雪乃紗衣 『彩雲国物語 紫闇の玉座(上)』を読んだ

タイトル:彩雲国物語 紫闇の玉座
巻数:上巻
著者:雪乃紗衣(ゆきの・さい)
レーベル:角川ビーンズ文庫

少女小説と呼ばれる、若い女性向けの文庫小説ジャンルの中で、異例のヒットを放ち、

「男社会で官吏を目指すヒロインが、まるでチャングムのようだ」
「政治が描かれている」

と評価を得て、中高年の読者も多いという、あの!
彩雲国物語が、ついに完結します。
で、最終巻の上巻がこれ。
今週のある日、翌日も仕事だったのに、睡眠時間を削って一気読みした。

女の立場から快哉を叫んだ

あああああー!

どんどんすべてが追いつめられ、重要人物が死に(殺され)、
「もしかしてこれは、かなり初期(秀麗が茶州に向かってた頃とか)に出てきたあのキャラか?あんなところに伏線があったのか?!」
と記憶を必死に掘り返しながら読みました。
本当にこれ、面白いと思う。
そして、本当に、「よくぞ言ってくれた!よくぞ書いてくれた!」って思う場面や台詞が今回もあった。

確か前の巻あたりで、劉輝と旺季の場面があったと思うのよ。
旺季の「逃げてもいいんですよ」って台詞で、それがいかに残酷な台詞か、官吏として必死でがんばってきた秀麗に対して「官吏やめて後宮に入ってくれ」と言うなんて、どんなにひどい仕打ちだったのかを劉輝が悟るっていう。
今頃わかったか!ざまぁ!って思ったのね。

この巻でも、瑠花が淡々と楸瑛をぶった斬るでしょ。

「王を守るために、あの人が裏から手を回して秀麗を御史台へ入れたのに、お前たちは彼女を後宮に入れる選択をしたことで、自分たちの味方をつぶしたのだ。反対勢力の奴らは冷笑しただろうよ」

と。
本当に!本当に!本当に!ざまぁみろ!(すごく怒ってた私)

あるいは、秀麗に対して、

「お前はすごく仕事のできる官吏なのに、王の前ではただのバカな女になりさがる」

とズバッと言っちゃう場面とかね(これ言ったのは確か旺季だったかしら?)

いやー…あるだろうなぁ、と思ったの。
こういうのって現実でも、実際にあるだろうなと思ったの。
「男の前で態度ちがうやんけ」とか。
「彼に気を遣っちゃって本来のパワー出しきってない」とか。
あるいは「男を敵に回すとやっかいだから仕方なく」とか。

それでも本当に追いつめられて、後宮入りがどうとか言ってる余裕もないくらい、死の直前まで追いつめられて、秀麗は民を守る官吏として「いい顔」になるのだ。
余計なものを全部捨てて。ていうか捨てるしかない状態になって。

官吏としての彼女が、王としての彼を選ぶ理由

でも、秀麗は旺季に対して、「私はあなたよりも王を選びます」と言う。
その理由は、王に対する好意があるから、とかじゃない。官吏として生き切ることを決めた彼女には、そういう子どもじみた理由は残ってない。

「女性である自分が官吏になれたのは、王のおかげだから」

と彼女は言うのだ。
官吏になるための国試を受けられるのは男だけという因習を、王は破ってくれたから、と。
いいな、と思った。
このシリーズを読んできて、いや本当にそれこそが納得できる理由だよな、と。

けど本当にこれ、上下巻で終わるのかね…とても伏線を回収しきれないんじゃないかね。
と思ってたら案の定、あとがきでもそれっぽいことが書いてあった。
上中下巻にした方がいいんじゃ?と忠告されたけど、上下巻がいい!と押し切ったらしい。

と、今自宅にいなくて本が手元にないので、これまた記憶を頼りに感想書いてみたけど、いやもう7月1日に出る下巻が楽しみです!
あんま淋しさとかは感じない。それよりも、「見せてくれ!この話の行く先を!」って感じ。