あなたの影だけが好きという女の子の怖さ…谷山浩子「影ふみ」

以前、谷山浩子の歌をモチーフにした同人誌を何度かつくりました。
今でも、「この歌で小説が書ける!」と思うことは時々あるのですが、最近は書けなくなってきた。

というわけで、小説にしようとしたけど書けずにいるイメージやネタがいくつかあるので、それをつらつらブログに吐き出してみようと思いました。
ただの妄想大会です。
でも浩子さんの歌って、妄想大会(きれいな言葉で言うと、「歌の解釈」)をくり広げたくなるものが多いよね。
いってみよーう。

「影ふみ」について

収録アルバム:『透明なサーカス』…8月17日に紙ジャケの復刻版が出ます

かわいい感じの曲。
歌詞もかわいい。
…けど、なんかすごく不思議ちゃんで、自己完結したマイワールドのルールでしゃべってて、相手の男はさぞかしふり回されて困るだろうなぁと思わせるものがあります。

この歌のサビに、

「あなたの影だけが好きよ」

というフレーズがあります。
最初、とりさんはずっと、

「あなたの影だけ好きよ」

だと思って聞いていて、ついったーで何気なくそう書いたら、タケミさんから「ちがいますよ」とツッコミを受けました。
さらに、
「もともと男をふり回す系の女の子の歌だったのに、『あなたの影だけは』になったら、ますますひどくなった!」
と、林檎さんからもつっこまれました。

で、つっこまれて、「…これ、面白いんちゃうん?」と思った。
「あなたの影だけは好きよ、と言い出すような女の子をネタにして、1本書けるんちゃうかな」って。

「影ふみ」の妄想

たとえば。
谷山浩子の歌らしく、ファンタジーやメルヘンの要素を取り入れて妄想してみると…。

光の王国と呼ばれる国があってさ。
このたび、影の王国と呼ばれる国と国交を結ぶことになったわけですよ。
そいで光の王国のお城で、影の王国の使節団を迎えることになった。

お互いに遠く離れている国なので、名前の響きからして似ても似つかぬ文化だろうなとか、もしかすると見た目も全然ちがう人種なのかもしれないとか思いながら、光の王国の人々は影の王国の使節団を待っていたのです。
光の王国の人々は、光り輝く髪と肌の持ち主で、
「影の王国の使節団を率いるのは、影の王女らしいよ。影の王女なのだから、髪も真っ黒なのかな。肌も黒いのかも」
とか言い合ってる。

ようやく影の王国の使節団が到着して、大広間に進みでた影の王女が、深々とかぶっていたベールを脱ぐと…。
真っ白なのよ。透き通るように肌が白くて、髪は銀髪。
どよめく光の王国の人々。

彼らを代表して、光の王子と王女がかわるがわる、彼女の外見について質問をすると、
「光のないところに影はできませんわ」とか、
「影の王国では、どんな色でも影の方が濃くなるものなのです」とか、
影の王女はおだやかに微笑みながら、お上品な口調でよくわかんないこと言ってけむに巻いてしまう。

いい意味で予想を裏切られた光の王子は、若かったこともあって、あっけなく落ちてしまう。
影の王女のことが気になって、そわそわしたり、彼女の滞在中に何度も使節団のフロアへ足を運んだり、率先してもてなしたりするわけ。
それを見た光の王女から、「あの子、大丈夫かしら…」と言われたりする。
けど、光の国王と王妃も、
「まぁまぁ、いいじゃないか。影の王国の人に出会うのは初めてなんだし。舞い上がった子どものようなものだよ」
とか言って気にしない。

光の王子はあれこれ影の王女に話しかけるんやけど、影の王女はミステリアスで、お上品におだやかに謎かけのようなことを言って、よくわかんない。
よくわかんないので、「えっ、どういう意味?」と思ってますます影の王女のことが気になる光の王子。

やがて、影の王国の使節団が帰る直前になって、影の王女は少しだけ好意をちらりと見せてくれる。
「この国の人の影は、どれもこれも薄ぼんやりとしているのに、あなたの影は色も濃くてはっきりとしているのですね。わたくし、色が濃くてはっきりとした影は好きでしてよ」とか。

相変わらずよくわかんないけど、褒められて好きって言われたことはわかるので、光の王子は鼻息も荒く「まことですか!」みたいな。
しかし…これが光の王子の運命を決める一言だったとは…。

さて、その後、ふたりはどうなったのでしょう?

多分、光の王子は影だけ連れていかれるんだと思う。
「わたくしに好意を寄せて下さったので、わたくしもあなたの影を連れてゆきましょう。こんな風に、わたくしに純粋な好意を下さる男の人の影を、ずっと待っていたのです。一国の王子の影ならば、わたくしに寄り添うものとして何の不足もないでしょう」
とか言って影の王女は、恋しい相手を追って国境まで来た光の王子から影を奪い去る。

影を失った光の王子は、「生きていないもの」になってしまう。
誰も彼の足音を聞くことができない。
誰も彼の足跡を追うことができない。
光の中で、彼の姿は目に見えない。そして…。

そんなイメージです。「影ふみ」。
うーん、長々と妄想大会をしたので、ちょっと気が済んだ。これからも書いてみよう。