Kindle書評『世界史の誕生』『ダンナ様はFBI』『Falling Nova』『青い花』

今月も、ブログ経由でいろんなものが売れてます。Kindle Paperwhiteはたまに売れるんですが、iPad miniが売れたのは初めてでした。びっくり!ありがとうございます。

さて、めっきり更新頻度が下がってしまったKindle書評、今月やっと2回目です。
いろんな本を読んだので、まとめていってみよー!

岡田英弘『世界史の誕生――モンゴルの発展と伝統』


確か日替わりセールでぽちった1冊。
モンゴル帝国とか騎馬民族とか遊牧民とか、そのへんの話題に弱いとりさんです。

歴史は「文化」である

この本は面白かった。学生の頃に読んどけばよかった!そしたらもっと他にも参考になる本とか論文とか、身近にいっぱいあったのに!
わたくしめ、専攻は歴史学ではありませんでしたが、「人文関係で興味を持ったものは全部やっとけ」という専攻だったために、学んだ内容が広く浅くどまりなのです。哲学、文学、社会学、美術史、テキスタイル、身体感覚、食文化…なんかいろいろありましたよ…ゼミには建築史や著作権法をやってる人までいましたからね…。
(注:文学部でした)

ハイライトつけまくって大変なことになったので、ほんのちょっとだけ紹介してみる。

世界広しといえども、自前の歴史文化を持っている文明は、地中海文明と、中国文明の二つだけである。

どういう意味?って思った人は、ぜひこの本を読んでみて下さい。

中央アジアの遊牧民・騎馬民が、中国やヨーロッパやロシアにどれだけ大きな影響を及ぼしたのか。彼らの存在がのちの大国や帝国を生む原動力となったこと。彼らなしには今日の世界はありえなかったこと。
そういう話がお腹いっぱいになるほど詳しく語られてます。
『馬の世界史』の内容を思い出しながら読んだ。

学生の頃、トルコで研究をしている人から、こんな話を聞いたことがあります。
「中央アジアの人々は東西に広がっていき、やがて東は日本に、西はトルコにたどりついた。トルコの人々はそういう風に考えているので、日本人に親しみをいだいている(祖先は同じだと思っている?)」

これを中国人留学生に話したら、「んなわけないだろう(彼らはいわゆる夷狄のような異民族なんだから)」という反応で、一笑に付されましたが。
しかし一方で、中国の歴代王朝の多くは、そういう「夷狄」の人々が支配者として君臨してきた。20世紀まで続いた清朝だって、女真族が支配層でしたからね…。

この本では、異民族に支配されている劣等感が、己の文化をどこよりも優れていると主張する「中華思想」の生まれるきっかけとなったのだと語っています。うん、そうだね…京都人の「京都中華思想」と揶揄される考え方だって、首都の座を東京に奪われたからだろうね…。

あと、個人的に興奮したのは、以下のくだり。

司馬遷と同時代の越人は、浙江・福建・広東の海岸に住んで、体に竜の入墨をし、舟を操るのに巧みな、漁撈と水稲の栽培を生業とする民族であった。今日でさえ、この地帯の中国人の話している言葉には、タイ語の痕跡が顕著に認められる。

そう!そうなんよ!
私、学生の頃からずっと「広東語って、発音がタイ語に似てへん?」と思ってたんですけど、周りにタイ語と広東語の両方を聞いたことのある人がいなくて(たいていは聞いたことがあっても覚えてない)、誰にも通じなかったんですよ。
でも、この本でやっと解決した!やっぱり似てたんや!

ちなみに、日本の学校で教える「中国語」は、普通話(Putonghua/プートンホア)とかマンダリンと呼ばれる「中国大陸での標準語」なので、私も広東語はわかりません。タイ語もわからない。ただ、両方とも映画で聞いたことあるから、発音が似てる!って気づいたのです。

※蛇足だけど、標準語のことを英語圏でマンダリンと呼ぶのは、満大人(mandaren/マンダーレン)が由来らしいよ。官僚の話す言葉だったから、官僚を意味する満大人から名づけられたそうな。
ディズニー映画「アナと雪の女王」の劇中歌「Let It Go」の25ヶ国語バージョンでも、「Mandarin(普通話)」と「Cantonese(広東話)」って表記されてるよね。

田中ミエ『ダンナ様はFBI』


たまたま見つけてぽちった1冊。漫画っぽい表紙ですが、エッセイです。

自分にも他人にも厳しい、それがFBI出身者

フリーのライターとしてバリバリ働いていた著者が、仕事で知り合ったFBI勤務のアメリカ人男性から、一風変わった猛アプローチを受けて結婚したあらましをつづるエッセイ。

FBIで仕込まれたのであろう、人間の心理をうまく利用した対人スキルや、セキュリティに関する話がぼろぼろ出てきて、大変興味深い。
著者が仕事で行うインタビューなどにも、大いに役立ったらしい。

この旦那さん(作中ではダーリンと呼ばれている)は、FBIという選ばれし職業についていただけあって、常に向上心があって自分にも他人にも厳しい。子どもが産まれてからも「プロたるもの、生活感を出すな」と著者に何度も注意をする。
しかし厳しいだけではなく、「仕事も家事も育児も全部完璧にやろうとしなくていいんだ」と著者に言葉をかけ、フリーで誰にも頼れない著者に対して、自分のものさしとなる判断基準を教えてくれたりする。

結婚よりも仕事が楽しい!ずっと一線で働き続けるぞ!と思って走り続けていた著者だからこそ、自己管理に厳しい旦那さんとめぐりあったのかもしれないな、と思ったり。

娘さんが学校に入ってからの話も読みたいなぁと思ったけど、最後に収録されていた文庫版あとがきを読む限り、もう続きは出してくれないかもしれないなぁ…。

犬子蓮木『Falling Nova』


おなじみ犬子さんの短編集です。
今回は他の人からの提供素材を表紙に使ったそうなんですが、相変わらず白いな!

ぼくのかんがえた理系小説

この短編集は、星新一賞に応募して落選した作品だそうです。だからタイトルが、Falling Nova…。
賞のテーマは「理系小説」だったらしいんですが…理系とはなんぞや。
ふたを開けてみたら、ライトなSFの短編集でした。ライトなので、SFなんてわかんねーやって人でも無問題です。

収録作品は以下の通り。

  • after all
  • I copy
  • duck trip

犬子さんは、ことあるごとに、自分がいかに英語を苦手であるか語られているのですが、その割にいつも英語のタイトルが多い。やっぱりこれも彼が神とあがめる森博嗣の影響なのでしょうか。

なんというか…「after all」が谷山浩子でしたね!谷山浩子の歌にありそうな展開。むしろ谷山浩子だと王道のベタな展開。これが谷山浩子だったら、このあと時空をねじまげて永遠のループに入りそうな勢いです。アトカタモナイノ国に飛んでいく選択肢もアリだな。

犬子さんは、今すぐiTunesで谷山浩子をぽちるべきだと思います。
『天空歌集』をぽちって「SAKANA-GIRL」を聞くか、もしくは『ボクハ・キミガ・スキ』をぽちって「不眠の力」を聞くべきです。


あ、それとも『漂流楽団』の「七角錐の少女」がいいかな…あれこそ理系っぽい歌…。

(考え始めたら止まらないので閑話休題)

この本の中で、私が1番好きなのは、機械人形の愛を描いた「duck trip」。
始まるような、始まらないようなふたりの関係。ふわっとした後味。
「人間って、機械ってなんだろうね」という、SFでよく見かけるテーマを、堅苦しいこと抜きで短編にしてて、そのふんわりとした味わいが好きでした。

志村貴子『青い花』全8巻



全力で百合漫画。
1巻が無料になってて、そこから一気に全巻ぽちって読んでしまいました。

今になって良さがわかるようになった漫画

これ、確か23~24歳の頃に、1~2巻だけ読んだことあるんですよ。
なかなか続きが出ないもんだから、そこで終わっちゃてたんだけど。

その頃は、この漫画の良さがいまいちわからなかったんです。
わかりやすい激しいドラマを盛りこんだ刺激的な漫画に慣れちゃってて、こんな風におだやかに、静かに少しずつ、悩みながら進んでいく女の子たちの話の味わい方がわからなかった。
(自分は淡々とした百合小説を書いてるくせに!)

でも、捨てたい病が進んでからは漫画や小説をあまり読まなくなって、ドラマチックな展開を読むのがしんどくなってしまった。刺激が強すぎて疲れるから。

今、この漫画を読むと、なんて味わい深くて面白いんだろうと思います。
絵もきれいよねー。モノクロもカラーも、すっごくきれい。
あと、私は水彩画がすごくすごく好きなので、この漫画の表紙もすごく好きです!

余談:これから読む本

ブログ「More Access! More Fun!」でおなじみの永江一石さんが、2冊目のKindle本をリリース。
彼は本業であるネットショップコンサルのスキルを活かして、メルマガで読者からの悩み相談に回答されており、そのメルマガをまとめた本がこちらです。
メルマガ1ヶ月分の購読料と同じお値段だそうです。やっす!

あと、先週『彼女とカメラと彼女の季節』4巻が出てた!気づかんかった!
見つけた瞬間、ぽちったのは言うまでもない。

他にもブログに書いてない本があるんだけど、読書に戻りたいから今日はここまで。

あ、あと先日買った紙の本2冊のうち、1冊は読み終わった。自分が気に入って買った本だったので4日くらい読み返してた。そろそろ次の本に移ろう。うん、Kindleの方を読んでからね…。
次に控えている紙の本↓