Kindle書評『路地恋花』と『空色勾玉』と『FLESH&BLOOD 1』…レーベルによっては挿絵がカットされている問題

昨日は、KDP作家さんのリリース前の作品を下読みしてたとりさんです。早い話が校正もどきです。誤字脱字、表記ブレ、伝わりにくい表現などがないかチェックするアレです。
面白かったー。感想書きたいから、早くリリースされるといいなぁ。

ここ何ヶ月か、週末に彼氏んちへ泊まりにいく時は、かぎゅうさん(iPod touch)のKindleアプリで読書していたのですが、最近またKindle端末への愛が復活しました。重たいけどKindle Fire HDを持参してます。
読書が!楽しい!\(^o^)/

ちなみに、漫画全巻一気買いなどをほとんどしないため、とりさんの現在のKindle蔵書数は327冊です。すっくない!
でも、ブログでちまちま感想を書いてるので、いっぱい読んでるみたいに見えるという。

感想いってみよー。

麻生みこと『路地恋花』全4巻





少し前に犬子蓮木さんが、ついったーで褒めたたえていた漫画。
1巻が99円セール中だったので、ぽちっとな。
そして読んでみたら面白かったので、立て続けに最終の4巻までぽちぽちっとな。

「ちょっとベタすぎる京都」の路地

実在する「あじき路地」をモデルにしたオムニバス漫画です。
職人やらアーティスト(修行中)やら、そういう「学生でも勤め人でもない人たち」が、いかにも京都らしい昔ながらの家々が並んだ路地に住みながら店を出して、自分の道を模索したり、助け合ったり、恋をしたりするというあらすじ。

あじき路地、私も1度行ったことあります。
こぢんまりしてるよねー。ホンマに昔ながらの路地って感じで。

ああいう路地、今でもたまに見かけるんですが、火事になると消火活動が大変だし、どこか1軒だけ売りに出そうにも売りにくいし、建物の老朽化や住人の高齢化とともにどんどん消えゆく運命にあります。面白いんやけどね。子どもの頃は、ふらっとさまよいこんでみたくなったもの。

『路地恋花』は、ちょっとベタすぎる京都テイストの話です。
たとえば「ろぉじ」とか。
生まれてこのかた、路地を「ろぉじ」なんて言ったことないんやけど。1巻の冒頭で説明される「路地=ろぉじ」説は、いったいどこ情報なのか。それとも、あじき路地周辺の高齢の方々の間では遣われているのか。

メディアの京都特集で腐るほど目にする「はんなり」も「おばんざい」も死語ですよ。日常では一切遣ったことない。観光客に京都っぽさを売りこむための言葉。
「おばんざい」は、観光客受けを狙ってか、たまにお店の値札に書いてあったりする程度。普通に「おかず」って言うから!
「はんなり」も活字でしか見ない。たとえるなら「あをによし」と同じ存在なんよね。京都の枕詞に遣っとけばええやろ?的な手抜きを感じるぜ。

…とまぁ、京都人にとって定番のdisりポイントをのぞけば、ほわっと楽しめる漫画でした。

恋愛という幸せは、アーティストに何をもたらすのか

どこだったか忘れたけど、この漫画を紹介する際に「読むと恋がしたくなる」ってキャッチコピーをつけてるサイトがあったような。もしかして「きんどう」さんかな?

しかし、読むだけで満足しちゃって、恋したい気持ちは一切湧きませんでした。
彼氏がいてもいなくても、「こういうの読むと恋したくなっちゃう!」っていう人はいるよねー。すげーな。私とは持って生まれた恋愛欲の大きさがちがうのだろうか。

1番印象深かったのは、1巻に出てくる画家志望の男の子と、彼を支える女の子の話。
「アーティストは、幸せになっちゃうと作品がつくれなくなる。不幸な方が能力は花開く」なんてよく聞く話ですよね。幸せになりたい、救われたいと願ってはいけないのだろうか。

高校生の頃までは、私もそう思ってました。「つくる側の人間」になりたければ、満たされてはいけないし、恋愛が成就してはいけないのだと思っていた。かたくなだったのです。
でも…世間を見渡せば、普通にリア充ライフを送ってるクリエイター、いっぱいいるよね…。
逆に、自ら進んで不幸の道を突き進むクリエイターの作品が面白いかというと、必ずしもそうではない。

残酷なことに、自分の作品以外のことに時間と意識を費やしていても、つくれる人は作品をつくれるし、人生のすべてをなげうっていても、つくれない人は、つくれないのだ。
才能のない人は、才能のある人に勝てない。

それはともかく、画家志望の彼と彼女のその後が描かれていないので、気になるところです。
他の話はけっこう続きが描いてあったのにねぇ。

荻原規子『空色勾玉』


50%還元セールやってたので、ぽちっとな。
同じ著者のRDGシリーズも、最終巻の手前まで読んでたな…そういえば…。そして最終巻をまだ買ってない…。

女の子の好きな要素、ちゃんとつめこみました

すでに紙の本でも読んだことのある本ですが、懐かしく読み返しました。
しかし、脳内で照日と月代のイメージが、山岸凉子の『月読』に変換されてしまって困った。全然ちがうキャラなのに!

『月読』がすでに絶版ということに動揺を隠せない。紙の本は、これだから…!(´;ω;`)

改めて読んで、『空色勾玉』は女性受けする要素をたっぷり含んだ話だよなーと思った。

  • 権力者に見初められ、誰もがうらやむ立場へ
  • でも立場が弱い田舎者なので、いじめられる(読者が感情移入しやすい)
  • 実は、特別なお姫様の生まれ変わりが私でした!
  • でも、無力な自分に悩む(読者が感情移入しやすい)
  • 特殊な能力を持ち、他の誰とも交わらない純粋な男が、自分にだけ心を開く
  • 最後は、その男と結ばれる

超能力じみた属性を持つ特別な男が、自分にだけ心を開いて、他の人とはまともに会話すらできないって、萌えるよねー。ぶっちゃけ、現実にそんな男とつきあうことになったら、ロクでもないんだけどねー。
(2次元では萌えるけど、現実では絶対に嫌だという、ありがちなパターン)

シリーズの『白鳥異伝』、『薄紅天女』もKindle化されてますね。『空色勾玉』以外の記憶がないので、ひょっとすると読んでないかも。買おうかな。

松岡なつき『FLESH & BLOOD1【SS付き電子限定版】』


とりさんの大好きな、フレブラシリーズ。1巻目だけがKindle化されてます。

冒険にわくわくする歴史ファンタジー

現代イングランドに生きる、高校生の海斗。
家族でのイギリス暮らしが長くて、日本語よりも英語の方が話しやすいというこの男の子が、16世紀のイングランドにタイムスリップしてしまう話です。
一応BL小説だから、男同士のあれやこれやの話も出てくるけど、そんなの気にならなくなるくらい(というか正直それどころじゃないくらい)面白い。

ひょろっとした現代人が、大航海時代にタイムスリップして、海賊船に乗ることになったら、そりゃもう大変に決まってるじゃないですか。わけがわからないし、体力もメンタルも追いつかない。
しかも当時は今よりもはるかに不衛生だから、小さなケガが原因で命を落とすかもしれない。異端審問も拷問もあるから、いつなんどき自分が毒牙にかかるかわからない。
身を守るために智慧を絞り、うまく立ち回ったと思ったら、今度は目立ちすぎて、イングランドとスペインの両方から狙われてしまう…。
そんな中で、どうやって生きのびていくのか?

あらすじだけでも面白いのに、会話や何気ない行動の端々で、当時のファッションなどの風俗を鮮やかに描写してみせるあたりが、本当にうまいなと思います。
これがBLじゃなくて、角川ビーンズ文庫とかそのへんから出てたら、もっと大々的に売れただろうなー。BLというだけでマイナーになっちゃうからな…。

とてもとても面白いのでおすすめです。が、Kindle版は1巻しか出ないんじゃないかと危惧している…。
紙の本は現在、21巻まで出てます。長いです。
ちなみに、私はスペイン側のビセンテが好きです。とても好きです。語らせたら長いです。いやむしろ自分の中で反芻しちゃうので語らずに口ごもると思います。はたから見てると気持ち悪いですね!

ただし、挿絵はカット

ただ、Kindle版にはひとつ、かなり重要な欠点があります。
挿絵が一切収録されてません。
そのかわりなのか、紙の本にはなかったショートストーリー「予感」が収録されてます。

フレブラシリーズの表紙と挿絵は、1~11巻を雪舟薫、12巻~を彩というイラストレーターが担当しているのですが、Kindle版には表紙しか収録されてない。
BL小説も、ラノベと同じくイラストがかなり重要なジャンルで、中にはイラストレーター目当てで本を買う人もいるので、挿絵をカットしてるなら、商品紹介には書くべきだと思うんですがね…。

一応、Kindle版の著者名のところには、イラストレーターの名前は入ってないですね。
キャラ文庫は挿絵を入れない方針なのかな?それとも作品によるのかな?

ただし、他のBL小説をいくつか見ると、挿絵を一切収録してないけど「表紙を担当してるから」という理由でイラストレーターの名前が入ってるケースもあります。買ってみて初めて、挿絵がないとわかる…。
挿絵なんて場面の途中に入ってるもんだし、無料サンプルでは確かめようがないのになぁ。
もえぎ文庫は挿絵なし、表紙絵も昔のガラケー並みの解像度で全然わからないという悲惨な状態でした。

逆に、フルール文庫から出てる一穂ミチの『ふったらどしゃぶり』は、挿絵もカラー絵も、イラストレーターさんのあとがきイラストも、全部収録されてた。すばらしい。

いま確認したら、B-PRINCE文庫から出てる木原音瀬の『FRAGILE』は挿絵もカラー絵も収録されてた。
SHY NOVELSから出てる杉原理生の『37℃』は収録されてない。

…KindleでBL小説がどれだけ売れているか知りませんが、こういうことをされると、本当に売る気あるのかなって思う。
挿絵を入れないなら、ちゃんとその旨を告知してほしいよね。

TL小説のティアラ文庫は、ちゃんと挿絵が収録されてましたね。
ラノベとか、そのへんは収録されてるのかな。じゃあ、こういうイケてない対応してるのは、まさかBLだけ…?
(でも、東京漫画社が連載中の雑誌から看板作家をシトロンに引き抜かれた時も、一切何の告知もせず何もなかったようにフェードアウトしてたことを思い出すと、ありえない話ではないなー…)

残念です。
でも、フレブラはとても面白い話なので、Kindleで1巻を試し読みした人が、興味を持って紙の本にも手を出してくれたら、うれしいな。
…もちろん、全巻Kindleで読めるようになったら万々歳なんですが。