谷山浩子「街」が面白い歌だったのでツッコミ入れてみた

谷山浩子の昔のアルバム『時の少女』に、「街」という、そっけなさすぎるほどシンプルなタイトルの歌が収録されています。


アルバムのジャケットは、ますむらひろしが担当。
この頃は歌詞カードが手書き(なので若干読みにくい)。まだ石井AQさんと組んでない頃のアルバムです。
私は紙ジャケットの復刻版で手に入れました。紙ジャケはまとめて一緒に買ったので、ひとつひとつの歌をいまいち把握できてません。曲名とメロディーが一致しないこともしばしば。

ある土曜の朝、布団の中でゴロゴロしながら、かぎゅうさんの谷山浩子プレイリストを流していたら、
「えっ、何この歌おもろい!タイトルは?タイトルは?!」
と思って、あわててタイトルを確認したら「街」だったのです。

だいたいこんな歌です

普通の歌の部分は、浩子さんの透き通った歌声に、リズムをとるような「♪ブンチャッチャッチャ」って感じの、ギターだかピアノだかの伴奏だけが入る、とても静かなメロディーです。
なのにサビに入ったとたん、楽器は増えるわ、歓声まで入ってるわ、めちゃくちゃにぎやかになる。
…そしてサビが終わると再び静かになってしまうという、ギャップが楽しい歌。

普段PCで作業しながら聞いてる時は、完全にBGMなので、いちいち歌の細かいとこまで聞いてません。
だから布団の中でじっくり聞いて初めて、サビとそれ以外とで落差が激しい歌だということに気づきました。PCのBGMにしてる時は、多分サビの部分しか耳に入ってへんかったよ…。

歌詞の内容としては、「街にはいろんなものがあるのに、自分が探しているもの(片思いに着せる服や、片思いが座るイス)はどこにもない。片思いの言葉だけで1日が暮れていく」という感じ。
歌詞カードには、「1981.5.22」という日付が。私まだ生まれてません\(^o^)/

聞いていて真っ先にツッコミ入れた部分

片思いに着せる服がない、という歌詞がいかにも谷山浩子なのですが、他にも面白い歌詞がいろいろ。

週刊誌 国語辞典 なぐさめは いらないわ
泣くのは シュミなの

ちょww 趣味かよ!どういう開き直りやねん!
しかし開き直った次の歌詞では、映画館の前にうずくまって、片思いの相手に会いたいと願う、ウジウジした一面が。

ただの片思いじゃなくて、片思いの相手はすでに誰かとつきあってるみたいですね。
んで、叶わない片思いをもてあまして街をうろつき回り、「泣くのは趣味だから、なぐさめなんていらないわ」と開き直りつつ、やっぱり落ちこんで映画館の前にうずくまってめそめそ…。

うん、多分あなたに必要なのは、失恋の痛手をうわーっと発散させるために、一緒に遊んでくれる女友達じゃないかな。
ひとりで街をうろついて、「片思いに着せる服がない」とか言ってめそめそしてる場合じゃないですよ。

でも昔の浩子さんのイメージって、まさに「友達と街でストレス発散するよりも、ひとりでしょんぼりと放浪」してそうな感じ…。

いったい誰に何の手紙を書いているのか

歌の最後になると、こんな展開に。

たそがれせまれば お決まりの喫茶店
手紙を書きます
こうして一日が 夢のように暮れて行く
ひとつの言葉だけで

しかし、誰に何の手紙を書いたのかは一切触れていない。
え、何?何を書いたの?

歌の前後の流れからすると、この人はひたすら「好きよ」という片思いの相手への言葉を脳内エンドレスしているので、恐らく手紙にも「好きよ」を書きまくったと思うのだが、それはそれで呪文みたいで怖い。
(好きよ好きよ好きよと書きまくった手紙を想像してみよう…ゲシュタルト崩壊するね)

もうちょっと現実的な展開としては、片思いの相手への出せない手紙をつづって、自分の気持ちを吐き出すことで少しでもすっきりしようとしたのかなー。
すごい勇気ですね!街の喫茶店でラブレター書くなんて私には無理、とても無理!
それも友達とキャーキャー言い合いながらじゃなくて、ひとりでふらふらしたあとに、いろんな人が出入りする喫茶店で、ですよ。
自分の手で隠れるようなケータイの小さな画面でメールを打つならともかく、テーブルの上に置いて書く手紙…うーん、私なら人の目が気になって書けない。

それにしてもこの人、まだ10代の学生なんでしょうか。あるいは無職?
「好きよ」の一言だけで1日つぶれるってすごくない?

男性ファンには魅力的な歌なのかもしれない

とまぁ、一見ごく普通の、目立たない歌の中にも、ツッコミどころが隠れている谷山浩子ですが。

今はどうなのか知りませんが、当時は浩子さんをアイドルのように見ていた男性ファンも多かっただろうと思うので、彼らにとってはプライスレスな魅力のある歌なのかもしれないと思いました。
というのも、

スキヨ…スキヨ…スキヨ…アナタガ!

という歌詞を、浩子さんがささやくような声で歌ってくれるから。
(おかげで、直後に始まるにぎやかなサビとの落差がますます激しいことに)

谷山浩子ファンなのにまだこの歌を持ってなくて、浩子さんに好きよって言われたいかも、という人は、CDをぽちるか、iTunesでダウンロードされることをおすすめします。