Kindle書評『ペンギン・ハイウェイ』と『天冥の標 Ⅰ メニー・メニー・シープ』

Kindle本の衝動買いと積ん読の増加を抑えるべく、粛々と本を読み進めて、積ん読を減らし続ける日々です。

最近は、

  • ほしいものリストに入れる
  • すぐに前のページヘ戻る or タブを閉じる

という地道な方法で、買い物を減らそうとしてますよ…。

ではでは、読み終わった本の感想、いってみよー。

森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』

未読のモリミー本が、セール対象になっていたので購入。
もうセール終わっちゃったけど。

今までの森見作品とは異なる芸風です。
うだつのあがらない京大生が主人公ではないし、舞台も京都の左京区界隈ではない。
主人公は、読書と「研究」に励む小学生。

ひとつの「理想の両親像」

小学生が主人公で、新しく開発された住宅街が舞台になってるし、森見の特徴であるひねくれた仰々しい文体も影をひそめてるけど、これはこれでとても面白かったです。
そして、やっぱり森見だなと思うのは、日常生活の中に顔を出すファンタジー。突然現れたペンギン、森の中の不思議な物体、それを友達と一緒に「研究」する主人公。

印象に残ったのは、主人公の家族でした。特にご両親。
お父さんもお母さんも、おだやかで仲のいいご家庭で育ったんだろうなぁとか、高学歴で性格も温和なんだろうなぁとか、そういうのをものすごく感じるんですよ。
きっと子どもの頃にこの本を読んでも、気づかなかったと思う。

なんせ主人公は、いつもノートを持ち歩いて、気づいたことや分析したことを書きとめている小学生なのです。お父さんがそれを推奨して、ノートを買ってくれたから。
そして彼はサイエンス系の本をたくさん読み、レゴブロックで建築をし、大人とチェスをする。
貪欲にいろんなものを吸収して学ぼうとするし、自分が不思議に感じたことを研究テーマとしてノートに記し、観察したり分析したりする。

そういう「賢そうな小学生」って、両親が子育ての過程で、多大な投資をしてきた結果だと思うんですよ。
たくさん本を買い与えたりする金銭的な投資だけじゃなくて、両親がある程度の教育を受けていて、子どもへの言葉や態度で常にさまざまな刺激を与えてきたからだろうなと。

主人公とお父さん・お母さんとの会話のシーンからも、ご両親が感情的に自制の効いた人間であることが感じられるんですわ。
頭ごなしにどなったり怒ったりしない。
子どもの抽象的な質問を一蹴せず、相手に合わせたレベルで真剣に答えるだけの知性とやさしさを持っている。
素直に、いいな、と思った。

あと、自分が死んじゃうってどういうことだろうとか、自分が死んだあとも世界は続くんだろうかとか、そういうことを考えて恐ろしくなっちゃう場面は、わかるわかるわかる!って思った。
すっかり忘れてたけど、私も子どもの頃に同じこと考えてた!

あれは10歳になってたか、なってなかったくらいの年頃だったかもしれない。
父にそれを話したら、
「そうか、あんたもそういうことを考えるようになったんやなぁ」
って言われたのを思い出しました。

小川一水『天冥の標 Ⅰ メニー・メニー・シープ』上下巻

小飼弾ブログの書評を読んで以来、面白そうだけどめっちゃ長いから、Kindle化されないかなぁと思っていたのです。今年に入ってから次々にシリーズがKindle化されてきてます。
全10巻になるらしいけど、1巻の時点で上下巻って!

すべてをぶちこんだSF

すでに紙の本で既刊をすべて読んでいた友達から、
「続きが出なかったら暴動モノだよ」
って言われてたけど、本当にこれ暴動モノですよ。えらいところで終わってるよ。
この思わせぶり屋さんめ!

ありとあらゆる要素をぶちこんだSF小説書いてやるぜ!ってな感じでスタートしたシリーズらしいです。シリーズと見せかけて実はちゃんとつながった1本の大長編になるらしい。まじか。

メニー・メニー・シープというのは、1巻の舞台になっている植民地の名前です。植民地といってもSFですから、地球から遠く離れた惑星ハーブCに移民してきた人々によって築かれた植民地。

1巻の主なストーリーは、圧政を強いる領主への反撃という流れなので、なんとなーく『デルフィニア戦記』を連想した…けど…もちろん全然ちがいます。
『デルフィニア戦記』は安心して読めたけど、こっちは全然安心して読めない。
なんせ主要な登場人物が惜しげもなく次々に死んでいく。そういうのが苦手な人には、ちょっとおすすめできないです。私もちょっと苦手…。

ちなみに、本筋と関係のない感想はこんな感じ↓

次々に人が死に、水面下で人々やアンドロイドやさまざまな生き物が走り回り、戦乱が起きようとしている中で、ひょこひょこと顔を出す幼なじみそっくりの名前。この絶妙な脱力感。
(さらに幼なじみのツイートが軒並みじわじわと笑えるものであることを思い出して、さらに脱力感は深まる)

私がぽちった時は、この上下巻しかKindleストアに出てなかったんですが、私がのろのろ読んでる間にどんどん2巻目以降もKindle化されてきたよ!
なんかエロいらしいと聞く4巻目もすでに出てるので、楽しみです。
ち、ちがうからね!エロ目的で読んでるわけじゃないからね!

…ただ、積ん読をどこまで片づけてから買うべきかな…。

積ん読の本から1冊ランダムに紹介してみる

まだ読み始めてないけど、こんな本もぽちってるよー。

定期的にジュンク堂の歴史カテゴリの棚や、Kindleストアの歴史カテゴリのページを見てしまうとりさんです。
天文や生物学に比べたら、あんまり見に行かないんだけど。

私は大学で歴史を専攻していたわけではありませんが、

「やっぱり最後は歴史に帰りますよね。道に迷ったら歴史に帰れ、です」

みたいなことをゼミの先生がおっしゃっていたので、時々その言葉を思い出して、ふらふらと歴史カテゴリの本を見に行ってしまうのです。