであればあるほど、その後の人生は社会的に成功する。大きな器を持った人間ほど、試練として強く厳しい呪いを与えられる。そんな世界。

呪いを克服する過程で家族を亡くして、今の地位に至った女性大臣の、「わたしたちの苦しみから意味を奪わないでッ」という台詞。
あぁ、「これはその後の人生のために意味がある苦しみ」と思うことで、人はなんとか苦しみを乗り越えられるのだなぁとか。
意味がある苦しみだと自分に言い聞かせて、しなくていい苦しみを背負いこんでる人だって、今も大勢いるよなぁとか。
いろいろ考えてしまった。

その他、ぽちった漫画

『宝石の国』3巻がKindle化


舞台は冬へ。仲間たちが冬眠する中、眠れないフォスは…。
ほっそりした線が織りなす独特の世界観と、きれいな絵。

『HUNTER×HUNTER』キメラ=アント編の一部



彼氏が使っている動画視聴サービスで、『HUNTER×HUNTER』のアニメを見ていたら、キメラ=アントの王様とコムギの話に激しく萌えたので、とうとう我慢できずに原作をぽちってしまいました。
今のところ、「総帥様のお名前は、なんとおっしゃられるのですか?」の場面が載っている24巻と、王様の最期が載ってる30巻をぽちってる。
王様が死んだ時は、アニメ見ながら泣いたよ…彼氏が仰天してたよ…。

モノクロ版とカラー版の2種類あるんですが、Kindle廃課金者オフ会に参加した時、
「カラー版は著者が色を塗ってるわけじゃないから、私は買わない。集英社の委託してる別の会社が色をつけてて、これは著者のカラー絵とかなりちがうんじゃ…って感じの配色もたまにある」
という意見を聞いて納得したので、モノクロ版を買いました。安いしね。

残念ながら、戦闘だらけのジャンプ漫画とは気が合わないので、『HUNTER×HUNTER』も最初は全然面白くないやーと思ってすぐに読むのやめちゃったんですよ…アニメもすぐに飽きたし。
王様の話は、ちょっと少女漫画に近い要素が入ってたから、自分にヒットしたのだと思う。