Kindle書評『華氏451度』と『弥富の文鳥の里が、オカメの里になったわけ&台湾鳥本』

毎週金曜になると、Kindleストアでのセール対象が入れ替わります。
だから金曜にセールページをチェックして、よさげな本はぽちっておき、あとは気が向いた時にKindleストアを眺めたり、「きんどるどうでしょう」を眺めて興味のある本をぽちっておきます。
そして粛々と読み続けて積ん読を減らす。減ったなーと思い始めたところでまたぽちって増える。そんな毎日です。

今回の書評はSFの古典的名作と、KDP本ですよー。

レイ・ブラッドベリ『華氏451度』

レイ・ブラッドベリの本って、Kindleでは『火星年代記』と『華氏451度』しか出てへんのよねー。

…と思いながら念のために検索かけたら、もう1冊出てたぁああああ!

たった今ぽちりました。わーい。読むの楽しみやー。

焚書の時代、知識の伝承は口伝に戻る

これも古い本なのに、ぜんっぜん古くないんですよね。さすがやで。
本が目の敵にされ、本を所有しているだけで逮捕されて本を燃やされるという近未来を舞台に、ファイアマン(消防士ではなく焚書を行う職務に変わっている)の主人公が自分の仕事と掟に疑問を抱き始める。なぜ本を燃やさねばならないのか?なぜ?

壁一面のテレビが浴びせかける刹那の情報と「家族」、海の貝と呼ばれるイヤホンが寝ている間も延々と耳に吹きこむラジオ。全然古くないよね。むしろそれがスマホとかSNSとかネトゲとかになって実現してる感じ。

いろいろあって都市から逃げ出した主人公は、かつて大学でさまざまな文学を研究していた人々が、都市を逃れてソローの『森の生活』よろしくキャンプ生活をしているところに合流します。
なんと彼らは本を奪われないよう、自分の頭の中に古典文学の内容を記憶していた。
「誰それはどの本、誰それはこの本の第一章、第二章はどこそこの誰それが持っている(頭の中に)」ってな感じで。

焚書を逃れるため、知識や物語の伝承方法は、文字が普及していなかった古代に逆戻りしているのです。つまり記憶すること。暗誦すること。

そういえばホメロスだって最初は口伝だったし、平家物語も盲目の琵琶法師が謡うものだった。
ブッダの教えだって、経典になるまでは弟子たちが口頭で韻文(というか詩)にして伝えてたんよね。岩波から出てる昔の経典を読むと同じような文章がくり返し出てくる。韻を踏んで覚えやすくするためなんやろね。

ただ、『華氏451度』を読んでいてどうしても腑に落ちなかったのが、主人公の妻に対する態度。
ずっと連れ添っているたったひとりの家族なのに、妻は日がな一日ずっと家にいて、家族ごっこをしてくれるテレビやラジオに首ったけ。今で言うならSNSにべったりで働きもしないし夫も省みないし子どももつくらない。
僕たちの出会いはいつ、どこでだったっけ?なんてことすら妻は思い出せないし、思い出そうともしない。どうだっていいじゃない的なことを言って、そのままテレビとラジオの世界に溺れていってしまう。

なのに夫は、妻に自分のことを理解してほしくて、耳を貸そうとしない妻にあれやこれや話をして訴えかけるんですよ。結局、その妻は夫を密告して、とっとと捨てて出ていってしまうんですけど。
(出ていく時も、自分の大事なテレビのことばかり言っていて、夫のことは特に悲しんでいる様子がない)

あんな風にすれちがいまくってて全然家族じゃなさそうなのに、自分にとって世界で1番近い存在として扱えるもんなのかね…。実際、妻が死んでも自分は悲しまないだろうということに気づいて、主人公は驚き、その事実を悲しんだりしてるけど。

この小説が書かれた頃よりも、現代ははるかに離婚が当たり前になってるから、私も「腑に落ちひんなぁ。なんでこんな妻に関わろうとするんやろなぁ。さっさとひとりで逃げちゃえばいいのに」なんて思いながら読んじゃったんでしょうね。

鳥本屋の社長『弥富の文鳥の里が、オカメの里になったわけ&台湾鳥本』

鳥好きなとりさん、ホイホイされてぽちってしまいました。
…鳥の写真はかわいかったです。鳥かわいいよ鳥。

まったく校正されておらず、構成もされてない

ただ、非常に残念なことに、誤字脱字が異様に多かったです。絶対に校正されてないと思います。

それも「習慣」と「週間」を誤変換しているような誤字だけでなく、タイピングの途中で混じったと思われる不自然な英数字が残ってたり、さらには誤変換しすぎた上に余計な文字が入ってたりして、文章の意味自体がわからなくなるレベルの誤字脱字がちらほらありました。
ここまでくると本当に読解できない。数行の文章の中で、誤字が何回もあって、さらに文字の消し忘れと入れ忘れが重なって…って二重三重にミスしちゃってるのね。
ううう…せっかく取材して写真いっぱい撮って書いてるのに、もったいない…。

当然ながら表記ブレもありました。
年号表記はアルファベットでSやHのように略すの?それとも日本語で昭和とか平成とか表記するの?連続した文章の中で用いられてるのにめっちゃ表記ブレてるよ!

さらに残念だったのが、KDP本としての構成をされていないこと。

改ページを一切使っていないのです。
だから目次やら目録やら本文やら奥付やら、そのへんも全部ずーっと同じ流れの中で続いてる。

いや、そこせめて1行くらい改行しましょうよっていう部分も改行せずに続いてる。意味や文章のまとまりごとに改行されていない。だからレイアウトがひどすぎて読みづらい。

かと思うと、ひとつの文章の途中で不自然に改行されている。
あるいは、不自然に10行くらい改行されている。

多分ね、これ、著者のPCでの表示に合わせて改行してるんだと思う。
次のページに飛ばしたい時は改ページを使えばいいのに、それを使わずに改行しちゃってるわけ。
「私のPCだと7行空いてるから、7行分を改行して次のページから文章を再開しました」って感じだと思う。だから、Kindleで見ると意味不明なことになる。

あと、内部リンクも一切使われていないので、せっかく目次が並んでいても、該当する箇所に飛ぶことができない。
うう…改ページと内部リンクくらい、GoogleドキュメントでもWordでも超簡単なのに…。

フォントも異様に大きかったから、絶対これ実機チェックしてないよね。

せっかく台湾まで行って鳥がたくさん売られてる場所を取材したり、文鳥の産地だった弥富に行って取材したりしてるのに、鳥の写真もたくさんあってとてもかわいいのに、すごくすごく残念です。もったいないよー!
ううう、悲しい…もったいなくて悲しい…。

奥付を見たら、他にも本出してます!小学館から本出てます!みたいなこと書いてあったけど、校正は本当にしてほしいと思います。特にKDPの場合、プロのチェックなんて入らないわけだし。