Kindle書評『獣の奏者 III探求編』『IV完結編』『外伝 刹那』

とりさんが使っているKindle端末は、Kindle Fire HDの16GB(2012年モデル)です。

自分にとっては、タブレットというよりも読書用の端末だったので、ちゃんと本に見えるようなアンティーク風の革製ケースを選びました。過去のモデルなので今は安くなってるけど、注文した当初は5980円だったと思います(届く直前に3980円になった)

このケース、四隅のゴムで端末をカバーに留めておくだけの構造ですが、案外しっかりしているのです。昨夜、パジャマの上に乗せて持ち歩いてたら見事にすべって廊下にバッターンと落っことしたのですが、端末もケースからはずれなかったし、無事でした。
(ただし、持ち方が悪いと、たまにゴムがずれて、端末がはずれてしまう)

カバーにしては、ちょっと高いかな…って思ったけど、さわったり眺めたりするのも楽しいので、愛着が湧いて、気に入ってます。多分、このケースをつけているせいもあって、「KindleをやめてNexus 7に買い換えようかな…」って気になれないんだと思う。
ガジェットだと「新しくて快適な方がいい」って思うけど、古めかしい本を思わせるケースに入ってると、「これは大事にすべき本だから」って思えるんよね。

カバーの写真は、過去の記事に載ってます。

最近は目が疲れやすいのもあって、かぎゅうさん(iPod touch)で読書するのをやめて、ずーっとKindleの大きめの画面で読書してます。やっぱりラクだわ。
そんなわけで、今週一気に読んだ小説の感想いってみよー。

上橋菜穂子『獣の奏者 III探求編』


1〜2巻目はKindleを手に入れた当初に買ったものの、3〜4巻は紙の本と同じ値段だったので、なかなか買う気になれなかった。

しかし、去年は講談社のセールがあったので、それに乗じて3〜4巻と、さらにリリースされた外伝もまとめて買ったのでした。
(犬子蓮木さんから「3〜4巻も絶対に買うべきだ」と強くおすすめされたので)

忍び寄る異変

3巻目はね、最初の方は読みながら暗い気分になったの。
そのせいもあって、読みかけた状態でしばらく放置して、他の本を先に読んでた。

今年に入って、積ん読が次々に片づいていったので、ようやく続きを読む気になって再開したら、今度は「え、どうなるの、どうなるの」って一気に引きこまれてしまった。さすがやなぁ。

新しく、いろいろな人が登場して、それぞれの人がそれぞれの過去をかかえていて、他国との立ち位置が少しずつ見えてくる。エリンの立場が、想像以上に大勢の人々から狙われていることも。

エリンの夫となったイアル、ふたりの間に生まれた息子ジェシ、3人の一見おだやかな暮らしは、とてもはかなく、あっというまに失われてしまう。そして、エリンもイアルも、いつかその日が来ることを覚悟して暮らしてきたことが描かれる。

大事な夫と我が子があり、それでいて、国の行く末を左右する重要人物となってしまったエリン。何かあったら、夫も息子も彼女に対する人質として巻きこまれていく…。

上橋菜穂子『獣の奏者 IV完結編』


3巻を読み終えたあと、すぐ4巻に進みました。

生をゆがめることへの強い反感

完結編にふさわしく事態は急変し、物語は一気に進む。
そして、過去に起こった大厄災がどういうものだったのか明らかになり…最後のシーンでは、エリンとイアルの没したあとの世界が描かれる。

う、うわぁ…。
エリンは本当に、駆け抜けるように生きたんやな。
そして、くり返し語られる「生き物の生きざまを無理やりゆがめることはおかしい」というエリンの思い。

Amazonのカスタマーレビューには、3〜4巻のことを「蛇足だ」「無理やり書いた感が否めない。1〜2巻で充分だったのに」とけなしている声もあったのですが、私は全然そうは思わなかったです。
むしろ、何年も前に紙の本が出たばかりの頃、2巻を読み終えた直後の私は、もっと続きがあるものだと思ってたから。「え、ここで終わりなの?急に終わったやん」って。
だから、3〜4巻があって、よかったと思う。

上橋菜穂子『獣の奏者 外伝 刹那』


主な登場人物の過去を描いた短編集。
表紙がすごくいいなって思った。私がつくりたい表紙に似てる。

都合よく話が進まなくても、人生は進む

一族を離れて愛する男のもとへ嫁いだエリンの母の話、エリンとイアルが結ばれてジェシが産まれるまでの経緯、エサル師の過去。どれも読みごたえがありました。

エサル師の過去を読むと、エリンが来るまでにも少しずつ時代(というかカザルムの状況)は変わってきていたのだなぁと思ったし、誰にも言えない過去の秘密は、淡々とした描写が逆に真に迫ってくる。
これが少女漫画やBLやTL小説だったら、エサル師の秘め事はご都合主義に話が進んで、ふたりは結ばれて周囲もそれを許してくれました、めでたしめでたし!になったんだろうけど、現実にはそんなこと起こらない。
でも、それでも人はそんな過去を乗り越えて前に進んでいける。

エリンとイアルの話も重かったけど、それでもやっぱり「死んだらあかん、生き抜くんや」っていう強い意志が話の全体を貫いていて、あぁすごいな、と思った。
だって、登場人物が模索して必死に生き抜くよりも、自分を責めて死を選んでしまった方が、話を書くのはラクだからね。悲劇にするのはすっごく簡単なのよ。

余談:最近買った本


市川春子『宝石の国』2巻、紙とKindle版と同時発売だったっぽい。わぁい!
この世界の構造が、少しずつ明らかになってきた。


これ、ピーターラビットが全巻そろってるらしい。やっす!
著作権が切れてるから、いろんなバージョン出てる。
前に1巻目だけのバージョンを買ったことあるけど、こっちの方がお買い得ですね。

他にもいろいろ買ってるけど、また感想をブログに書きます。