谷山浩子のドロドロした歌を独断と偏見で紹介する5曲

先日、東京で一緒にカラオケをした友達から聞いた話です。

知り合いに、西野カナが好きな人がいて、「なんで西野カナが好きなの?」って聞いたんだよね。
そしたら、「ドロドロしてるところが好き」って言われたから、思わず「どこが?」って言っちゃった。

「今度そういう人に会ったら、谷山浩子の歌詞カード渡してやれよ」
と友達に助言した後、ドロドロソング縛りで、しばらく谷山浩子のドロドロした歌を歌いました。

そういえば、谷山浩子と西野カナといえば、過去にこんな記事も↓書いてましたね…。

ちなみに、この話を聞いた彼氏は、
「昼ドラに見劣りするなら、それはドロドロじゃないよね」
と言ってました。なんとわかりやすい基準!

というわけで、久しぶりの谷山浩子の記事は、よりによってドロドロした歌についての話です。

はっじまっるよー!(うきうきしながら)

失恋で自分が自分でなくなった「わたしを殺さないで」

アルバム『ボクハ・キミガ・スキ』収録の歌、「わたしを殺さないで」。

私が愛しているあなたは、他の彼女を愛していて、私を愛さない。
失恋で壊れてしまい、自分を自分たらしめているものが、あっさり失われてしまうという歌です。静かに迫ってくる暗いメロディーと、浩子さんの押し殺しても殺しきれない何かを含んだ暗い歌声でお楽しみ下さい。

ちなみに、アルバムではこの歌のあとに、一見かわいくてフェアリーな雰囲気だけど、実は恐ろしい内容を秘めている「COTTON COLOR」が入っています。

先日のカラオケでは、
「この歌詞は、浩子さんが失恋したからこそ生まれた歌だよね」
みたいな会話も出たりしました。

実らない片思いで世界を滅ぼす「不眠の力」

同じくアルバム『ボクハ・キミガ・スキ』収録の歌、「不眠の力」。

片思いで眠れなくて、世界のありとあらゆるものを砂漠に変えて滅ぼしちゃいました。
どこをどうしたらそんな発想になるのか…!
昼ドラも真っ青です(きっと制作の予算が通りません)

この歌、大好きです。夜のしじまを思わせる歌い出しで始まって、ひたひたと不気味な予感がつのり、次第に大きなうねりとなって盛り上がっていく…。
でも、片思いで世界を滅ぼすというあらすじに、ハッピーエンドなどありません。片思いの相手すらも滅ぼしてしまい、すべてを失った主人公はからっぽになって、滅びる世界の中で静かに終わりを迎えます。

過去に同人誌を書いたので、気が向いたらKindle化するかもです。

ちなみに、このアルバム『ボクハ・キミガ・スキ』には他にも、聞いていてひっくり返るような「手品師の心臓」という歌が、正統派の名曲「海の時間」と一緒に収録されているので、初心者におすすめですよ。

対立する相手を死にたいほど愛する「仇」

アルバム『心のすみか』収録の歌、「仇」。

仇である立場の相手を愛してしまい、殺したい、死にたい、あなたの前で私を壊したい、それほど愛している、という歌。
以前も書きましたが、1冊まるまる「仇」をテーマにした原稿を集めた同人誌が過去に出ていたそうです(谷山浩子界隈で著名な「RARARU」の奥山に猫又さん)。友達んちで見せてもらったけど、いろんな解釈があってすごく面白かった。

割とゆったりとした癒し系の歌が多いアルバムの中で、1曲だけドゴッと異彩を放ってます。
しかも「さよならのかわりに」→「仇」→「空からマリカが」という曲順。どうも浩子さん、こういうドロドロした歌を収録する時は、前後に明るい歌やかわいい歌を入れてサンドイッチにしてる気がするよ…?

ゆいちゃんが、「夜明けに湖を折り畳む」という歌詞の意味がどうしてもわからない、と言ってました。
私の中では、湖を日照りで干上がらせちゃうイメージです。
山岸凉子『日出処の天子』に出てくる龍笛「火雲」みたいな。笛を吹くと雨が上がって虹が出る。火の雲、日照りを呼ぶ笛。それを仇である恋人が持っていて、なんでもできちゃうよーって感じ。

自分を見失い、夢の中であなたを殺し続ける「鏡」

アルバム『銀の記憶』収録の歌、「鏡」。

明らかに自分を見失って、鏡はどこ?と言いながら、あなたを殺し続ける夢の中から抜け出せないという歌。
これ、浩子さんがN氏と結婚して幸せいっぱいの時につくられたアルバムで、他に収録されてる歌は直球で幸せを語ってたり、初恋の美しさを歌ってたりするんですが…。

白状すると、これ、自分の中ではごく普通の歌だと思ってました。
ぶっちゃけねぇ、こないだのカラオケで「ドロドロした歌といえば、『鏡』だよね」って皆に言われるまで思いつきもしなかったよ!なんでこの歌詞のやばさに気づかなかったのかと自分に問いただしたい。

このアルバムは中学生の頃に買ってもらったはずなのですが、それはもう普通に、母とふたりで車に乗って買い物に行く時とか、ノリノリで歌ってましたからね。当時の友達ともゲラゲラ笑いながら一緒に歌ってたはずです。あかん、完全に麻痺しとる。

夫の不倫を見つめている「洗濯かご」

アルバム『翼』収録の歌、「洗濯かご」。

恐らく夫が不倫しているのに気づいて、あなたは誰を見つけたの?と静かに高ぶっている歌。
(聞く人によっては、また別の解釈があるのですが、私の中ではこういうイメージ)

谷山浩子の歌で不倫といえば、有名なのが「夜のブランコ」ですね。
あれは既婚者と不倫しているらしい女性が、「誰にも言わないで会いに来て、指輪は胸が痛くなるからはずしてきて」と暗い暗ーい情念を歌う歌でしたが、こっちは不倫されている側の歌っぽいです。タイトルも主婦っぽい「洗濯かご」ですし。

谷山浩子らしく、靴が投げてイバラになるという、おとぎ話のモチーフを織りこんで料理しているのですが、ひやひやする気配は消せません。ファンタジーを織り交ぜて逃避している分、逆にやばそうです。怖いよ。

しかも、アルバムではこの歌の次が、♪人は人を殺せる〜とくり返す「ゆりかごの歌」なので、救いようがないですね!静かに高ぶったドロドロが、吹いてきた風で着火して、ゆりかごが倒されて子どもが落っこちる感じです。

他にもいろいろあるよ!

谷山浩子の歌は何百とあって、直球でドロドロした歌もあれば、「解釈があいまいなのでよーく考えるとやばいかも」という歌もあります。もう、なんでもありです。

「おい、あの歌が入ってへんやないか!」
「ちょっと、『あたしの恋人』も入れてよね。あと『王国』ってドロドロとは言わないの?」
とか苦情が飛んできそうですが、全部拾っていったら記事に書ききれないよ!
ひとまずこの5曲でおしまいです。

あとは、メルヘン情念アーティスト、谷山浩子の世界をお楽しみ下さい。
(↑今つくった言葉)