谷山浩子 『カイの迷宮』は冬にぴったりの美しいアルバムですよ

最近、「このアルバムすごく好きなのに、記事書いてへん気がする!」という思いが腹の底から突き上げてきたので、書くことにしました。
谷山浩子の『カイの迷宮』というアルバムです。

アンデルセンの『雪の女王』がコンセプト。DVDも出てるけど詳しくはぐぐれ。

今売られているのは紙ジャケットの復刻版ですが、私が持っているのは最初に出た方のバージョンです。当時まだ中学生だったはず。でも、手に入れたのは高校に入ってからだったかな?忘れた。
CD-EXTRAになってて、PCに入れると浩子さんが『雪の女王』を朗読してくれる絵本みたいになってた。

このアルバム、すごく好きなのです。
特に、冬はぴったりです。冬っぽい歌が多いから。
とにかく美しい曲が多いので、iTunesでいいからぽちれ!ぽちって聞け!って感じなんですが、それだとブログを書く意味がないので、思い出とか、どこが好きなのかを語るよ!

雪と氷の中に閉ざされた「カイの迷宮」

アルバムと同じタイトルの曲「カイの迷宮」の他に、同じメロディーで「カイの迷宮(文字のない図書館)」、「カイの迷宮(誰かが笑っている)」という短い曲も入っています。
これがね、雪と氷の中に閉ざされた少年カイの雰囲気を、すごくよく表した曲なの。
歌詞もそうやけど、演奏がとてもいい。雰囲気出てる。

私は特に「カイの迷宮(文字のない図書館)」が好きでした。
なんとなく、自分みたいだなと思ったから。
ノートに文字を書いても書いても風に消えていく、それでもまた書き続ける。

あと、「カイの迷宮」では、

鏡はかけらに からだは粒子に
心は言葉に こまかく割れていく

という歌詞が好きだった。

春の訪れを喜ぶ「花の季節 屋根の上」

とても明るくて、あったかくて、さわやかさも感じさせる曲。
このアルバムの中で唯一、春を歌っているのですが、
「長く冷たい冬が終わった!」
という開放感がふんわりと漂っていて、やはり冬の影を感じさせるのです。

自転車で走ってる時とか、ふとサビを歌いたくなるよね。
実際、間奏で自転車のベルみたいな音がチリリリーンって鳴ってるし。

失って初めて気づく存在、「世界一不幸なトナカイ」

前にも書きましたが、この歌は中学時代に友達との間で流行りました。

トナカイさんにはね、ずっと一緒に住んでいる相手がいたんです。
でも、トナカイさんは彼女のことを見ていなかった。
彼女に冷たい冬のような仕打ちをしながら、それに気づかなくて、彼女は何の不満もなく自分と一緒にいてくれている、自分のことを好きでいてくれていると思っていたんですよ。

だから彼女は逃げてしまったのです。
あとには冷たい冬のような部屋に、トナカイさんひとりが残された。
彼女とはうまくいっていると思っていたのに、自分はまちがっていたのか?どこがいけなかったのか?
何も気づいていなかったトナカイさんは、わからなくなってしまった。昨日までの、彼女を見ていなかった自分には戻れない。彼女は自分と一緒にいてくれると信じていた自分には戻れない。自分はどうすればいいんだろう。

そんなトナカイさんを、他の人は笑うのでしょう。
よくある話だよって。
そういう歌なのだと思います。

洋館の夜は不気味な「壁に映る影」

どことなーくゴシックな雰囲気の曲です。何がゴシックって聞かれたらうまく答えられないので、本当にただの雰囲気なんですけど。

貴婦人の絵画が壁に飾られていそうな、古い洋館に泊まることになって、寝つけないまま天蓋つきのベッドで横たわっているイメージです。
なんかお化け出そう…みたいな。

みーんな鍋に入れて解決しちゃう「満月ポトフー」

山賊の娘が、こまけぇこたぁいいんだよ!とばかりに歌う曲。人気のある歌です。私も大好きです。

大学時代、とあるオタクの後輩が、
「とり先輩、夏休みの間に俺もニコ動で谷山浩子を聞きました!特に『満月ポトフー』すごくいいです!やられました!」
「谷山浩子、ちょー面白いっすー!」
と大絶賛してました。

絶対に裏で悪いことやってそうな「薔薇の歌」

どこか眠たくなる雰囲気の裏で、何やら怪しげなことをやってそうな印象がぬぐえない、そんな油断のできない曲です。
やさしいおばあさんが出てきてお菓子を食べさせてくれたけど、本当は子どもを食べる魔女だった…って感じがします。『雪の女王』のあらすじを考えれば、あながちまちがってない。

最近、この歌をイメージさせる似たような話を読み返したなぁ、と思ったら。
漫画版『風の谷のナウシカ』の第7巻に出てきた、聖都シュワの近くにある庭園の主人だったわ…。

この平穏は幻…「花園の子守歌」「花園の子守歌 つづき」

カラオケで上パートと下パートに分かれて合唱すると、すごく耳が幸せになれる曲です。
とっても好き。

でも、これも実は恐ろしい歌。
平穏な花園の外には、厳しい雪と氷の世界が広がっていて、この暖かく幸せな世界は幻。冬の中で魔物が見せた幻想。魔の手を逃れて1歩外へ出れば、たちまち凍りついて死んでしまう。そんなイメージです。

学生時代、コンビニで早朝バイトをしたことがあります。
朝起きられるか不安だったとりさんは、前日の夜に「少しでもたくさん眠らなきゃ…眠くなる歌を…」と思い、この歌を歌いながら寝てました。
うなされました。

普通にいい歌だと思う「岸を離れる日」

アルバムを買った時、1番興味のなかった曲です。なんでやろ…。
多分、メルヘン具合が少なくて、ひたむきで一途な女の子の歌って感じがしたからだと思います。当時のとりさんは、今以上にひねくれていたので…。
だから特に思い出もないよ\(^o^)/

今は普通にいい歌だと思うけど、やっぱりほとんど歌わないです。

孤独な心に染み入る「椅子」

とても好きな歌でした。
孤独を感じている人とか、「私はどうにも大勢の人に好かれるタイプじゃないなぁ」と思ってる人とか、「他人と深く関わることなんてできない、なのに自分が誰かを好きになることなんてあるのか?」と思ってる人とかに、おすすめしたい。

季節がすぎていくたびに 孤独の列もすぎていく 
空に映る影も

という部分で、空を一列になって歩いていく幻の人影を連想したり。
(恐らく山岸凉子『日出処の天子』に出てくる疫神のイメージ)

水の中 笑う友達 
声をかければ 消えていく

という歌詞も好きでした。どんだけ孤独ぶっていたのか、自分…。

でも、私は学校が上がるたびに友達グループもごっそり入れ替わるタイプだったので、そんなもんだよなー、その時その時で縁のある相手と友達になるだけだよなーって思ってたから、この歌詞が好きだったのかもしれない。

冬が訪れた今こそ聞きたいですね!

というわけで、時間なくなってきたので駆け足でお届けしました。
本当はもっと語りたいけど、また次の機会に。

さぁ、iTunesから『カイの迷宮』を呼び出して聞いてみるんだ!