Kindle書評『ナイトガーデン』と『回転銀河』

Kindle沼からごきげんよう。

以前の記事で紹介した『本は死なない』の中で、ジェイソン・マーコスキーは「食事が人の身体を作るように、見ているものが人の精神を形成する。そうとするなら、現代人の脳は娯楽で作られていると言っても過言ではない」と書いてましたが、まさにその通り。
Kindleストアのセール攻撃で、娯楽の本をぽちぽちぽちぽち。
Kindle沼に沈んだ私の脳は、娯楽でつくられております。

というわけで小説と漫画の感想いってみよー。

一穂ミチ『ナイトガーデン』


セックスレスの苦しみを、セックスレスにする側・される側(どちらも男と女の両方)から描いた『ふったらどしゃぶり』のスピンオフです。

一応BL小説なんやけど(世間のBLのイメージからかけ離れてそうなのでこう書いた)、相変わらずすごくよかった。すごくよかった…(大事なことなので2回)

誰よりも愛する相手を失って、行き着く先は

前作にて、自分の罪の意識から、愛する男とセックスレスになり、結局はその相手を別の男に奪われて、からっぽになってしまった和章(かずあき)。デザインのアイデアも浮かばなくなり、あちこち放浪したのち、大学時代に授業を受けたことがある先生のところへ泊まりこみのバイトに行くのですが…。

人に裏切られて、それまでの人生が一変してしまった先生と、孫の柊(しゅう)。
そして、ぬぐえない罪の意識と、アイデアの源泉でもあった愛する男を失った喪失感から立ち直れずにいる和章。
今回も、傷ついている人たちがめぐりあい、惹かれたり、離れたりしながら、少しずつ変わっていく。

安易に「人生はやり直せるよ」と言ってる話ではない。
まにあわないこともある。死んでしまった人もいる。
でも、やっぱり読み終わったあと、「傷ついて苦しんでいた登場人物たちが、前に進めるようになってよかったなぁ」と思ったのでした。

前作と同じく、イラストも収録されてます。
イラストレーターの竹美家ららが、前作のラストで「和章が気の毒だ」と書いたあとがき風のイラストを載せておられたんですが、今回報われましたね!それに対する感想が、またもや最後のイラストに書いてあって、思わずニヤッとしてしまった。
ただ、紙の本とちがって、こういうイラストに書き添えてある小さな文字は、ちょっと読みにくいなぁ。

海野つなみ『回転銀河』




高校を舞台にした、全6巻のオムニバス少女漫画。
3巻までがリリースされていて、残りは8月8日に配信予定です。
すでに紙の漫画は絶版。

いろんな子たちの、悩み迷う高校生活

オムニバスなので、いろんな子たちが出てくる。

別居していた弟と久々に再会したら、別人のように「男」になっていて、思わずときめいてしまった女の子。
お人よしで、いじられキャラで、徹底的に脇役な自分をちょっと嫌になったりする男の子。

女の子たちから王子様扱いされながらも、そんな彼女を嫌っている男を好きになってしまうボーイッシュな女の子。
エロい目で見られるのが嫌で、男のことも死ぬほど嫌いな女の子。

成績優秀で眉目秀麗、だけど性格はものすごく悪い双子の男の子。
そんな双子に興味を持たれてしまう、「ニュートラルな性格」の女の子。
そんな双子の真似をして同じ存在になろうとする、卑屈な男の子。

ただ、いろいろあっても読後感は基本的に、あっさりしていて、どこか明るい。

海野つなみを初めて知ったのは、この漫画でした。
なんだか好きなんよね。こういう濃すぎない絵柄も、いろんな子たちの話も。
(濃い絵が苦手で、いまだにジョジョを読めない…)
そこから海野つなみをチェックするようになって、『小煌女』も『後宮』も読んだし、最近は『逃げるは恥だが役に立つ』をKindleで読んでる。

ちなみに、この漫画をKindleでぽちった際にツイートしたら、それが海野つなみご本人の目にとまって、RTされて、さらにお礼のツイートもして下さった。うれしい…。

余談:今読んでいる本


有名なエッセイ漫画『トルコで私も考えた』が、ついにKindle化してた!
断片的にしか読んだことなかったんで、さっそく1巻をぽちったんですが、いやー面白いよねぇ。
大学でトルコ関係の授業をとっていたこともあって、勝手に親しみを感じているトルコ。まだ中国よりも西に行ったことないけど。トルコ語を習いたくなる。フィンランド語よりもとっつきやすそうだし…!