マーク・ブキャナン 『歴史は「べき乗則」で動く』を読んだ

タイトル:歴史は「べき乗則」で動く
副題:種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系化学
著者:マーク・ブキャナン
訳者:水谷淳(みずたに・じゅん)
レーベル:ハヤカワ・ノンフィクション文庫

ジュンク堂の理系フロアで見かけて、面白そうだなー、まぁまた今度チェックしようと思っていたら。
弟が「この本買った」とツイートしてたので、貸してもらいました。

草間さかえの漫画『イロメ』に、「フラクタル」という短編が入ってたと思うのですが、そのタイトルの元になった単語「フラクタル」も登場します。
あぁ、そういう経緯で発見された、そういう現象だったのね!と。
第4章で解説されてますよ。

べき乗則については、直接この本を読むか、他の人の感想レビューを読んで下さい。
以下、とりさんが興味を持った部分だけ。

第8章 大絶滅は特別な出来事ではない

生命の歴史において、種の絶滅・特に壊滅的な大絶滅というのは、これまでにも何度も起こってきたし、これからも何度も起こる、別段特別でもなんでもない現象なのだった…。
というのが、第8章の内容。
もちろん、その絶滅の規模と件数の分布を見ていくと、そこに「べき乗則」が登場するわけですが。

べき乗則による見方をすると、大量絶滅は進化の仕組みのなかで例外的な出来事ではないことに気づく。大量絶滅は、はるかかなたから振り下ろされた神の拳の跡などではなく、進化のもっともありふれた原理にもとづく必然の産物だったのである。

ううむ。
進化がどうたらこうたらという本を読むのが好きなので、第8章は特に楽しかったです。

そういえば、『フューチャー・イズ・ワイルド』にも、絶滅なんてよくあるよねー的な記述があったような…。

臨界状態の場所に、それは現れる

株価が安定し続けることはありません。
再び世界経済が未曾有の危機を迎えることはないだろう、という楽観視は当たりません。
過去最大の巨大地震が、今後いつ起こる、あるいは起こらないという保証はできません。
生物の99%は絶滅します。
自由意志を持っている個人の行動が積み重なった結果(例:大都市と郊外都市の数と分布)にすら、べき乗則を見出すことができます。

…いやー、面白いよね。

人々の収入にも、べき乗則は現れる

この本の解説は、東大で計算脳科学や複雑ネットワークというものを研究しているらしい、増田直紀という人です。

解説で面白かったのが、本文では述べられていない、「身近なべき乗則」。
人々の収入の分布について語ってはるのですが、

べき乗則の帰結として、大多数の人は平均未満の値をもち、少数の人が平均よりとても高い値をもつ。

1億円の人が1人だけいれば、あと32人が年収100万円だとしても、33人全体での平均は400万円になる。32人の側としては、自分は平均より300万円も少ないという悲観的な見方は捨ててよいのかもしれない。1人だけ突出した人がいて自分を含む残り全員はどっこいどっこいなので心配しすぎないでよい、と思う方が、精神衛生上よさそうである。これはべき乗則の特徴(特長?)である。

(↑原文は漢数字ですが、数字に直しました)

1人だけ突出した人がいて自分を含む残り全員はどっこいどっこいなので心配しすぎないでよい、と思う方が、精神衛生上よさそうである。

…これは笑ったw
会ったことも、著書を読んだこともない、この増田さんという人に、親近感を覚えてしまったよ。