谷山浩子のすごさを簡潔に…人真似では生き残れない

前回の記事で、谷山浩子はすごい人なんですよ!と書きました。
…何がすごいのか?
というのを、今日は書いてみよう。
でも時間がないので、簡潔に。

本当はたっくさん、あれもすごい!これもすごい!って語りたいんやけど、今日はぐっと我慢して簡潔に。

ちょっとビジネス記事っぽく書くと、
「谷山浩子は競合との差別化ができている!」

キャッチフレーズ風に書くと、
「谷山浩子、唯一無二!」

…まぁ、タイトルの通りです。

蛇足。本日のBGM↓

他の人と同じことをしていても、いつか消えていく

とある弁護士事務所の、採用情報のページに、採用側の本音が書かれていました。
とても丁寧に、本音を吐露して、

「給料を出すためには、自分で仕事をとってきて働いてもらわないといけません。最初の1年は先輩の仕事をそばで見学したいなんて言ってる人が大勢来られますが、職場は学校ではありません」
「事務所は小さな社会です。同じ職場の人と仲良く気持ちよくやっていける人がほしいのです」

などと書かれていて、ここまで本音を面接前から公開している職場は珍しいな、と思いながら読みました。

その中で、特に印象的だったのが、この言葉。

採用が決まらない人のほとんどは「他人と差別化ができていない」ということに尽きる。

これは就活の話ですが、アーティストの世界にも同じことが言えるんじゃないでしょーか?

たとえばAKB48が売れてるから、韓流が売れてるから、という理由で、似たようなメイク、似たような歌、似たような衣装のアイドルグループがぼこぼこ生まれて、でもまったくヒットしないまま消えていく。
たとえば今時っぽいファッションに、今時っぽいメイクをした女の子が、とてもわかりやすい恋愛ソングを、他の人と似たような声で歌って、若い子たちから支持されて、でも10年後には恐らく誰も残らない。

他の人と同じようなことをしていても、
「替えのきく存在、名前をまちがえても困らない程度の存在」
にしかなれない。

他の人にはできない

谷山浩子は、そうじゃなかった。
今も彼女は、彼女にしかつくれない歌をつくり、自分でつくった歌なのにキーをどんどん変えて歌う。
何百と生み出してきた歌の中から、ライブで観客がリクエストした歌をその場で歌う。思い出せなくてまちがえたりしながら、それでもちゃんと最後までピアノを弾き、歌い切る。
こんなことをできるアーティストが、そのへんにいる?

そのへんにいない。
だから、彼女は自分の歌をなかなか理解されなかったり、変なレッテルを貼られたりしながらも、じわじわとファンを増やし続け、2012年には40周年を迎える。
生まれてから40周年ではない。
アーティストとして活動し始めてから40周年だ。
テレビに出てヒットチャートに載るような売れ方はしない。
でも、40年、こうして着実に生き残っている。

谷山浩子は毎年、新宿で8日間の猫森集会というライブを行い、さらに秋からソロライブツアーで全国を回る。
もちろんライブにはお客さんが来る。
最近はネットを通じて、新たなファンが増えている。

猫森集会では、毎年のように新たなゲストを迎えている。
谷山浩子のライブでは、ゲストは数曲歌って終わり、ではない。
そのライブだけ新たなバンドを組んだみたいに、ほぼ出ずっぱりで、ゲストと組んで歌い演奏する。
もちろんそのために、今まで組んだことのないゲストと毎年一緒に練習して、本番を迎える。
ちなみに谷山浩子は現在、50代だ。
それでも新しいことに興味を持ち、あれこれと試して挑戦していく。
そして、ファンがそれに反応する。

今、テレビに出たり、ライブツアーをしたりして、それなりに売れているアーティストの中で、
10年後、20年後も同じようにライブツアーを行い、
新たなゲストを毎年迎えてライブを行い、
他のアーティストへの提供曲をつくって、
アルバムも毎年のように出して、
さらにネットなどの新しい窓口で若いファンを増やしていくアーティストが、どれだけいるだろうか。

言い訳ではなく、結果として

…こういうことを書くと、
「やっぱ人と同じことしてちゃ駄目だよね!」
「私にしかできない特別なことがしたい!」
とか言って、仕事から逃げるのを正当化する人がいたりするんですが、それはまた別の話。
そういう人はたいてい、仕事を辞めても誰かの真似をしています。

そういうことじゃなくて。
「他の人がああして売れてるから、じゃあ私も!」
とか言ってても先が見えてるよね、と。

恐らく浩子さんの場合は、売れるために人とちがうことをしたわけではないと思いますが…。
でも、デビュー当時に周りから言われたという、
「ヒットしてる歌と同じ曲調の歌をつくって歌え」とか、
「酒とタバコと男に手を出して歌の幅を広げろ」とか、
そういうアホな助言(という名の押しつけ)に従っていたら、多分浩子さんは今みたいになっていなかったと思うのです。

自分の幅を広げていく

最初は歌をつくる仕事を志していて、自分が歌うことなど考えていなかった浩子さん。
人前で歌うの嫌だったとか、ピアノ弾きながらでないと歌えないとか、歌の合間に何を話せばいいかわからないとか、そんな感じだった浩子さんが、今ではあんなに面白い(でも人を不快にさせない)MCを炸裂させ、お芝居にも出るようになり…。
そうして浩子さんがどんどん自分の幅を広げていく過程を見守るのも、ファンの楽しさのひとつです。

そう、浩子さんは、私の親とほぼ同世代でありながら、今でも自分の幅をちょっとずつ広げていく人なのです。
他の50代は、たいてい守りに入っちゃってます。
今までと同じことをして、今日と同じ明日を送ろうとします。
でも、浩子さんは新しいことに興味を持って、あれこれ手を出してみる。それも、とてもかろやかに。
「他の人とちがう、新しいこと」、「昨日の自分とちがう、新しいこと」を。

まとめ

谷山浩子がすごいところ。
そのひとつは、「他の人とちがって、彼女にしかできないことがたくさんあるところ」です。
彼女にしかないものが、たくさんある。

彼女の歌を「面白い!」「すてき!」「好き!」と思っても、他に同じ歌をつくれる人などいない。
だから私は、ずっと彼女の歌を聞き続け、歌い続ける。

そして、あれほど幅広いテイスト、幅広いジャンルの歌をつくれる人もそうそういない。
歌をつくる面でも、彼女は恐ろしく幅広い引き出しを持っている。
彼女にしか歌えない歌だけでなく、他の人が歌うための歌をたくさんつくっている。
だから私は、谷山浩子のつくった歌を探すだけで、さまざまな味わいの歌を聞くことができる。

子どもの頃は何も知らず、ただ彼女の歌を好きだった。
大人になった今でも、飽きることなく彼女の歌を聞いている。
昔、父がダビングしてくれたテープで聞いた歌声を、今はiTunesで聞いている。
20年以上たっても、彼女は新しい歌をつくり続け、大人になった私は自分のお金でライブに行って、それを聞くことができる。
私の両親が結婚する前から歌っていた人が、今でも歌っているのを見ることができる。

だって谷山浩子は、すごいアーティストだから。

…簡潔に書くって言ってたのに、長くなっちゃったよ!