Kindle書評『マーチ!×2』と『象られた力』

婚活をしたことがなく、果たして自分が結婚したいのかどうかも判然としないまま三十路を迎えたとりさんです。
今日は婚活小説を取り上げるよー!

子どもがほしいと思ってたら「結婚したい!そのために婚活!」って意識を持てたのかもしれませんが、生まれてこのかた赤ちゃんをかわいいと思えたことがなくて、子どもがほしいと思ったこともないのです。きっと我が子が産まれたら、かわいく思えるんでしょうけどね。

子どもをほしがる友達に理由を聞いたら「わからん。もう本能やな」って言われたんですけど、だったら私はいったい何なのか。本能だからって言われても理解できひんよ…。だって私は感じひんのやもの…。

どっちにしろ、年齢的にも体力的にも出産は無理かもしれんで\(^o^)/

そんなこんなで、婚活小説とSF小説という「なんでその順番になった」的な組み合わせの感想いってみよー。

ハル(@sakuraSoftware)『マーチ!×2』


アラサーSE女子による婚活小説『マーチ!』の続編です。
書いたのは、婚活をリタイアした(成婚はしていない)男性、ハルさん。
待ってた!続きを読みたくて待ってたよー!

今回は、いろんな人が関わってます

前作の『マーチ!』は、ハルさんが予想していたよりも、いろんな人から反響があり、とりさんのように「続きを書け!」という声も上がってました。
そんな経緯もあって、今回の2巻目は、いろんな人が協力しているようです。

というわけで、とりさんもリリース前の原稿をいただきまして、下読みして誤字脱字のチェックしたり、表紙作成に関するPhotoshopの操作を助言したり、表紙のデザインにツッコミ入れたりという形で関わっております。
土曜の朝、自分のPhotoshopで「こういう感じですか?」とテストデータをつくってハルさんにメールで送りつけ、その後もデートの合間に(彼氏がトイレ行ってる時とかに)ついったーのDMで「こうしたらいいんじゃね?」とやりとりをしていたという…。

犬子蓮木さんに至っては、KDPストアに載せる内容紹介を書いてます。そこもアウトソースしちゃったのかよw
でも面白い紹介文ですね!婚活よりも社畜をアピールしてる感がありますけど。

アサコは迷走、お姉ちゃんは神格化

えーと、では本の感想を。

婚活仲間のアサコは迷走中です。
ハルさんが「アサコは『趣味:婚活』みたいな人ですから」とツイートされてた記憶があるのですが、そんな感じ。
お泊まりしたよそさまのおうちで、ありあわせのものを使って家庭料理をつくれる「女子力」はあるし、TPOに合わせてファッション変えたりできるんだけど、「年収はいいけど性格はクソ」な男を引き当てることもしばしば。
誤爆してるよ、アサコ!

お姉ちゃんは神格化が進んでいます(私の中で)
とらえどころのない、なんでもできちゃうお姉ちゃん。でも男には目もくれず、かわいい女の子が好きなお姉ちゃん。主人公のユウコとのやりとりが、もう、いちいち百合くさい。百合好きな人はこのためだけに『マーチ!』を買ってもいい。
もし私がこんなお姉ちゃんと同居してたら、絶対に結婚しないね!お姉ちゃんとずーっと一緒にいちゃうね!

そして、主人公のユウコは、SEならではの長時間労働をこなし、アサコから「社畜さん」とからかわれつつ、なんとかうまくいきそう…な相手を見つけた、のかもしれないです。
プロポーズとか結婚とか、そういうわかりやすいゴールはありません。
ちなみにとりさんは、アサコみたいな「キーボードへのこだわり」は持ってないです(・ω・)
今の仕事だと、ペンタブとか、Photoshopの設定(カスタマイズ)とか、そっちが大事だもんで。

ところでハルさん、『マーチ!』のこぼれ話やカットされたシーンを集めた本って出るんですかね?

飛浩隆『象られた力』


ずーっとKindle化を待ち望んでいたSF短編集。

  • デュオ
  • 呪界のほとり
  • 夜と泥の
  • 象られた力

の計4本が収録されてます。

感覚をとらえる

バリバリのSF全開な話じゃなくて、SFを通して不思議な世界や、滅びや、美しい何かを描き出していく。そんな感じの短編なのです。
初めて読んだ飛浩隆がこの本だったと思うのですが、もう、こういうの大好き!

長編の『グラン・ヴァカンス』になると、頭が追いつかなかったよ…。

改めて『象られた力』を読みながら、「感覚って、五感(五官)って、何なのかな」と思った。

あるいはそもそも人類のつくる社会というのが、せいぜい恒星系ひとつぶんほどの大きさしか持ちえないのかもしれない。

人は五官を通してしか、宇宙とかかわっていけない”〟。私はおのれの言葉の意味を思い知らされていた。皮肉な警句を私はのべたはずだったのに、しかし、人間は五官があってこそ、こうして外界と対話できるのだ。

あの膨大な図形言語はまったく本質じゃあない。何かから目をそらせようとするものなんだ。

特に私が好きなのは「呪界のほとり」と「象られた力」。
かたや奇妙な珍道中、かたや膨大な図形言語を持つ惑星文明。

感覚って、どこまで信じていいのかな。最近そう思ってるの。
頭だけの理屈だと、うまくいかないことが多い。人間は感情や感覚で動いてる。人間の社会もそう。理屈だけで動いてると、体の不調にも気づかない。だから感覚を無視しちゃいけない。

でも、感覚だけだと危ういな、というのも感じてる。
感覚だって、だませるからね。都合のいいように操られるからね。

「象られた力」が描き出す、滅んだ惑星<百合洋(ユリウミ)>の図形言語の恐るべき歴史と、その影響が人々に及ぼすさまを読みながら、そんなことを思った。
こういう話は、漫画化も映画化もできひんやろねー。
そして、今この文章を書いてて、伊藤計劃『虐殺器官』を連想した。なんとなく。

ちなみに、飛浩隆の短編、こんなのもあるよ!