Kindle書評『馬の世界史』と『+C sword and cornett』

また10冊くらいKindleで積ん読してる…!
しかもKDP本でも漫画でもないから、どれも読むのに時間かかりそうだぜ…!
といいながらも読書を楽しんでます。

今日は歯医者に行ったので、待合室ではKindleを開いて本読んでました。
Kindleがあれば、おじいちゃんおばあちゃんが待合室でぼんやり眺めているテレビのワイドショーとかバラエティとか、そういう番組も簡単に無視できるので大助かりなのです。
でないと、見たくないのに目に入っちゃうから。
(昔の職場も、休憩室にテレビがあって、すごく嫌だった…ドラマもワイドショーも見たくないから、自分ひとりの時は消してた)

他に娯楽のない環境だと、読書に集中できるね!
てなわけで読んだ本の感想いってみよー。

本村凌二『馬の世界史』


西洋古代史の研究者であると同時に、競馬の大ファンでもある著者が、東西それぞれの資料にあたって馬と人との歴史を紐解いた1冊。
西洋中心主義でも中華思想でもない、東西どちらも含まれた馬の歴史の本が読みたかったから自分で書いた、とあとがきにつづられていました。

馬がいなければ「速度」も「帝国」もなかった

馬の世界史、という大きなタイトルにふさわしく、文明が始まる以前の馬と人との関わりから始まり、古今東西の騎馬遊牧民(騎馬民族という呼び方はふさわしくないとしてこの名称を使用)の興亡とそれにまつわる周辺国の興亡、騎馬に適さない土地では船が馬の代わりを果たしたこと、かの有名なモンゴル帝国(モンゴル・ウルス)が世界史にもたらした衝撃、そして19世紀の馬車の時代に至るまで盛りだくさんです。

著者はくり返し、馬と人との出会いが、人の歴史にどれだけ大きな変化をもたらしたか強調しています。

もし馬がいなかったならば、二一世紀もまだ古代にすぎなかったのではないだろうか。

人間の精神や意識の底流に、まったく新しい観念が刻みこまれる。それは「速度」という観念であり、それを通じて世界の広がりを感知できるものであった。

馬に乗れば、これまでの自分が体感したことのない速さで、遠くへ行くことができる。情報も速く伝達できる。それが、どれだけの衝撃であったか。

現代人は、人間にとって最良の友は犬であると思っている。(中略)犬が最良の友であるなら、馬は最良の奴隷であったともいえるだろう。しかも、馬は躍動感にあふれ、美しさを損なうことがなかった。だから、それは人間から敬愛されるもっとも高貴な奴隷である。むしろ、かぎりなく友に近い下僕であるのだ。

自動車や飛行機が馬の立ち位置にとってかわり、現代社会では馬が歴史においてどれだけ重大な役割を果たしてきたかが忘れ去られている、とは著者の談。

他にも面白い話がたくさんあったり、逆に「これはまちがってるなー」って部分もあったんですが(太陽神アッラーという記述とか)、そのへんは実際に読んでみたらいいよ。
あるいは、ここから派生して歴史の関連書籍を読むのも面白いと思う。
私は「あー、この名前、世界史の授業で出てきたなー…」と懐かしく思いながら読みました。拓跋とか鮮卑とか女真族とか。

騎馬遊牧民といえば、避けて通れないのがモンゴル帝国の話ですね。
学生の頃、お世話になった先生が、遊牧民にまつわる授業もやっておられて、

「遊牧民というのは、定住民とまったく異なる価値観を持っているのです。移動が常だから、定住民のように大量のものを持たず、持ち運べる最小限のものを持つのです」
「遊牧という文字に『遊』が入っているから、遊んでいるように思うかもしれないけど、彼らはとても忙しいのです。複数の家畜の群れを、父親も母親も子どもも総出で、交代で遊牧に出して世話をして、毛を刈って、時間をつくって自分たちの衣服も織ったりしているんです」

と、くり返し強調されてました。

その記憶もあって、一時期、モンゴル帝国関係の本を読んでたことがある。
杉山正明の本を読んでたなぁ。
この『馬の世界史』も、杉山正明ご本人からさまざまな助言を受けているそうです。

残念ながら、杉山正明の本はまだKindle化されてなかった。

個人的に反応してしまった部分

ペルシアの騎兵隊は退却しながら後ろ向きに弓を射る方法に熟達していたからである。この弓射法は後に「パルティア人の曲射」とよばれ、騎馬遊牧民の特技とされたものである。

こ、これは…!
『赤毛のアン』で、マリラがアンに厳しい一言を浴びせて去っていくシーンに、「パルティア人の一撃さながらの」って描写があったよね!それの元ネタだね!
(赤毛のアンは、当時のインテリが読んでいた本や芸術、歴史ネタ、聖書などからの引用が非常に多いのである)

柔然が北アジアに勢力を誇った頃、西トルキスタンではイラン系のエフタルが強大となった。

『風の谷のナウシカ』で、ナウシカの出自である「エフタルの民」というのは、ここから名前をとったのかな?
もともとナウシカも『オデュッセイア』に出てくる王女の名前だったはずだし、クシャナもインドのクシャーナ王朝と同じ名前だったよね。

遊行寺たま『+C sword and cornett』


谷山浩子ファンの知人タケミさんが、狂ったように愛している漫画。通称プラスシー。
先日、続編のリリースと同じタイミングで、全巻一気にKindle化されました。

ファンタジーの宮中陰謀劇

舞台は、英雄王ライツ1世の子孫が統べる王国アゼルプラード。
国王が踊り子に産ませた妾腹の子として、臣下からも軽んじられている第3王子ベルカが主人公。
王位継承者の死にまつわる陰謀を知ってしまったベルカと、その場に居合わせた第2王子オルセリートは、生きのびるためにそれぞれ逃げたり闘ったりする中で、アゼルプラードの成り立ちと、秘められた真相を知り、この国を変えていこうとする…。

最初に読んだ時は、「展開がちょっと早すぎるかなぁ…」と思ったんですが、もっぺん一気読みしたら気にならなかった。
でも、最終巻の8巻だと、やっぱり最後は急展開に感じて「え、終わり?もうちょい続くんじゃなかったの?」って思った。続編が出たのもむべなるかな。続編の『+C sword and cornett APPENDix』は短編集だったけどねー。
1巻だけだと面白さが伝わりにくいので、何巻か続けて読んだ方がよさげ。

ちなみに4巻が非常にいいところで終わっているため、もしも誰かに、
「プラスシー面白いから、とりあえず半分の4巻まで読んでみなよ」
などと勧誘されたら、これは続きが気になるところまで読ませてそのまま最終巻まで買わせる作戦だな…と疑った方がいいです。
私もタケミさんにやられました\(^o^)/

個人的には、男装して自分なりにオルセリートを助けようとする妹姫ミュスカが好きです。
最初はただのわがままな幼女だったんだけど、兄たちとちがって悲劇的な考え方に落ちこむことなく、「だったら助けるわよ!」と迷わず立ち上がる。男装してこっそり走り回ったり、傭兵にあこがれたり、王女という立場を利用して動いてみたり、自由な感じ。
男装したミュスカと、女装したエーコや侍女ペイジェの組み合わせとか面白い。

あ、あと女戦士の新月とかもいい。

腐女子の皆さんには、ベルカとリンナとか、オルセリートとキリコとか、ロヴィスコとライツとかも面白いんじゃないですかね(深入りすると戦争になりそうなので適当に)

余談:最近買った本

積ん読に仲間入りした皆さん。


角川セールが延長してた時に買った。羽生善治の本は初めて。


みうらじゅん、いとうせいこうが各地の仏像を見て回るエッセイらしい。何巻も出てた。これも角川セールの延長でぽちっとな。

そういえば、大学で仏像のスライドを見ながら教授の話を拝聴するという授業があったよ。
そりゃもう何十体という仏像のスライドを見たんやけど、なんとテストの内容が「数分おきに映し出される仏像のスライドを見て、それぞれどこの仏像かを当てる(ノート持ちこみ可)」だった。
ちなみに出てくる仏像のほとんどは、海外の遺跡の仏像である。サーンチーとか敦煌莫高窟とか。
皆「え?!」ってなってた。

…とりさんは先生の話をほとんど聞いていなかったにもかかわらず、この手の記憶が得意だったために全問正解で単位をとれたわけですが…仏像って言うと、このテストのこと思い出すね…。
初期キリスト教のモザイクとの比較とか、今思えば面白い話もちょくちょく出てたから、もっとちゃんと授業聞いとけばよかった。


佐々木俊尚さんが最近出した本。
本日の日替わりセールになってたから、即ぽちった。もうすぐ終了ですねー。